接触抵抗とは(用語説明)

接触抵抗とは、電気回路において、二つ以上の導体が物理的に接触している部分で発生する電気抵抗のこと。
本来、導体同士が完全に密着していれば抵抗はほとんど生じないはずだが、実際には微細な隙間や
表面の酸化膜、汚れ、接触圧力など様々な要因によって電気の流れが妨げられ、抵抗が生じる。

接触抵抗が発生する主な要因

  • 表面の凹凸: 金属表面は、肉眼では滑らかに見えても、微細なレベルで見ると凹凸がある。
    そのため、接触面全体が完全に密着するわけではなく、実際に電流が流れるのは
    ごくわずかな点(実接触面積)に限られる。この実接触面積が小さいため、
    電流密度が高くなり、抵抗が生じる。
  • 表面の酸化膜や汚れ: 金属表面は、空気中の酸素と反応して酸化膜を形成したり、油分や塵などの汚れが
    付着したりすることがある。これらの物質は電気を通しにくい性質を持つため、
    接触抵抗の原因となる。
  • 接触圧力: 導体同士を押し付ける力が弱いと、実接触面積が小さくなり、接触抵抗が増加する。
    逆に、接触圧力が強すぎると、変形や摩耗を引き起こす可能性がある。
  • 材質: 接触する導体の材質によっても接触抵抗は異なる。表面に酸化膜を形成しにくい材質や、
    導電率の高い材質の方が接触抵抗は小さくなる。
  • 温度: 温度変化によって導体の抵抗率や酸化膜の性質が変化し、接触抵抗に影響を与えることがある。
  • 電流: 流れる電流の大きさによって、接触面の発熱や酸化膜の変化が生じ、接触抵抗が変動することがある。

接触抵抗の影響

接触抵抗は、電気回路において様々な悪影響を及ぼす可能性がある。

  • 電圧降下: 接触抵抗があると、その部分で電圧降下が発生し、回路全体の電圧効率を低下させます。
  • 発熱: 接触抵抗によって電流が流れると、(P = I^2 R) のジュール熱が発生し、接触部分が発熱する。
    この発熱が過剰になると、周囲の部品の劣化や焼損、さらには火災の原因となることもある。
  • 信号の劣化: 微弱な信号が流れる回路では、接触抵抗によるノイズの発生や信号の減衰が問題となることがある。
  • 動作不良: スイッチやリレーなどの接触不良は、回路の誤動作や機能停止を引き起こす可能性がある。
  • エネルギー損失: 接触抵抗による発熱は、電気エネルギーの無駄な消費につながる。

接触抵抗を低減するための対策

  • 接点の材質の選定: 金や銀、白金などの貴金属は、酸化しにくく導電性が高いため、
    接触抵抗を低く抑えることができる。
  • 表面処理: 接点表面にめっき処理を施すことで、酸化や腐食を防ぎ、接触抵抗を安定させることができる。
  • 適切な接触圧力の確保: スプリングなどを利用して、適切な接触圧力を維持することが重要。
  • 異物の除去: 接点表面の油分や塵などの異物を定期的に清掃することが有効。
  • 潤滑剤の使用: 接触面に導電性の潤滑剤を塗布することで、実接触面積を増やし、酸化を防ぐ効果がある。

接触抵抗の測定

接触抵抗の大きさは、一般的に四端子法と呼ばれる方法で測定される。
この方法では、電流を流すための端子と電圧を測定するための端子を別々に設けることで、
測定器自体のリード線や端子の抵抗の影響を排除し、正確な接触抵抗値を測定することができる。

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