「計器用変成器」は、交流回路の高電圧、大電流を低電圧、小電流に変換(変成)する機器で
計器用変圧器(VT)および変流器(CT)の総称。
「指示電気計器」「電力量計」などと組み合わせて使用される。
「計器用変成器」とは、電気計器または測定装置と共に使用する電流及び電圧の変成機器で
変流器および計器用変圧器の総称。
※電力量計と共に使われる変成器は、JIS C 1731で別途に定められている
CTの原理は一般の変圧器と同じで、鉄心に巻き付けた一次巻線と
二次巻線間で電流の変換を行う。(下図参照)
一次巻線と二次巻線の巻数をそれぞれN1、N2とすると、二次電流I2は
となるので、N1を少なく、N2を多くすれば、二次電流I2を小さくできる。
一次電流により鉄心内に磁束が発生し
この磁束により同じ鉄心に巻かれた二次巻き線へ誘導電圧が発生する。
一次電流と二次電流の比が変流比となり、大きな負荷電流を電気計器で扱いやすい電流に変換できる。
①測定範囲の拡大・あらゆる高電圧、大電流を110V、5Aに変換して計器に接続。
②絶縁・1次側と2次側を電気的に絶縁して計器を損傷から保護。
③計器の標準化・計器の定格は回路に関係なく110V、5Aに標準化が可能。
④精密測定・製作容易な定格に統一されるので、高精度品の量産ができる。
⑤安全と配線の簡素化・低電圧/小電流のため配線は安全で、遠隔測定も経済的に可能。
電流を計器や継電器に必要な電流に変換する。
通常のCTは一次電流が数百A以上の大電流であっても、二次電流を5A以下に変成するのが標準
計器用変流器(CT: Current Transformer)の選定は
正確な電流測定と保護のために非常に重要となる、以下の項目を考慮して選定を進める。
1. 回路電圧の確認
使用する回路の電圧を確認し、その電圧に適合したCTを選定する。
CTには絶縁耐力があるため、回路電圧に応じた適切な定格電圧のCTを選ぶ必要がある。
主な回路電圧
1100V以下、440V以下、6600V以下、11000V、22000V
2. 定格一次電流の選定
CTの一次側に流れる最大負荷電流に余裕を持たせて決定する。
定格一次電流を負荷電流に比べて大きくしすぎると、二次電流の値が小さくなり
計器や保護継電器の定格に対して適切に計測や保護ができない場合がある。
3. 定格二次電流の選定
4. 定格負担(VA)の選定
CTの二次端子に接続される計器や保護継電器で消費される皮相電力の総和(使用負担)よりも
大きい定格負担のCTを選定する必要がある。
5. 確度階級の選定
CTの精度を示すもので、二次側に接続する計器
保護継電器の性能に適したものを選ぶ。
6. 過電流定数(n)の選定(保護用CTの場合)
事故時の大きな電流(過電流)に対するCTの特性を示す指標。
7. 定格耐電流(定格過電流強度)の選定
CTの一次に流れる最大短絡電流を計算し、その値に適合したものを選定する必要がある。
これにより、短絡事故時にCTが熱的・機械的に損傷しないことを保証する。
8. その他
高圧用CTの場合(OCR or 計器用)
高圧配電線路の電圧6600V、設備容量300kVAの場合
300kVA×1000 ÷6600≒45.45A
が定格一次電流となるので
×1.5倍した値をCT一次側の定格電流値とする。
45.45×1.5≒68.18
近似値のCT製品がない場合は直傍上位のCTを選定する。
そのた設定は各メーカーの取説を確認し用途に応じた製品を選定する。
低圧CT(変圧器 or モーター)
低圧配電線路の電圧100 or 200V、変圧器設備容量100kVAの場合
100kVA×1000 ÷200÷√3 ≒288.68 A
が定格一次電流となるので
×1.5倍した値をCT一次側の定格電流値とする。
288.68×1.5≒433.0
近似値のCT製品がない場合は直傍上位のCTを選定する。
そのた設定は各メーカーの取説を確認し用途に応じた製品を選定する。
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三菱計器用変成器より画像引用