太陽光発電設備の使用前自己確認の基礎知識まとめ②(外観点検・接地抵抗試験・絶縁抵抗測定)

太陽光発電設備の使用前自己確認の概略

図:太陽光発電設備の保安規則対応

太陽光発電設備を稼働させるために必要な、国が定める安全基準を満たしているか確認する試験のこと。
電気事業法第51条の2に基づき、設置者は太陽光発電設備の使用開始前に試験を実施し
その結果を主務大臣(電気工作物を管轄する産業保安監督部長)に届け出る必要がある。

※太陽光発電の使用前自己確認の対象、確認項目、届け出について具体的に規定しているのは電気事業法施行規則 別表第6・第7なので注意
(見出し「参考資料」に記載)

「使用開始」の定義

使用開始とは、送配電事業者や既存設備との連系ではなく
正式な使用を開始(売電や自家消費の場合、発電電力の使用を開始)すること

使用前自己確認の電気試験内容の概略

外観点検

検査対象となる電気工作物の設置状況について、工事の計画に従って工事が行われていること
および電気設備に関する技術基準を定める省令に適合していることを目視により確認する。

※後述する判定基準の②、③、④、⑩、⑪、⑬は、書類等によって確認することもできる。

判定基準

① 中性点直接接地式電路に接続する変圧器には
油流出防止装置が施設されていること(電技第19条第10項)。
特別高圧のみ対象

② 必要な箇所に所定の接地が行われていること
(電技解釈第17条~第19条、第21条、第22条、第24条、第25条、第27条~第29条、第37条)

③ 高圧または特別高圧用の機械器具の充電部が、取扱者以外が容易に触れないように施設されていること
(電技解釈第21条、第22条)

アークを発生する器具と可燃性物質との離隔が十分にあること
(電技解釈第23条)

⑤ 高圧または特別高圧電路中の過電流遮断器の開閉状態が容易に確認できること
(電技解釈第34条)。

⑥ 高圧および特別高圧の電路において電線および電気機械器具を保護するため
必要な箇所に過電流遮断器が施設されていること(電技第14条)

⑦ 高圧および特別高圧の電路に地絡を生じたときに
自動的に電路を遮断する装置が必要な箇所に施設されていること
(電技解釈第36条)

⑧ 太陽光発電所の高圧および特別高圧の電路において
架空電線の引込口および引出口またはこれに近接する箇所に避雷器が施設されていること
(電技解釈第37条)

⑨ 太陽光発電所の周囲に、柵、塀等が施設されており
出入口に施錠装置および立入禁止表示が施設されていること(電技解釈第38条)

⑩ 太陽光発電所の周囲の柵、塀等の高さと柵
塀等から特別高圧の充電部までの距離の和が規定値以上であること
(電技解釈第38条)
特別高圧のみ対象

⑪ ガス絶縁機器等の圧力容器が規定どおり施設されていること
(電技解釈第40条)
特別高圧のみ対象

⑫ 発電機、特別高圧用の変圧器、電力用コンデンサまたは分路リアクトルおよび
調相機に必要な保護装置が施設されていること(電技解釈第42条、第43条)
特別高圧のみ対象

⑬ 検査の対象となる電気工作物が工事計画書の記載事項どおりに施設されていること。

接地抵抗試験

接地抵抗の測定そのものは
年次点検などでのやり方と同じで、一般的な直読式の接地抵抗計で測定する。

確認方法

接地方法に応じて、以下の測定方法により接地抵抗値を測定する。
① 機器ごとに接地する単独接地:直読式接地抵抗計による測定
② いくつかの接地箇所を連接する連接接地:直読式接地抵抗計による測定
③ 接地線を網状に埋設し、各交流点で連接する網状(メッシュ)接地:電圧降下法による測定

判定基準

接地抵抗値が電技解釈第17条または第24条第1項第二号で
規定された値以下であること。

接地工事の種類接地抵抗値
A種接地工事10 Ω 以下
B種接地工事配電線路ごとに計算された値
C種接地工事10 Ω 以下
D種接地工事100 Ω 以下

接地抵抗試験のポイント

太陽電池発電所はは、モジュール間で接地抵抗の差がある場合
雷などの雷サージの侵入による電位差が生じて機器焼損のトラブルにつながることから
同電位となるように機器相互を接地線で接続する方法が主流。
確認のポイントとしては、相互に接続している渡り線が確実に接続されているか
各モジュール間などの導通確認を行う。

接地抵抗値は季節ごとに若干変動する傾向があり、測定値は気温と反比例すると言われている。
=同じ接地極であっても夏季は低い接地抵抗値となり、逆に冬季は高い接地抵抗値になるというのが通説。

岩盤地質に建設した設備では、接地抵抗値が比較的高い傾向にあるため
夏季に測定した値が規定の上限値に近い場合は、冬季に規定値を超える可能性があるため注意が必要となる

さらに、太陽電池発電所ならではの問題として
最近の分散型には多数の逆変換装置(PCS)が設置されていることから
PCSからの放射ノイズによるAMラジオへの電波障害が懸念される。
これはPCSのインバータ用のトランジスタ(IGBT)のスイッチング動作がノイズ源とされており
直流側接地と交流側接地の施工状態によってはノイズ循環によって近隣へのラジオ受信に障害を
及ぼす場合がある可能性が考えられる。

絶縁抵抗測定

確認方法

① 低圧電路の絶縁抵抗測定は発電機の界磁回路等、特に必要と認められる回路について行うものとする。
② 高圧または特別高圧電路の絶縁抵抗測定は、絶縁耐力試験の回路について行う。
③ 絶縁抵抗測定は、JIS C 1302「絶縁抵抗計」に定められている絶縁抵抗計を使用するものとし
低圧の機器および電路については500 V絶縁抵抗計を
高圧または特別高圧の機器および電路については1 000 V絶縁抵抗計を使用して測定する。
④ 絶縁抵抗値は「1分値」を採用する。ただし、被測定機器の静電容量が大きいため
(長い地中ケーブル等を含む場合)、短時間では絶縁抵抗計の指針が静止しないときは
指針が静止後の値を採用する。

判定基準

① 低圧電路の電線相互間および電路と大地との間の絶縁抵抗は
●電路の使用電圧が300 V以下で、対地電圧が150 V以下の電路では0.1 MΩ以上
●300 V以下で対地電圧が150 Vを超えるものは0.2 MΩ以上
●300 Vを超える低圧電路では0.4 MΩ以上であること。

② 高圧および特別高圧の電路については、大地および他の電路(多心ケーブルにあっては他の心線、変圧器にあっては他の巻線)と絶縁されていることが確認できること。

絶縁抵抗測定のポイント

図:アレイの絶縁抵抗測定の回路図

絶縁抵抗の測定に関しては、検査方法として
太陽電池アレイの絶縁抵抗測定時の注意点としては、ストリングの開放電圧が高い場合(750Vを超える高圧回路)
日中帯は発電しているため、日没後に実施が推奨される。
このとき、絶縁抵抗測定と併せて絶縁耐力試験も行うことになるが
季節によって実施の時間帯が遅い場合は、アレイの表面に夜露が降りて絶縁抵抗値が低下することもある。

太陽電池アレイについては、電技解釈第16条第5項第二号に基づいた絶縁性能を
有していることが確認できた場合、現地での絶縁耐力試験を省略することができる。
使用電圧(開放電圧)が750V以下で、なおかつJIS C 8918またはJIS C 8939に性能が適合し
絶縁抵抗が良好な場合は絶縁耐力試験が省略できる
という解釈になる。

測定する前にPCSの停止、集中型のPCSの場合は集電箱があるので
集電箱内のブレーカ開放後、サージアブソーバ(以下、「SPD」)の切り離しを行う。
一般的なSPDは抜き差し型なので簡単に切り離すことが可能だが
一部においてはリード線を外すタイプもあり、その際充電部で地絡や短絡の事故が
発生しないように注意する必要がある。

絶縁抵抗測定の手順

としては、必ず測定器のプローブをP極(+)から先に当てて測定する。
プローブの当て方は測定ボタンを押しながら or 押ボタンロック機能がある場合はロック状態にすること。
P極から先に測定する理由としては、絶縁抵抗計は負極性となっており
アース側に掛けた電圧を測定プローブから拾うことになるが
N極(-)から拾った場合、電圧方向が逆になるため絶縁劣化させてしまう原因になる可能性がある。
一方のP極からの測定は、プローブに戻る電圧は発電電圧と同方向なので問題ない。
※P極で絶縁抵抗が低下している場合は、N極の測定は推奨されない。

参考資料

新電気2024年1月号「現場の電気保安実務 第213回太陽光発電所における使用前自己確認」より一部引用

新電気2024年2月号「特集太陽電池発電所の使用前 自己確認使用前 自主検査」より一部引用

新設の場合(別表第6)

  1. 太陽電池発電所又は太陽電池発電設備
    出力10kW以上2,000kW未満のもの

変更の場合(別表第7)

  1. 太陽電池発電所又は太陽電池発電設備における変更であって次に掲げるもの
    • 一 出力10kW以上2,000kW未満の発電設備の設置(5%以上の出力の変更を伴うものに限る。)
    • 二 発電設備の設置以外の変更であって次に掲げるもの
      • (1) 出力10kW以上2,000kW未満の太陽電池の設置
      • (2) 出力10kW以上2,000kW未満の太陽電池の取替えであって、次に掲げるもの
        • イ 支持物の工事を伴うもの
        • ロ 5%以上の出力の変更を伴うもの
      • (3) 出力10kW以上2,000kW未満の太陽電池の改造であって次に掲げるもの
        • イ 20%以上の電圧の変更を伴うもの
        • ロ 5%以上の出力の変更を伴うもの
        • ハ 支持物の強度の変更を伴うもの
      • (4) 出力10kW以上2,000kW未満の太陽電池の修理であって、支持物の強度に影響を及ぼすもの

https://www.safety-kyushu.meti.go.jp/denki/shinene_tetsuzuki/solar_shiyoumae.html
経済産業省 ホーム電力の保安蓄電所・太陽電池発電所・風力発電所の手続き使用前自己確認制度(太陽電池)使用前自己確認制度(太陽電池)より引用

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