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太陽光発電におけるアレイについての基礎まとめ

太陽光アレイ(Solar Array)とは、複数の太陽電池モジュール(ソーラーパネル)を組み合わせて設置し
太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換するシステムのこと。
太陽電池モジュール単体では得られる電力が限られるため、より多くの電力を得るために
多数のモジュールを連結してアレイとして構成する。

目次

アレイについての概略

太陽光発電の仕組みを理解する上で、以下の単位が基準となる。

  • セル
    太陽電池の最小単位。約10cm四方の半導体(シリコンなど)でできており
    光が当たると電気を発生させる。1つのセルが生成する電圧はわずか0.5V程度

  • モジュール(太陽光パネル)
    複数のセルを組み合わせて作られた、1枚の太陽光パネルのこと。
    セルを直列・並列に接続し、強化ガラスや樹脂フィルムなどで覆い、アルミ枠で補強することで
    屋外での使用に耐えられるようにしている。
    一般的に「太陽光パネル」と呼ばれているものがこれにあたる。

ストリング
複数のモジュール(太陽光パネル)を直列に接続したもの。
文字通り、モジュールを縦に(直列に)接続して一本の「糸」のような回路を形成する。
これにより、モジュール単体よりも高い電圧を得ることができ、効率的に電気を送ることができる。

具体例 

住宅用では1ストリングあたり3枚から8枚程度、産業用では10枚から14枚で構成されることが多い。

アレイ
複数のストリングを並列に接続したもの。アレイを構成することで
さらに発電容量を増やすことができ、大規模な太陽光発電システムに用いられる。

太陽光アレイの主要な構成要素

太陽光アレイは、主に以下の要素で構成される。

太陽電池モジュール(ソーラーパネル)

  • 太陽光を受け、光電効果によって直流電力を発生させる最小単位
  • 通常、複数の太陽電池セルを直列・並列に接続し
    強化ガラスやバックシート、フレームなどで保護されている。
  • 単結晶シリコン、多結晶シリコン、CIS、HITなど、様々な種類のセルがあり
    それぞれ変換効率やコスト、耐久性が異なる

架台(マウントシステム)

  • 太陽電池モジュールを設置するための構造物。
  • 屋根の上、地上、カーポートなど、設置場所に応じて様々なタイプがある。
  • モジュールの角度(傾斜角)や方位を適切に設定し
    年間を通して最大限の太陽光を受けられるように設計される。
    風圧や積雪荷重にも耐える強度が必要。

接続箱(ジャンクションボックス)

  • 複数の太陽電池モジュールから出力される配線をまとめ
    パワーコンディショナーへ接続するための箱。
  • 通常、各モジュールからの電流をチェックするダイオードなどが内蔵されている。

直流ケーブル・交流ケーブル

  • 太陽電池モジュールから接続箱、パワーコンディショナー
    そして最終的に電力系統へと電気を運ぶためのケーブルのこと。
    屋外に設置されるため、耐候性や耐久性が求められる。

パワーコンディショナー(PCS: Power Conditioning System)

  • 太陽電池モジュールで発電された直流電力を、家庭や工場で使用できる交流電力に変換する装置。
  • 系統連系型の場合は、電力会社の送電網に接続するために
    必要な機能(電圧や周波数の調整、逆潮流防止など)を搭載している。
  • 独立型の場合は、蓄電池への充電制御なども行う。

売電メーター・買電メーター(系統連系型の場合)

  • 売電メーターは、発電した電力のうち、消費しきれずに電力会社に売却した電力量を計測する。
  • 買電メーターは、電力会社から購入した電力量を計測する。

監視システム

  • 発電量やシステムの動作状況をリアルタイムで監視するためのシステムのこと。
  • 異常が発生した場合に通知したり、遠隔で状況を確認したりすることができる。

    太陽光アレイの種類と設置形態

    太陽光アレイは、その用途や設置場所によって様々な種類に分類される。

    用途による分類

    • 系統連系型
      最も一般的なタイプで、発電した電力を家庭や施設で消費し
      余剰電力を電力会社に売却(売電)する。
      電力が不足した場合は、電力会社から購入する。
      安定した電力供給が可能で、経済的なメリットも大きい。

    • 独立型(オフグリッド型)
      電力会社の送電網に接続せず、太陽光発電だけで電力を賄うシステムのこと。
      通常、発電した電力を蓄電池に貯め、夜間や悪天候時に使用する。
      送電網のない山間部や離島、災害時の非常用電源として利用される。

    設置形態による分類

    • 住宅用太陽光アレイ
      一般家庭の屋根に設置される小規模なアレイ
      屋根の形状や方位、面積に合わせて最適なモジュール配置が検討される。

    • 産業用・大規模太陽光アレイ(メガソーラー)
      工場や事業所の屋根、または広大な遊休地などに設置される大規模なアレイ
      非常に多くのモジュールを設置し、大規模な発電を行う。売電を主な目的とすることが多い。

    • カーポート型太陽光アレイ
      駐車スペースの屋根に太陽電池モジュールを設置したアレイ。
      発電と駐車スペースの確保を両立できる。

    • 水上設置型太陽光アレイ(フロート式)
      ダムや調整池などの水面に浮かべて設置するアレイ。
      冷却効果により発電効率が向上する場合がある。
    • 追尾型太陽光アレイ
      太陽の動きに合わせてモジュールの角度や方位を自動的に調整し
      常に太陽光に対して最適な受光角を保つアレイ。
      発電効率を最大化できるが、設備コストが高くなる

    太陽光アレイのメリット・デメリット

    メリット

    • 再生可能エネルギー
      枯渇の心配がないクリーンなエネルギー源であり
      地球温暖化の原因となるCO2排出量を削減できる。

    • 光熱費の削減
      発電した電力を自家消費することで、電力会社から購入する電力量が減り
      電気代を削減できる。

    • 売電収入
      余った電力を電力会社に売却することで収入を得られる(売電制度がある場合)。

    • 災害時の非常用電源
      停電時でも自立運転機能があれば、特定のコンセントから電力を利用できる。
      蓄電池と組み合わせれば、より広範囲での電力供給が可能。

    デメリット

    • 初期費用
      導入には一定の初期費用がかかる。
      ※近年は価格が下がってきており、補助金制度なども利用できる。

    • 天候に左右される
      発電量は日照時間や天候(曇り、雨、雪など)によって変動する。
      ※夜間は発電しない。

    • 設置場所の制約
      日当たりの良い広いスペースが必要となる。
      屋根の強度や形状も考慮が必要。

    • メンテナンス
      定期的な点検や清掃が必要。
      パワーコンディショナーなどの機器は寿命があるので更新が必要。

    • 廃棄物問題
      将来的にモジュールの廃棄が発生するため、リサイクルの仕組みの整備が課題となっている。

    太陽光アレイの導入を検討する際のポイント

    • 設置場所の日当たりとスペース
      年間の日射量や影の状況、屋根の広さなどを確認する。

    • 発電量のシミュレーション
      設置条件に応じた年間発電量の予測を専門業者に依頼し
      費用対効果を検討する。

    • 初期費用と補助金
      導入費用と利用できる国の補助金や地方自治体の助成金を確認する。

    • 信頼できる施工業者選び
      豊富な実績と高い技術力を持つ業者を選ぶことが重要。
      見積もり内容や保証、アフターサービスなどを比較検討する。

    • 保証内容
      太陽電池モジュール、パワーコンディショナー、工事など、各製品や工事の保証期間と内容を確認する。

    • 売電価格と制度
      FIT(固定価格買取制度)などの売電制度の状況を確認する。

    参考資料

    太陽光発電所メンテナンスガイドより一部画像引用

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