電圧区分についてのまとめ(低圧・高圧・特別高圧)

電圧とは

電圧(ボルテージ、記号: V)は、電気回路において、電気エネルギーのポテンシャルの差を表す物理量。
=「電気を押し出す力」や「電気を流れさせようとする力

電圧には低圧・高圧・特別高圧に分類できる。

低圧について

電気事業法における低圧の定義

電気事業法では、低圧は以下のいずれかの電圧をさす。

  • 直流の場合:750ボルト以下
  • 交流の場合:600ボルト以下
    ※一般家庭や小規模な商店などで使用される電圧の範囲

低圧の主な用途

  • 一般家庭の電気設備: 照明器具、コンセント、家電製品(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)
  • 小規模な店舗・事務所の電気設備: 照明、OA機器、小型の業務用機器
  • 小出力発電設備: 住宅用太陽光発電システムなど(一定の要件を満たすもの)

低圧の特徴

  • 比較的安全性が高い: 高圧や特別高圧に比べると、感電の危険性は低いが、決して安全というわけではない。
    取り扱いを誤ると感電事故につながる可能性がある。
  • 電気工事士の資格: 低圧の電気設備の設置や改修工事を行う場合でも、原則として電気工事士の資格が必要
    ※軽微な作業を除く
  • 技術基準への適合: 低圧の電気設備も、電気事業法に基づく技術基準に適合するように
    設置・維持管理する必要がある。

低圧に関する注意点

  • 感電防止: 濡れた手で触らない、絶縁された工具を使用するなど、基本的な感電防止対策を徹底することが重要。
  • 漏電対策: 漏電遮断器(ELB)を設置するなど、漏電による感電や火災を防ぐ対策が必要。
  • 配線器具の点検: コンセントやスイッチなどの配線器具は、定期的に点検し、異常がないか確認すること。

高圧について

高圧は、電気設備の区分における電圧の種類の1つで、低圧よりも高い電圧を指す。
電気事業法などの法令で明確に定義されており、より大きな電力を供給するために用いられる。

電気事業法における高圧の定義

交流の場合:600ボルトを超え 7,000ボルト以下
直流の場合:750ボルトを超え 7,000ボルト以下

高圧の用途 

工場・事業所の受電設備: 大量の電力を使用する工場やオフィスビルなどで、電力会社から高圧で電気を受け、構内で変圧して利用する。
動力用設備: モーターなど、比較的大きな電力を必要とする機械を動かすために用いられる。
大規模な空調設備: ビルや商業施設などの大型空調システムに電力を供給する。
一部の医療設備: 特殊な医療機器に高圧の電力が用いられることがある。

高圧の特徴 

感電の危険性が高い: 低圧に比べて電圧が高いため、感電した場合の危険性が非常に大きくなる。
         取り扱いには高度な専門知識と厳重な安全対策が必要。
電気主任技術者の選任: 高圧の電気設備を設置している事業所は、原則として電気主任技術者を
           選任し、保安監督を行わせる義務がある。
保安規程の作成・遵守: 電気設備の安全な運用のため、保安規程を作成し、それを遵守する必要がある。
定期的な点検・検査: 電気事業法に基づき、定期的な点検や検査を受ける義務がある。

高圧に関する注意点

絶対に触れない: 高圧の電気設備には絶対に近づいたり、触れたりしてはいけない。
専門家以外は作業禁止: 電気工事や点検は、必ず資格を持った専門の業者に依頼すること。
保安管理体制の確立: 高圧設備を設置している事業所は、法令に基づいた保安管理体制を確立し、
          適切な運用を行う必要がある。
異常時の対応: 電気設備に異常を発見した場合は、速やかに専門業者に連絡し、指示を仰ぐこと。

特別高圧について

特別高圧(とくべつこうあつ)は、電気設備の区分における最も高い電圧の種類です。電気事業法などの法令で明確に定義されており、主に発電所から変電所への送電や、非常に大規模な工場や事業所への電力供給に用いられる。

電気事業法における特別高圧の定義

電気事業法では、特別高圧は7,000ボルトを超える電圧を指す。

特別高圧の主な用途

  • 発電所から変電所への送電: 発電所で発電された大電力を、遠隔地の変電所まで効率的に送るために、非常に高い電圧が用いられます。送電ロスを低減する目的がある。
  • 基幹連系線: 地域間の電力を融通するための送電線にも特別高圧が用いられる。
  • 大規模工場・事業所の受電設備: 製鉄所、化学工場、大規模なデータセンターなど、極めて大量の電力を必要とする施設では、特別高圧で直接受電し、構内で変圧して利用することがある。
  • 新幹線などの鉄道: 大量の電力を必要とする鉄道の運行にも、特別高圧の電力が用いられることがある。

特別高圧の特徴

  • 極めて高い感電の危険性: 人体が触れると即死に至る可能性が非常に高く、空気中を放電(アーク放電)する危険性もあります。絶対に近づいたり、触れたりしてはいけない。
  • 高度な保安管理体制: 特別高圧の電気設備を設置している事業者は、法律により、高圧以上に厳格な保安管理体制を確立し、維持することが義務付けられている。
  • 主任技術者の選任: 特別高圧の電気設備の保安監督には、高度な知識と経験を持つ電気主任技術者(第一種電気主任技術者など)の選任が義務付けられています。
  • 保安規程の作成・遵守: より詳細かつ厳格な保安規程を作成し、関係者全員がこれを遵守する必要がある。
  • 国や監督官庁の厳重な管理: 設備の設置、変更、運用などに関して、国や監督官庁(経済産業省の産業保安監督部)の許可や届け出、検査などが厳しく義務付けられている。
  • 特殊な設備と技術: 特別高圧の設備は、高い電圧に耐えるための特殊な設計と絶縁技術が用いられている。。

特別高圧に関する注意点

  • 絶対に近づかない: 特別高圧の設備には、柵や標識などで近づけないようになっています。これらに絶対に近づかないこと。
  • 異常を発見したらすぐに連絡: 電線が切れていたり、設備から異音が聞こえたりするなど、異常を発見した場合は、決して自分で対応しようとせず、速やかに電力会社や関係機関に連絡すること。
  • 専門家以外は作業禁止: 特別高圧の電気設備の工事、点検、操作は、高度な資格と専門知識を持つ者のみ作業可能。

低圧・高圧・特別高圧の公証電圧まとめ

電気技術基準・解釈 まるわかり 2023年版より画像引用

名無し管理事務所