太陽光発電システムにおける逆流防止装置は、主に以下の2つの「逆流」を防ぐための装置を指す。
=太陽光発電における逆流防止装置は、太陽電池モジュール自体の保護と
電力系統の安定性維持という、大きく異なる二つの目的のために設置される。
これらはそれぞれ異なる目的と仕組みを持っている。
逆流防止装置の設置場所(イメージ図)
太陽光発電メンテナンスガイドより画像引用
役割
太陽光パネルは、複数のセルが直列に接続されてモジュールを構成し
さらに複数のモジュールが接続されてストリング(直列回路)を形成する。
そして、複数のストリングが並列に接続されて太陽光発電アレイを構成する。
この構成において、特定のモジュールに影がかかったり、汚れが付着したりすると
そのモジュールの発電量が低下し、電圧が下がる。このとき、他の正常に発電しているモジュールから
発電量の低下したモジュールへ電流が逆流してしまう可能性がある。
この逆流は、発熱や焼損、さらにはシステム全体の発電量低下につながるリスクがある。
逆流防止ダイオードは、この電流の逆流を防ぐ役割を担う。
仕組み
ダイオードは、電流を一方向にしか流さない性質(整流作用)を持つ半導体素子。
太陽光発電システムでは、通常、接続箱内やモジュール内部に組み込まれている。
これにより、発電量の低下したモジュールへの逆流を防ぎ
パネルの損傷や発電効率の低下を防止する。
種類と設置場所
一般的に、太陽電池モジュールの接続箱内に設置される。
近年では、一部の太陽電池モジュールに直接組み込まれているものもある。
また、大規模な太陽光発電システム(メガソーラーなど)では、ダイオードによる損失を改善するために
発電量が多い時にダイオードをバイパスする逆流防止リレーが用いられることもある。
必要性
太陽光発電システムを安定して運用し、パネルの損傷を防ぐために非常に重要な部品。
特に、部分的に影がかかりやすい場所や、汚れが付着しやすい環境では、その重要性が増す。
メンテナンス
定期的な点検で、逆流防止ダイオードの接続部の緩みや破損
腐食がないかを確認することが推奨される。
故障した場合は、その回路の出力低下につながる。
役割
太陽光発電システムで発電した電力を自家消費し
余った電力を電力会社へ売電しない「自家消費型太陽光発電」の場合
発電した電力が電力会社の送電網へ逆流(逆潮流)することを防ぐ必要がある。
逆潮流は、電力系統の安定性に影響を与えたり、電力会社との契約に違反したりする可能性がある。
仕組み
主な装置として、RPR(リバースパワーリレー:逆電力継電器)や制御装置がある。
設置場所
RPRは、太陽光発電システムの受電部位(電力会社との接続点付近)に設置される。
制御装置は、パワーコンディショナーと連携して動作することが多い。
必要性
自家消費型太陽光発電においては、電力会社との契約上、逆潮流を発生させないことが求められるため
RPRや制御装置の設置は不可欠。これにより、電力系統の安定性を保ち、トラブルを防ぐ。
費用
逆潮流防止装置の費用は、種類やメーカーによって異なるが
目安として数万円から数十万円程度かかる場合がある。
メンテナンス
RPRや制御装置も、他の電気設備と同様に定期的な点検が必要。
機器の動作確認や設定の確認などが行われる。