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太陽光発電における「接続箱」と「集電箱」についての基礎知識まとめ

太陽光発電における「接続箱」と「集電箱」は、太陽光パネルで発電された直流電力を
パワーコンディショナーに送るための重要な中継地点となる機器。
特に規模の大きいシステムでは、接続箱と集電箱が使い分けられることがある。

目次

接続箱(Combiner Box)についての概略

太陽光パネルは、それぞれが直流の電気を生成する。
これらのパネルを複数枚直列につなげたものを「ストリング」と呼び、家庭用の太陽光発電システムでは
屋根に設置された複数のストリングから伸びるケーブルを一つにまとめ
パワーコンディショナーへ送るのが接続箱の主な役割
となる。

接続箱の主な役割

直流電力をまとめる
複数の太陽光パネル(ストリング)から発電された直流電力を一箇所に集約する。
これにより、ケーブルの配線を簡略化し、パワーコンディショナーへの接続を容易にする。

系統保護

  • 過電流保護
    各ストリングにヒューズブレーカーを設置し、短絡過電流が発生した場合に回路を遮断し
    システム全体や機器の損傷を防ぐ。
  • 逆流防止
    複数のストリングがある場合、発電量の少ないストリングに
    発電量の多いストリングから電気が逆流するのを防ぐ「逆流防止ダイオード」が内蔵されていることがある。
    これにより、発電効率の低下やパネルの損傷を防ぐ。
  • 開閉機能
    メンテナンス時などに、安全に各ストリングの電流を遮断するための開閉器(スイッチ)が備わっている。

雷対策(避雷機能)
落雷などによる過電圧からシステムを保護するため
避雷素子(サージプロテクタ)が内蔵されているものもある。
これにより、過電圧を大地に逃がし、パワーコンディショナーなどの機器を保護する。

発電量のモニタリング(オプション)
一部の接続箱には、各ストリングの電圧や電流を測定する機能が備わっており
発電状況の監視や異常箇所の特定に役立る。

    接続箱は、太陽光パネルの近く(屋根上や壁面、屋根裏など)や
    パワーコンディショナーの近くに設置されることが多い。
    屋外に設置されることが多いため、防水・防塵性能が求められる。

    集電箱(Array Junction Box / DC Combiner Box)とは

    大規模な太陽光発電システム(産業用メガソーラーなど)では
    設置される太陽光パネルの数が非常に多くなる。
    この場合、1つの接続箱だけでは対応しきれないため、複数の接続箱が設置される。

    「集電箱」はこれら複数の接続箱から送られてくる直流電力を
    さらにまとめてパワーコンディショナーに送る役割を担う。
    =接続箱たちの「まとめ役」が「集電箱」と言える。

    • 接続箱: 太陽光パネルのストリングをまとめる。
    • 集電箱: 複数の接続箱からの電力をまとめて、パワーコンディショナーへ送る。

    集電箱も接続箱と同様に、過電流保護避雷機能、開閉機能などを備えている。
    大規模システムにおいて、配線の複雑さを軽減し、電力損失を抑えるために重要な役割を果たす。

    接続箱・集電箱の構成部品(一般的な例)

    • 箱体
      鋼板製やステンレス製などがあり、屋外設置の場合は防水・防塵対策が施されている。
    • 直流開閉器(直流ブレーカー)
      各ストリングからの直流電流を遮断するためのスイッチ。メンテナンスや非常時に使用する。
    • ヒューズ: 過電流が流れた際に溶断して回路を保護する。
    • 逆流防止ダイオード
      発電量の少ないストリングへの電流逆流を防ぎます。
    • 避雷素子(サージプロテクタ)
      落雷などによる過電圧を吸収し、機器を保護する。
    • 端子台
      太陽光パネルやパワーコンディショナーからのケーブルを接続する部分です。
    • ストリングモニタリング機能(オプション)
      各ストリングの発電量を監視する機能。

    近年、住宅用太陽光発電システムでは
    接続箱の機能をパワーコンディショナーに内蔵した「接続箱一体型パワーコンディショナー」も増えている。この場合、別途接続箱を設置する必要がなく、システムが簡素化されるというメリットがある。

    故障事例とメンテナンス

    接続箱・集電箱は、屋外に設置されることが多く
    温度変化、湿度、雨、風、直射日光などに常にさらされるため、経年劣化や故障のリスクがある。

    主な故障事例

    • 焼損
      端子部の締め付け不良や接触不良、異物混入、配線ミスなどにより
      抵抗が増加して異常発熱して焼損に至るケースがあり、火災につながる可能性もある。
    • 水分の侵入
      箱体のシーリング劣化や破損により、内部に雨水が侵入し
      内部の電子部品や配線がショート・腐食する場合がある。
    • 部品の劣化
      ヒューズの溶断、ダイオードの故障、避雷素子の劣化など、内部部品の劣化による機能不全。
    • 配線の断線・損傷
      ケーブルの被覆が劣化したり、動物にかじられたりすることで、内部の配線が露出・損傷し
      漏電短絡の原因となることがある。

    メンテナンスの重要性

    太陽光発電システムのメンテナンスは
    FIT制度(固定価格買取制度)を利用している場合は義務化されており
    適切に行わないと売電認定が取り消される可能性もある。
    そのため接続箱・集電箱も重要な点検箇所となる。

    点検項目(専門業者による点検)

    • 目視点検
      箱体の外観に破損、腐食、サビ、著しい汚れがないか。
      扉の施錠はされているか。ケーブルの被覆に損傷がないか。
    • 内部点検
      カバーを開けて、内部の配線や端子に緩み、焦げ付き、変色、腐食がないか。異物の侵入がないか。
    • 電気的測定
      各ストリングの電圧、電流、絶縁抵抗などを測定し、異常がないかを確認する。
      これにより、パネルの故障や配線の劣化などを早期に発見できる。
    • 増し締め
      端子台などのネジの緩みを点検し、必要に応じて増し締めを行う。
    • 清掃: 内部の埃や汚れを清掃する。
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