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太陽光発電におけるモジュールについての基礎知識まとめ

太陽光発電の核となるのが「太陽電池モジュール」
一般的には「ソーラーパネル」とも呼ばれ、太陽光のエネルギーを直接電気に変換する役割を担う。

目次

モジュールについての概略

太陽光発電の仕組みを理解する上で、以下の単位が基準となる。

  • セル
    太陽電池の最小単位。約10cm四方の半導体(シリコンなど)でできており
    光が当たると電気を発生させる。1つのセルが生成する電圧はわずか0.5V程度

  • モジュール(太陽光パネル)
    複数のセルを組み合わせて作られた、1枚の太陽光パネルのこと。
    セルを直列・並列に接続し、強化ガラスや樹脂フィルムなどで覆い、アルミ枠で補強することで
    屋外での使用に耐えられるようにしている。
    一般的に「太陽光パネル」と呼ばれているものがこれにあたる。

ストリング
複数のモジュール(太陽光パネル)を直列に接続したもの。
文字通り、モジュールを縦に(直列に)接続して一本の「糸」のような回路を形成する。
これにより、モジュール単体よりも高い電圧を得ることができ、効率的に電気を送ることができる。

具体例 

住宅用では1ストリングあたり3枚から8枚程度、産業用では10枚から14枚で構成されることが多い。

アレイ
複数のストリングを並列に接続したもの。アレイを構成することで
さらに発電容量を増やすことができ、大規模な太陽光発電システムに用いられる。

もちろん、太陽光発電におけるモジュール(ソーラーパネル)の基礎知識をまとめます。

太陽電池セルの種類と特徴

モジュールの内部にある「太陽電池セル」は
その材料によって大きく以下の種類に分けられる。

シリコン系太陽電池

現在の主流であり、市場の9割以上を占める。

  • 単結晶シリコン太陽電池
    • 特徴: 純度の高い単一のシリコン結晶から作られる。
      変換効率が最も高く、限られたスペースでより多くの発電量を確保したい場合に有利。
      見た目は均一な黒色。
    • 用途: 住宅用、産業用など幅広く使われる。
    • メリット: 高効率、耐久性が高い。
    • デメリット: 製造コストが比較的高価。
  • 多結晶シリコン太陽電池
    • 特徴: 複数のシリコン結晶の塊から作られる。
      単結晶に比べて製造コストが低く抑えられるが、変換効率はやや劣る。
      見た目は結晶の粒が視認できる青っぽい色合い。
    • 用途: 住宅用、産業用など幅広く使われる。
      特に初期費用を抑えたい場合に選ばれることがある。
    • メリット: 製造コストが比較的安価、バランスが良い。
    • デメリット: 単結晶に比べて変換効率がやや低い。

化合物系薄膜太陽電池

シリコン以外の材料を薄膜状に成膜して作られる。

  • CIS/CIGS系太陽電池
    • 特徴: 銅、インジウム、ガリウム、セレンなどを主成分とする化合物半導体を用いた薄膜型電池。
      高温や影の影響を受けにくい特性がある。
    • メリット: 高温特性が良い、影に強い、デザイン性が高いモジュールもある。
    • デメリット: シリコン系に比べて変換効率がやや低い、製造技術が複雑。
  • CdTe(テルル化カドミウム)系太陽電池:
    • 特徴: 主に大規模な太陽光発電所(メガソーラー)で利用される
    • メリット: 大量生産に適しており、製造コストが低い。
    • デメリット: 毒性を持つカドミウムを使用するため、リサイクル体制の確立が重要。

その他(次世代型)

  • アモルファスシリコン太陽電池
    • 特徴: 非晶質のシリコンを薄膜にしたもので、軽量で柔軟性があるが
      変換効率は低く、初期劣化(光劣化)が大きい。電卓など小型機器に利用されることが多い。

  • HIT(Heterojunction with Intrinsic Thin-layer)太陽電池
    • 特徴: 単結晶シリコンとアモルファスシリコンを組み合わせたハイブリッド型で
      高い変換効率と優れた高温特性を両立する。
  • ペロブスカイト太陽電池
    • 特徴:
      次世代型として注目されており、高い変換効率と低コストでの製造が可能と期待されている。
      軽量で柔軟性も持たせられるため、多様な用途への応用が研究されている。

モジュールの主な仕様と性能指標

モジュールの性能を評価する上で重要な指標。

  • 最大出力(公称最大出力: kW/W)
    • 標準的な条件下(STC: Standard Test Condition)で測定された
      そのモジュールが発電できる最大の電力。
      例えば「250W」などと表記される。

  • 変換効率(%)
    • 太陽光エネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示す指標。
      高いほど、同じ面積でより多くの発電ができる。
      例えば「18.0%」などと表記される。

  • 開放電圧(Voc: V)
    • モジュールが負荷につながっていない状態で発生する最大電圧。

  • 短絡電流(Isc: A)
    • モジュールが短絡している(抵抗ゼロ)状態で発生する最大電流。

  • 最大動作電圧(Vmp: V)
    • モジュールが最大出力を発生しているときの電圧。

  • 最大動作電流(Imp: A)
    • モジュールが最大出力を発生しているときの電流。

  • 出力保証
    • メーカーが保証する、一定期間後の出力の割合。
      一般的に、20〜25年で初期出力の80%以上を保証するケースが多い。
  • 寸法・重量
    • 設置スペースや架台の選定に影響する。

  • 温度係数
    • 温度が変化したときに、出力がどの程度変化するかを示す数値。
      負の値であり、例えば「-0.4%/℃」の場合、温度が1℃上昇するごとに0.4%出力が低下する。

モジュールの構造

一般的な結晶シリコン系モジュールは
以下の層構造になっている。

  • 強化ガラス
    太陽光を透過させ、セルを保護します。耐衝撃性、耐候性に優れる。
  • 封止材(EVA: エチレン酢酸ビニルなど)
    セルをガラスとバックシートの間に固定し、湿気や汚れから保護する。
  • 太陽電池セ
    実際に発電を行う半導体素子。
  • 封止材(EVA)
    上層と同じく、セルを保護します。
  • バックシート
    モジュールの裏面を保護し、絶縁性、耐湿性、耐候性を提供する。
  • フレーム
    アルミ製が主流で、モジュールの強度を高め、設置を容易にする。
  • ジャンクションボックス(接続箱)
    モジュールから出た配線をまとめ、バイパスダイオードなどを内蔵して
    電流の逆流やホットスポット現象を防ぐ。

モジュールの選定ポイント

  • 変換効率
    設置面積が限られている場合(屋根など)は、高効率モジュールが有利。
  • コスト
    初期費用を抑えたい場合は、コストパフォーマンスの良いモジュールを選ぶ。
  • 保証
    出力保証や製品保証期間、内容を確認する。
  • メーカーの信頼性
    長期的に使用するものなので、信頼できるメーカーの製品を選ぶ。
  • 設置場所の環境
    塩害地域であれば、塩害対策が施されたモジュールを選ぶ。
    積雪地域であれば、積雪荷重に強いモジュールを選ぶ。
  • 見た目
    住宅用であれば、屋根との調和も考慮に入れることがある。

参考資料

太陽光発電所メンテナンスガイドより一部画像引用

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