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地絡保護協調の考え方の備忘録①(基本的な考え方)

地絡保護協調の考え方

需要家の電気設備を保護し、波及事故を防止するためには、適切な箇所に保護装置を設置し
配電線の地絡継電器と協調を図るとともに、構内設備との協調も図らなければならない。

高圧設備と低圧設備は変圧器で絶縁されており
高圧側の保護装置で低圧設備の地絡故障は検出・保護できない上に、波及することもないので
高圧設備と低圧設備は別々に考えればよい

※変圧器の高低圧混触は高圧の1線地絡故障として保護される。

地絡故障時の地絡電流

6600V系は非接地系であるため、配電線や需要家の高圧設備の地絡故障時には配電線や
構内ケーブル等の対地静電容量による電流が故障点へ地絡電流として流れる。

下記図の需要家の構内故障時に配電用変電所に流れる地絡電流
抵抗分を無視すると配電線0の対地静電容量C0​による電流のみが流れるので
配電用変電所の地絡電流Ig0は

となる。

一方、需要家構内に流れる地絡電流
配電線0の対地静電容量C0​に加え配電線1の対地静電容量C1​による電流が流入するので
需要家構内の地絡電流Ig1は、

Ig1​=健全時の対地電圧×ω(C0​+C1​)

となり、配電線等の状況によっては配電用変電所に流れる地絡電流より大きくなる場合がある。

地絡故障時の保護協調

地絡故障時の地絡電流は需要家構内のほうが小さいとは限らないので
主として動作時限で保護協調をとる必要がある。
前述図のような配電線系統および構内設備であれば
第2キュービクル送りの遮断器①
→高圧区分開閉器②
→配電用変電所の配電線遮断器③

の順に動作するよう時限協調をとればよい。

これに対し、低圧設備は変圧器の低圧側が抵抗接地(B種接地)されており
地絡電流は変圧器から故障点へ流れ、大地を通って変圧器へ帰還するので
短絡電流と同様に動作電流と動作時間で協調をとることができる。

参考資料

https://www.fa.omron.co.jp/guide/technicalguide/65/148/index.html
オムロン 電力・機器用保護機器 保護継電器概要より画像引用

新電気 2020年12月号 地絡保護協調より引用

名無し管理事務所

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