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B種接地についての基礎知識まとめ

目次

接地についての概略

接地(せっち)とは、電気設備や機器を大地(地面)に電気的に接続すること。
感電防止電気機器の保護電気回路の安定化を目的として施設する。

B種接地とは

B種接地とは、高圧または特別高圧の電路と低圧電路を結合する変圧器の低圧側中性点、または一端子に施される接地工事のことを指す。これは「系統接地」とも呼ばれ、日本のほとんどの電気回路で採用されている重要な接地方式。

電気設備の技術基準の解釈第24条で
「高圧電路または特別高圧電路と結合する変圧器には、B種接地工事を施すこと」
と規定している。

この条文は、故障などにより変圧器の内部で高圧あるいは特別高圧と低圧が混触すると
低圧側に高電圧が侵入して放電による火災や人との接触による感電などが
発生する恐れがあるために設けられている。
=B種接地は高低圧が混触した場合でも低圧側の対地電圧を規定値以上に上昇させないための接地

通常の高圧受電設備には、電灯回路用の単相変圧器と動力回路用の三相変圧器があるが
これらの変圧器のB種接地は下記図のように共用にするのが一般的。
この場合、どちらかの回路に漏電が発生するとB種接地の電位が上昇し
この電位上昇が接地を共用している全設備に波及し、影響を与えることになる。

変圧器の二次側中性点を接地しても地絡にならない理由

電気(電流や電圧)は回路が構成されることで、はじめて流れる。

平常時、一次側と二次側は絶縁されているため、回路は形成されていない。

そのため地絡は発生しない

B種接地の目的

  • 高低圧混触事故時の感電・機器損傷防止
    変圧器内で高圧側と低圧側が接触(混触)した場合
    高圧の電気が低圧側に流れ込む危険がある。B種接地は、この異常な高電圧を大地に逃がすことで
    低圧機器の絶縁破壊や火災を防ぎ、人が触れた際の感電事故から人身の安全を守る役割がある。
  • 低圧側地絡時の健全相電位上昇の抑制
    低圧側で地絡(漏電)が発生した場合に、健全な相の電位が異常に上昇するのを防ぐ。
  • 地絡継電器・漏電遮断器の確実な動作
    地絡事故が発生した際に、適切な電流が大地に流れ
    地絡継電器漏電遮断器(ELB)が確実に動作し
    事故電路を遮断する役割を担う。

B種接地の設置場所

  • 変圧器の低圧側中性点: これが最も一般的な設置箇所。
  • 低圧電路の使用電圧が300V以下の場合で、中性点に施しにくい場合は、低圧側の1端子
    特殊なケースで、中性点接地が困難な場合に適用される。
  • 混触防止板付変圧器の混触防止板
    混触防止板付変圧器の場合、混触防止板にB種接地を施すことが
    電気設備技術基準・解釈第24条で定められている。

B種接地工事は、原則として変圧器の施設箇所ごとに施される。
ただし、土地の状況により規定の接地抵抗値が得られない場合は、変圧器から200m以内の箇所まで接地線を施設して接地工事を施すことが認められている。

B種接地の接地抵抗値


B種接地の接地抵抗値は、電気設備の技術基準の解釈第17条によって定められている。
基本的な計算式は以下の通り。

R≤Ig​150​Ω

  • R は接地抵抗値(Ω)
  • Ig​ は変圧器高圧側電路の1線地絡電流(A)

※以下の緩和規定もある。

低圧電路の対地電圧が150Vを超える場合で、1秒を超え2秒以内に高圧または特別高圧電路を自動的に遮断する装置を施設するとき: R≤Ig​300​Ω

低圧電路の対地電圧が150Vを超える場合で、1秒以内に高圧または特別高圧電路を自動的に遮断する装置を施設するとき: R≤Ig​600​Ω

これらの規定において、「5Ω未満であることを要しない」とされている。
これは、極端に低い抵抗値でなくても安全が確保できることを意味する。

※Ig​の値は、電力会社や配電系統の状況によって異なるため、B種接地の接地抵抗値を決定する際には
 管轄の電力会社に1線地絡電流値を確認する必要がある。

B種接地の測定方法

B種接地の接地抵抗を測定する方法としては、主に以下の2つがある。

精密測定(三極法)

接地抵抗計のE端子、P端子、C端子をそれぞれ被測定接地体(E極)と2つの補助接地極(P極、C極)に接続する。
補助接地極は、被測定接地体から約5~10m間隔で一直線上に打ち込む。
地電圧が存在する場合は、3V以下であることを確認し、必要に応じて地電圧を低くしてから測定を行う。
接地抵抗計のΩレンジを調整しながら測定する。

クランプ接地抵抗計による測定

多重接地(複数の接地極が共有されている状態)になっている場合に限られる、
クランプ接地抵抗計を使用すると、クランプするだけで簡単にB種接地抵抗を測定できる。
この方法は、測定場所に補助接地極を打ち込む必要がないため、手軽に測定できるのが利点。

接地線の太さ

B種接地の接地線の太さは
引張り強さ2.46kN以上の金属線または直径4.0mm以上の軟銅線
高圧電路または使用電圧が15000V以下の特別高圧架空電線路の電路と
低圧電路とを変圧器により結合する場合は引張り強さ1.04kN以上の金属線または直径2.6mm以上の軟銅線
)と
規定されている。

他の接地工事との関係

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