「地絡」とは、電気回路において、電路(電気が流れる導体)と大地(アース)が
意図せずに電気的に接触してしまう現象を指す。
短絡の一種だが、特に大地との接触を伴うものを「地絡」と区別して呼ぶ。
英語では「Ground Fault(グラウンドフォルト)」や「Earth Fault(アースフォルト)」と呼ばれる。
電力系統における地絡事故は、その発生形態によって「一線地絡」と「二線地絡」に分類される。
これらはどちらも大地との接触を伴う事故だが、その様態や系統への影響、
短絡電流の大きさなどに違いがある。
一線地絡電流
非接地系統と直接接地系統の違いについて
●直接接地の場合
・a相の対地電圧は小さく、事故点ではゼロになる
・中性点の電圧がゼロ(直接接地)なのでb相、c相の対地電圧はほとんど変化しない
・Ìa(=Ìg)は極めて大きく、三相短絡電流と同程度になる
●高抵抗接地の場合
・a相の対地電圧は小さく、事故点ではゼロになる
・b相、c相の対地電圧は事故前の3 倍程度に上昇する
・Ìa(=−Ìg)は中性点抵抗の大きさにより変化し、
相電圧/中性点抵抗
程度になる。
V: 使用電圧(公称電圧) を 1.1 で除した値 [kV]
L: 架空配電線の電線の長さ [km]
L′: ケーブルの長さ [km]
※計算結果は、小数点以下を切り上げ、2A未満となる場合は2Aとする。
電気設備基準の解釈第17条「接地工事の種類及び施設方法」17−2表より引用
6600V高圧配電設備の1線地絡電流I1の計算
図:6600 V 高圧配電線設備
L=20 [km]×3 [本]×3 [回線]+10 [km]×2 [本]×1 [回線]=200 [km]
L′=4 [km]×2 [回線]=8 [km]
1 線地絡電流 I1 [A] は、
=1+2.0+7.5=10.5→11 [A]
実際は、配電方式や架空電線とケーブルの割合などによって値は相当に変わってくるが
大体、1 線地絡電流の大きさは 1 から 15 A の範囲にあるものが多い。
新電気2025年7月号 現場で使える便利術 第3回1線地絡電流の大きさより一部引用