目次
対地電圧についての概略

電気回路において、電線と大地(地面)との間の電位差を「対地電圧」と呼ぶ。
- 線間電圧(使用電圧)
一般的に「100V」や「200V」として認識されているのは、2本の電線間の電圧差であり
これを「線間電圧」と呼ぶ。
例)家庭用コンセントの2つの穴の間の電圧がこれにあたる。

- 対地電圧
電線と地面(大地)との間の電圧が対地電圧となる。
人が感電する際に、人体に加わる電圧と考えることができるため
電気設備の安全性において非常に重要な指標となる。
100Vのコンセントの場合、通常2つの穴のうち一方が接地されており
接地されている側と地面の電位差はほぼ0Vとなる。
残りの穴(非接地側)と地面の間の電位差が約100Vとなり、これが対地電圧となる。
対地電圧が重要である理由

対地電圧は、感電事故のリスクに直結する。
もし電気機器の絶縁が劣化して漏電し、その機器の金属部分に触れてしまった場合
その金属部分と大地との間の電位差が対地電圧となり
その電圧が高いほど感電の危険性が増してしまう。
電気設備の技術基準では
「住宅の屋内電路における対地電圧は原則として150V以下」と定められている。
特定の条件下では300V以下も許容されるが、一般的には150V以下が基準となる。
対地電圧の測定方法

対地電圧は、テスターや絶縁抵抗計などの測定器を使用して測定できる。
テスターでの簡易測定
- テスターの黒い測定棒をアース(接地)に接続する。
- 赤い測定棒をコンセントの各穴に差し込む。
- 電圧が表示される側の穴が非接地側(ホット側)であり、その表示される電圧が対地電圧となる。
接地側(コールド側)の場合は、ほぼ0Vに近い値が表示される。
絶縁抵抗計での測定
絶縁抵抗測定の際に、アース端子を接地側、ライン端子を相側に接続して測定することで
各相の対地間絶縁抵抗を測定できる。
絶縁抵抗値が低い(=漏電している可能性がある)場合、対地電圧も不安定になることがある。
測定の際は、必ず回路を切り離して停電状態にし
検電器で停電を確認してから作業を行うなど、安全に十分配慮する必要がある。
配線方式ごとの対地電圧の目安

| 配線方式 | 対地電圧の目安(各相) | 備考 |
|---|---|---|
| 単相2線式(100V) | 黒:100V、白:0V | |
| 単相3線式(200V) | 黒:100V、白:0V、赤:100V | |
| 三相3線式(200V・デルタ結線) | 赤:200V、白:0V、青:200V | 日本ではあまり一般的ではありませんが、特定の機器などで使用されることがある。 |
| 三相3線式(200V・スター結線) | 赤:116V、白:116V、青:116V | |
| 三相3線式(400V・デルタ結線) | ※対地電圧は不定(接地不可) | 直接接地が推奨されておらず、対地電圧が不安定になるため、接地は基本的に行わない。 |
| 三相3線式(400V・スター結線) | 赤:230V、黒:230V、青:230V |
※デルタ結線では、中性点がないため、直接接地をすることが難しい場合がある。
対地電圧と感電、漏電の関係


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