インピーダンスについての基礎まとめ(用語説明)

インピーダンス(Impedance: Z)とは、交流(AC)回路において
電流の流れにくさを示す総合的な尺度のこと。
直流(DC)回路における抵抗(Resistance: R)に相当する概念であるが、
交流回路では、抵抗だけでなく、リアクタンス(Reactance: X)という要素も電流の流れを妨げるため
インピーダンスはこれら二つを合わせたものとして定義される。

インピーダンスの構成要素

インピーダンス Z は、以下の2つの成分から構成される複素数で表される。

  • 抵抗成分(実部: R): 直流回路と同様に、電流の流れを妨げ、電気エネルギーを熱エネルギーに変換する成分。
    単位はオーム [Ω] 。
  • リアクタンス成分(虚部: X): 交流特有の成分で、エネルギーを一時的に蓄えたり放出したりすることで電流の流れを妨げます。リアクタンスには、誘導性リアクタンス (XL​)容量性リアクタンス (XC​) の2種類がある。
    単位はどちらもオーム [Ω]

インピーダンスZの計算方式

Z=R+jX=R+j(XL​−XC​)

※j は虚数単位(−1​)

インピーダンスの大きさ(絶対値)と位相

インピーダンスの大きさ(絶対値) ∣Z∣ は
交流回路における電流の流れにくさの総合的な大きさを表し
以下の式で計算される。

∣Z∣=R2+X2​=R2+(XL​−XC​)2

また、インピーダンスの位相角 θ は、電圧と電流の位相差を表し
以下の式で計算される。

θ=arctan(RX​)=arctan(RXL​−XC​​)

単位はラジアン [rad] or 度 [°]
誘導性リアクタンスが支配的な場合は位相角は正(電流は電圧より遅れる
容量性リアクタンスが支配的な場合は位相角は負(電流は電圧より進む
リアクタンス成分がない(抵抗のみ)場合は位相角はゼロになる。

インピーダンスとオームの法則

交流回路においても、オームの法則はインピーダンスを用いて拡張することができる。
電圧のフェーザ V、電流のフェーザ I、インピーダンスのフェーザ Z の間には
以下の関係が成り立ちつ。

V=I×Z

ここで、フェーザは大きさと位相の情報を持つ複素数で表現される。

インピーダンスの重要性

  • 交流回路の電流を決定: 与えられた交流電圧に対して、回路に流れる電流の大きさと位相を決定する。
  • 回路の周波数特性を理解: インピーダンスは周波数によって変化するため、
    回路の周波数特性(特定の周波数に対する応答)を解析する上で重要な指標となる。
  • 共振現象の解析: 誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが等しくなる共振周波数において
    インピーダンスは最小(または最大)となり、回路の挙動が大きく変化する。
  • 電力伝送と効率: 電力系統においては、インピーダンスは電力損失や電圧降下に影響を与え
    効率的な電力伝送を実現するために重要な要素となる。
  • 信号伝送と整合: 高周波信号の伝送においては、インピーダンス整合が信号の反射を防ぎ
    効率的な伝送を実現するために不可欠となる。
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