リアクタンスとは、交流回路において、電流の流れを妨げる要素のこと。
抵抗も電流の流れを妨げが、リアクタンスは交流特有の現象であり、エネルギーを消費するのではなく
一時的に蓄えたり放出したりするという点で抵抗とは異なる。
リアクタンスは、主に以下の2つの要素によって生じる。
誘導性リアクタンス(Inductive Reactance: XL)

原因
コイル(インダクタ)が交流電流の変化を妨げる性質(自己誘導)によって生じる。
電流が変化しようとすると、コイルはその変化を打ち消す方向に電圧を発生させる。
特徴
- 交流の周波数(f)に比例する。周波数が高いほど電流の変化が速くなるため、誘導性リアクタンスは大きくなる。
- コイルのインダクタンス(L)に比例します。インダクタンスが大きいほど、電流の変化を妨げる力が強くなるため、誘導性リアクタンスは大きくなる。
- 電圧の位相は電流の位相よりも 90° 進む(電流は電圧より 90°遅れる)
計算式
XL=ωL=2πfL [Ω]
ω は角周波数 [rad/s]
L はインダクタンス [H]
f は周波数 [Hz]
容量性リアクタンス(Capacitive Reactance: XC)

原因
コンデンサが交流電圧の変化を妨げる性質(電荷の蓄積と放出)によって生じる。
電圧が変化しようとすると、コンデンサは充電や放電によって電流の流れを妨げる。
特徴
- 交流の周波数(f)に反比例します。周波数が高いほど、コンデンサの充電と放電が頻繁に行われ
電流が流れやすくなるため、容量性リアクタンスは小さくなる。 - コンデンサのキャパシタンス(C)に反比例する。キャパシタンスが大きいほど
より多くの電荷を蓄えられるため、電圧の変化を妨げる力が弱まり、容量性リアクタンスは小さくなる。 - 電圧の位相は電流の位相よりも 90°遅れる(=電流は電圧より 90∘ 進む)
計算式
XC=ωC1=2πfC1 [Ω]
ω は角周波数 [rad/s]
C はキャパシタンス [F]
f は周波数 [Hz]
リアクタンスの重要性

- 交流回路の特性を決定: リアクタンスは、交流回路における電流の流れやすさ(インピーダンス)を
決定する重要な要素の一つ。 - 位相差の発生: コイルやコンデンサを含む回路では、電圧と電流の間に位相差が生じる。
この位相差は、リアクタンスの種類と大きさによって決まる。 - 共振現象: 誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスが等しくなると、共振という現象が起こり
特定の周波数においてインピーダンスが最小(または最大)になる。
これは、フィルタ回路や発振回路などで利用される。 - 電力系統の制御: 電力系統においては、リアクタンスは電圧安定性や無効電力の制御に重要な役割を果たす。
インピーダンスとの関係

交流回路における抵抗とリアクタンスを合わせた、電流の流れにくさの総合的な尺度を
インピーダンス(Impedance: Z)と呼ぶ。
インピーダンスは複素数で表され、抵抗成分(実部)とリアクタンス成分(虚部)を持る。
Z=R+j(XL−XC)
R は抵抗
j は虚数単位
XL は誘導性リアクタンス
XC は容量性リアクタンス
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