容量性リアクタンス(Capacitive Reactance: XC) とは、交流(AC)回路において
コンデンサが電流の流れを妨げる度合いを示す量です。
誘導性リアクタンスがコイルによって生じるのに対し、
容量性リアクタンスはコンデンサの特性によって現れる。
目次
容量性リアクタンスが発生する原理

コンデンサは、2枚の導体板が絶縁体を挟んで構成されている。
交流電圧がコンデンサにかかると、電圧の変化に応じて電荷の蓄積と放出を繰り返す。
- 電圧が上昇する場合: コンデンサは電荷を蓄えようとするため、一時的に電流が流れる。
- 電圧が下降する場合: コンデンサは蓄えていた電荷を放出しようとするため、逆向きの電流が流れる。
このように、コンデンサは交流電圧の変化に対して、あたかも抵抗のように電流の流れを妨げる働きをする。
=容量性リアクタンス。
ただし、抵抗がエネルギーを熱として消費するのに対し、コンデンサはエネルギーを電場として
一時的に蓄えたり放出したりするため、本質的にはエネルギーを消費しない。
※理想的なコンデンサの場合
容量性リアクタンスの特徴

- 交流の周波数に反比例: 交流の周波数 (f) が高くなるほど、電圧の変化が速くなり、コンデンサの充電・放電が頻繁に行われる。これにより、電流が流れやすくなるため、容量性リアクタンスは小さくなる。
逆に、周波数が低いほど、容量性リアクタンスは大きくなる。 - キャパシタンスに反比例: コンデンサのキャパシタンス (C) が大きいほど、より多くの電荷を蓄えることができるため、同じ電圧変化に対してより多くの電流が流れる。したがって、容量性リアクタンスは小さくなる。
キャパシタンスが小さいほど、容量性リアクタンスは大きくなる。 - 位相関係: コンデンサに交流電圧を印加すると、電流の位相は電圧の位相よりも 90°進む。
これは、電圧の変化に先立って電流が流れる(充電または放電が始まる)ため。
容量性リアクタンスの計算式

容量性リアクタンス XC は、交流の角周波数 ω [rad/s] とコンデンサのキャパシタンス C [F] を用いて
以下の式で表される。
XC=ωC1=2πfC1
- XC は容量性リアクタンス [Ω](オーム)
- ω は角周波数 [rad/s] (ω=2πf)
- f は周波数 [Hz](ヘルツ)
- C はキャパシタンス [F](ファラド)
容量性リアクタンスの単位
容量性リアクタンスの単位は、抵抗や誘導性リアクタンスと同じく オーム [Ω]
容量性リアクタンスの応用例

容量性リアクタンスは、交流回路において様々な役割を果たす。
- フィルタ回路: 特定の周波数成分の信号を通過させたり、阻止したりするフィルタ回路に利用される。
例えば、高周波成分をカットするローパスフィルタでは、コンデンサの容量性リアクタンスが高周波に対して小さくなる性質が利用される。 - カップリングコンデンサ: 異なる回路間の直流成分を遮断し、交流信号のみを伝達するために用いられる。
直流に対してはコンデンサのリアクタンスが非常に大きくなるため、直流電流を阻止できる。 - バイパスコンデンサ: 特定の周波数の交流信号を接地(グランド)に流すことで
ノイズを除去するために用いられる。 - 位相補償: 誘導性負荷(モーターなど)によって遅れた電流の位相を進めるために
コンデンサが用いられることがある。
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