励磁突入電流(れいじとつにゅうでんりゅう、Inrush Currentとも呼ばれます)とは
変圧器やリアクトルなど、鉄心を持つ電気機器に電源が投入された瞬間に流れる
一時的で非常に大きな電流のこと。
定常状態の励磁電流(機器を磁化するために常に流れている電流)に比べて格段に大きく
場合によっては定格電流の数倍から数十倍にも達することがある。
磁気飽和
変圧器などの鉄心は、ある一定以上の磁束密度になると、それ以上磁束を通しにくくなる性質(磁気飽和)がある。
電源投入時の磁束変化
電源が投入されると、電圧の大きさに応じた磁束が鉄心に発生しようとする。
電圧の時間積分によって磁束が決まりますが、電源投入時の電圧の位相によっては
通常発生する磁束の最大値の約2倍もの磁束が発生しようとすることがある。
電源を切った後も、鉄心には磁気として残っていることがある。次に電源を投入した際に、この残留磁束と同じ方向に新たに発生しようとする磁束が加わると、さらに大きな磁束が発生しようとする。
励磁突入電流の発生
上記の理由により、鉄心が飽和する領域をはるかに超える大きな磁束を発生させようとする力が働くと
鉄心が飽和しているため磁束が増えにくくなり、その不足分を補おうとして
電源から非常に大きな電流が流れ込む。
=励磁突入電流
特に、電源投入時の電圧がゼロに近い位相で、かつ残留磁束が大きい場合に、励磁突入電流は最大となる傾向がある。
励磁突入電流は短時間で減衰するが、その大きさから以下のような問題を引き起こす可能性がある。