瞬時電圧低下の概略
瞬時電圧低下(通称:瞬低)とは、電力系統において
非常に短い時間だけ電圧が規定の値より低下する現象のこと。
完全に電圧がゼロになる「停電」とは異なり、一瞬だけ電圧が下がってすぐに回復するのが特徴。
その多くは0.05秒から0.2秒程度と非常に短時間だが、長い場合は2秒程度続くこともある。(表1参照)
JIS規格では「電圧ディップ」という用語が使われており、またある期間で電圧が0になる現象である「瞬時停電」は「短時間停電」と書かれている。
瞬時電圧低下の原因
瞬時電圧低下の最大の原因は、送電線への落雷。
落雷によって送電線と鉄塔の間などで「閃絡(せんらく)」と呼ばれるショートが発生すると
事故点に大電流が流れ、その影響で広範囲の電圧が一瞬低下する。
電力会社は事故が起きた送電線を電力系統から瞬時に切り離すことで、停電が広がるのを防ぐが
この切り離しが行われるまでの間に瞬時電圧低下が発生する。

省エネルギーセンター 電気管理入門 より引用
瞬時電圧低下時の電圧波形まとめ

各設備と瞬時電圧低下による影響および対策例

需要家側の瞬低対策
瞬低対策として最も代表的なものが無停電電源装置(UPS)
UPSは、蓄電池とインバータを組み合わせて、商用電源の瞬低や、停電時にコンピュータなどの負荷機器を停止させることなく、電源を確保する交流電源システムのこと。
UPSの給電方式
①常時インバータ給電方式(下記図)
商用電源を入力し整流器で直流に変換して、蓄電池を充電しながら
インバータで交流変換した電源を負荷機器に供給する。
商用電源が停電(瞬低含む)したときは、整流器が停止し
蓄電池からインバータを経由して負荷機器へ電力を供給する。

常時インバータ給電方式UPSの構成例
②常時商用給電方式(下記図)
商用電源をそのまま商用電源から負荷機器へ供給する。
商用電源が停電(瞬低含む)したときは、上部のスイッチを開放し
蓄電池の電力をインバータを経由して負荷機器へ供給する。
本方式は、いち早く停電を検出し、上部のスイッチを開放する、あるいはインバータ側から
いち早く電力を供給するのが、瞬低による影響を小さくするために必要となる。

常時商用給電方式UPSの構成例
新電気 2018年 12月号 瞬時電圧低下の対策より一部引用

コメント