HGR(無方向性地絡継電器)不必要動作時の調査方法と防止対策まとめ

無方向性地絡方向継電器(HGR)の概略

電気設備の電路や設備で絶縁劣化や樹木などとの接触、低圧電源との接触(混触の発生時には、感電や機器故障が想定される(地絡の発生
地絡が発生すると電路と大地との間で、地絡電流零相電流が発生する。
零相電流は、大電流のため零相変流器(ZCT)を用いて地絡継電器に入力する。

地絡継電器は、地絡過電流継電器と呼ばれる場合がある。

地絡継電器(GR)地絡方向継電器(DGR)の違いについて

地絡継電器(GR)
→事故電流を零相変流器(ZCT)で検出し、その大きさのみで動作する

地絡方向継電器(DGR)
→事故電流をZCTおよび零相電圧検出装置(ZPD)の組み合わせで検出し、その大きさと両者の位相関係で動作する。

無方向性地絡継電器(HGR)の動作説明・原理

図:ブロック図・接続図例

(1)継電器の端子P1,P2にAC110Vを印加すると電源表示灯(緑LED)が点灯する。

(2)零相変流器を設置した回路で地絡が発生するとZCT一次電流に零差電流が発生し
二次電流が流れ継電器に入力される。

(3)継電器内部では増幅・フィルタ回路を通り、整定された感度電流を超える電流が
  連続して動作時間以上流れたときに、動作表示器(マグサイン)を回転させ接点出力を閉路する。
(常時「黒色」→動作時「橙色」)

(4)地絡がなくなれば出力接点は自動的に復帰するが、動作表示器は表示復帰釦を押すまでは復帰しない。
  地絡が継続している状態で表示復帰釦を押した場合は、手で押している間だけ表示器は復帰しているが
  手を離すと再度動作する。

(5)テスト用押釦スイッチを押すと、継電器内部で試験用模擬入力をかけ継電器を動作させる。
  (この試験入力はZCTには印加されない。)
  動作時間以上押し続けることで動作表示器(マグサイン)が動作表示(橙色表示)となり
  出力接点が動作する。
(出力接点が遮断器に接続されている場合は、遮断器が動作する。)

HGR(無方向性地絡継電器)の不必要動作概略

HGRの「不必要動作」とは
保護すべき範囲内で実際の地絡事故が起きていないのにも関わらず
GRが誤って作動し、停電を引き起こしてしまう現象
を指す。

不必要動作の原因は
・GR自体の問題(特性の変化)
・外部要因や環境の問題(回路条件)
の2つに分類される。

GR特性の変化(GR自体の劣化や故障)

GR本体を構成する部品が経年劣化したり
不具合を起こしたりすることで、本来設定された数値とは違う条件で動作してしまうケース。

  • 最小動作電流の減少(低下)
    部品の劣化により、本来なら反応しないはずのわずかな漏れ電流でも
    GRが過敏に反応して動作してしまう。
  • 慣性特性不良
    本来であれば一瞬のノイズには反応しないように「慣性(遅延時間)」が設定されているが
    この特性が劣化すると、ごく短時間のサージ電流などですぐに誤動作してしまう可能性がある。
  • その他(絶縁不良など)
    GR本体や、それを繋ぐ制御線の絶縁が低下すること
    内部で電流が漏れ、誤動作の引き金になる。

回路条件(外部要因・環境・施工の問題)

GR自体は正常でも、設置されている電気設備の環境や
外部からの影響によって引き起こされる誤動作。

  • 構外地絡による構内対地静電容量に基づく零相電流の検出(もらい事故)
    これが最も代表的な原因の一つです。
    自分の事業所以外(構外:例えば配電線の先にある別の工場など)で地絡事故が起きた場合
    ケーブルが持つ静電容量(電気を蓄える性質)の影響で
    自分の事業所に向かって「見かけ上の地絡電流(零相電流)」が流れ込んでしまうことがある。
    これをGRが検知して作動してしまう現象です
    (方向性を持たない通常のGRで発生しやすいため、対策としてDGR:地絡方向継電器が用いられる)。
  • 雷サージ
    落雷による瞬間的な異常高電圧・大電流(サージ)が回路に侵入し
    GRがそれを地絡電流と勘違いして動作する。
  • 電波障害
    近くの無線機や強力な電磁波によって
    制御回路にノイズが乗り、誤動作を引き起こす。
  • 施工不良
    電気工事の不備が原因となるケース。
    • 誘導障害 他の電力線からの電磁誘導で誤った電流が流れる。
    • ケーブル接地・工事不適切
      ケーブルのシールド接地(アース)の取り方が間違っていたり
      配線作業が不適切だったりすることで、不要な電流を検出してしまう。

HGR(無方向性地絡継電器)不必要動作時の調査方法と防止対策

参考資料

chromeextension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.fa.omron.co.jp/data_pdf/commentary/protectiverelays_tg_j_1_1.pdf
OMRON Grobal「保護継電器技術解説」

新電気2019年11月号「保護継電器Q&A」
新電気2020年4月号「リレー試験の基礎知識」

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