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力率計(アナログメーター)の読み方と裏面結線の備忘録

目次

力率計の指示値と基礎知識

力率計は、交流回路における有効電力の割合
=力率(cosφ)を測定・表示するための計器。
盤面には「LEAD(進み)」と「LAG(遅れ)」が表記されている。

  • LAG(遅れ)
    誘導性負荷(モーターや変圧器など)が多い状態。
    一般的な工場やビルでは負荷のほとんどが誘導性のため
    コンデンサ等で対策をしなければ電流の位相が電圧より遅れる。
  • LEAD(進み)
    容量性負荷(コンデンサなど)が多い状態。
    進相コンデンサを投入することで遅れ力率を改善するが
    容量が過剰になると電流の位相が進みすぎる。

実際の現場のメーターで、指針が「LEAD」側に大きく振れている場合
それは軽負荷時(夜間や休日など、工場やビルの設備があまり稼働していない状態)に
負荷に対して進相コンデンサの容量が大きすぎる「過進相」状態になっていることが推測される。

メーター裏面の結線(端子配列)と三菱電機取説に基づく注意

計器の裏面には、電圧(PT)と電流(CT)の信号を取り込むための端子が配置されている。
上写真の端子構成(P2, +C1, C1, P3)の場合、以下のような結線となる。
三相平衡回路において1相の電流と他2相間の電圧を利用して位相差(力率)を割り出す方式となる。

端子記号接続先・用途備考
P2計器用変圧器(PT)の2次側電圧回路
+C1変流器(CT)の2次側(電源側・プラス)電流回路(CTの「K」端子側)
C1変流器(CT)の2次側(負荷側・マイナス)電流回路(CTの「L」端子側)
P3計器用変圧器(PT)の2次側電圧回路

取扱説明書に基づく結線のポイント

三菱電機のアナログ計器取扱説明書(配電盤用指示計器類)では
以下の点が厳格に規定されている。

極性の確認(KとL)

力率計は電圧と電流の位相角を測定する計器となる。
CTの極性(K・L)や、PTの相順(R・S・T)を誤って接続すると
メーターは逆振れするか、見当違いの数値を指し示す。
更新工事等で裏面の「+C1」と「C1」を逆につなぐミスは非常に多いため
必ず通電前の目視確認と
受電時の初期動作確認(進み・遅れの挙動が正しいか)を行うことが保安管理として重要となる。

端子締め付けトルクの管理

取扱説明書には
「端子ねじの緩みは焼損の原因となるため、適正トルク(例:M4ねじの場合は1.2±0.2 N・mなど)で確実に締め付けること」と記載されている。
特にCT回路(C1端子)が運転中に緩んで開放状態になると
CTの二次側に高電圧が発生し、絶縁破壊や火災の危険があるため要注意となる。

アナログメーター特有の管理事項(取扱説明書より)

三菱電機をはじめとするメーカーの取扱説明書には
長く正確に使用するためのメンテナンス事項が記載されていいる。

指示計器の階級と許容誤差

アナログ力率計の精度階級は、JIS C 1102に基づく「5.0級」が一般的
(電流計や電圧計の1.5級や2.5級と比較して、力率計は構造上階級の数字が大きくなります)。
電気角で±4.5度(力率換算で数%)程度の誤差は許容範囲内であることを知っておく必要がある。
デジタルメータのような小数点以下の厳密な数値ではなく
トレンド(遅れ・進みの傾向)を把握するためのものと認識すること。

ゼロ点(機械的零点)の確認と調整

電流計や電圧計と異なり、一般的なアナログ力率計には零位調整器がなく
無通電時は指針が任意の位置で停止するのが正常となる。
通電して初めて正しい位相角(力率)を指し示すため
電流計のようなゼロ点調整は不要(or できない)点に注意が必要となる
※ただし、変換器内蔵形(可動コイル形)の力率計などの一部例外を除く

カバーの清掃における禁止事項(静電気対策)
盤面を綺麗に保つことは重要だが
取説には「乾いた布で強くこすらないこと」「シンナーやアルコール等の有機溶剤を使用しないこと」と
明記されている。
透明カバー(アクリルやポリカーボネート)を乾拭きすると静電気が発生し
中の指針がカバーに引き寄せられて正確な値を指さなくなる「静電気誤差」が生じる可能性がある。
清掃時は、硬く絞った濡れ雑巾や、静電気防止剤を含ませた布で優しく拭くのが推奨される。

実務におけるポイント

過進相(LEADへの振れすぎ)の弊害

写真のようにLEAD側に大きく振れている状態を長時間放置すると
「フェランチ効果」により受電端の電圧が電源側よりも上昇してしまう現象が発生する。

これにより、以下のトラブルに繋がる恐れがある。

手動運用から自動力率調整器(APFC)への移行

昔ながらの設備では、休日や夜間に電気主任技術者や設備担当者が
手動で高圧進相コンデンサ(LBSやVCB)を開放する運用が行われていたが
近年では、手動開閉による運用忘れやヒューマンエラーを防ぐため
自動力率調整器(APFC: Automatic Power Factor Controller)を導入し
負荷の変動に応じて自動的に複数群のコンデンサを入り切りするシステムが主流となっている。
力率計が常にLEADを指している設備は
APFCの導入や、コンデンサ容量の細分化(小容量コンデンサの追加)を検討を顧客へ提案するのが望ましい。

参考資料

三菱電機株式会社
『配電盤用指示計器 取扱説明書』および関連技術資料

日本産業規格(JIS)
JIS C 1102-5『直動式指示電気計器-第5部:位相計,力率計及び同期検定器の特別要求事項』

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この記事を書いた人

はじめまして、当ブログ「名無し電気管理事務所」を運営している名無しと申します。
ここでは、私の経歴や当ブログの運営目的についてご紹介します。

1. 保有資格
実務に関わる以下の国家資格を保有しています。

第3種電気主任技術者(2023年取得)

第1種電気工事士

建築物環境衛生管理技術者

2. 経歴・実務経験
電気保安・ビルメンテナンスの業界で約7年の実務経験があります。
現在は電気保安法人にて、保安業務従事者として勤務しています。

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