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【2025年度版】冬季・電力高需要期に向けた電気設備の保安管理マニュアル〜経産省の通知から読み解く実務のポイント〜

※本記事は、2025年10月31日に経済産業省から出された通知をもとにまとめています。冬季の保安管理に関する通知は例年秋(9月〜11月頃)に新しい年度版が出ます。実務で使う際は、経済産業省「電力の安全」ページで最新の通知もあわせて確認してください。

目次

はじめに:この記事で何が分かるか

冬場は暖房などで電力需要が増えるうえに
積雪や凍結といった厳しい自然環境にもさらされるため
電気設備にとっては厳しい季節となる。

本記事では、冬季特有の設備保守の基礎知識を再確認し
経済産業省からの以下2つの通知内容と実務で気をつけるべきポイントを記載する。

●「2025年度冬季の電力高需要期における電気設備の保安管理の徹底について」(主に発電事業者向け)
●「2025年度冬季の自然災害に備えた電気設備の保安管理の徹底について」(電気主任技術者などへの呼びかけを含む)

冬季の電気設備に関する基礎知識(雪害・結露・小動物対策)

積雪・氷雪による設備へのダメージ

  • 着氷雪による断線・倒壊・ギャロッピング
    着氷雪した電線に強風が当たり上下に大きく揺れる「ギャロッピング現象」による
    相間短絡(閃絡)のリスクがある。
  • 凍結による機器の動作不良
    断路器(DS)など屋外開閉装置の凍結による操作不良に注意が必要。
  • キュービクル周辺の積雪
    扉前や換気口が雪で埋まると点検や緊急操作に支障をきたすため
    除雪の段取りをあらかじめ決めておく。

結露と絶縁低下

冬場は夜間や明け方の冷え込みでキュービクルの外箱や盤内機器が冷やされ
盤内の湿った空気が露点以下になることで、内部に結露が起きやすくなる。
結露で碍子(がいし)やケーブル端末の表面が濡れ、そこにほこりなどの汚れがあると
トラッキング現象や絶縁低下が起き、地絡事故につながる。

さらに、需要家側の保護装置が正しく動作しなければ
配電線まで停電が広がる波及事故になるおそれもある。
そのため、盤内に固定したスペースヒーターによる温度・湿度の管理(サーモスタットや湿度センサーの設定確認を含む)、吸湿剤の設置、碍子や端末の清掃が、重要な対策になる。

小動物の侵入(鳥獣害)

寒さをしのぐため、ネズミや小鳥が盤内の隙間から侵入し
高圧充電部に触れて短絡事故を起こすケースが頻発しやすい。
ケーブル引込口のパテ劣化、換気口の金網の破れ、扉パッキンの傷みを目視点検することが必要となる。

冬季の電力需給見通しと懸念されるリスク

通知および同日決定の電力需給対策によると
2025年度冬季は「10年に一度の厳しい寒さ」を想定した場合でも
安定供給の最低基準である予備率3%を上回る見通しのため、全国的な節電要請は行われない。

※以下の要因で需給が厳しくなるリスクが指摘されている。

  • 想定を上回る需要の増加
  • 設備のトラブル
  • 海外情勢の変化(燃料調達への影響など)

需要家設備の事故も、波及事故となれば周辺地域の停電を招く。
「今年は足りている」と油断せず
事業者・需要家それぞれのレベルで、設備トラブルを未然に防ぐことが大切である。

通知の要請事項と、実務者が取るべきアクション

通知で求められていること

  • 電力高需要期の通知(発電事業者向け)
    火力・再エネ発電設備の巡視点検強化、事故時の早期復旧対策の徹底、防災体制整備と事故後の迅速な情報発信。
  • 自然災害の通知(電気主任技術者等向け)
    雪害等の自然災害に備えた電気工作物の入念な点検と
    設置者への補強・修理等の指示・助言。
    過去には豪雨での太陽光パネル崩落や
    非常用発電機の点検不備による稼働失敗事例も報告されており
    保安規程に基づく定期点検の重要性が示されている。

実務者のアクション
上記通知の趣旨を踏まえた、需要設備担当者向けの具体策。

アクション1:巡視・点検の強化

  • 盤内固定式スペースヒーターの動作確認と、温度・湿度設定の確認
  • 結露跡、碍子・ケーブル端末の汚損やトラッキング痕の確認
  • ケーブル引込口・換気口・扉パッキンの隙間確認(小動物対策)
  • 屋外開閉装置の凍結対策と周辺の除雪計画の確認
  • 非常用予備発電装置の動作確認(燃料残量や始動用蓄電池の状態含む)
  • 太陽光発電設備の積雪荷重によるパネル破損や架台変形への備え

アクション2:早期復旧態勢づくり

  • 高圧ヒューズ(PF)など主要予備品の確保
  • 復旧人員の確保と、降雪時の現場移動手段・ルートの確保
  • 緊急連絡網(設置者、保安協会・電気保安法人、電気工事業者、メーカー等)の最新化

アクション3:事故時の報告・情報発信の流れを準備

  • 第一報の伝達先:設置者、一般送配電事業者、所轄の産業保安監督部などへ誰が連絡するか明確にする。
  • 法定事故報告の期限:波及事故等の場合、電気関係報告規則に基づき、事故発生を知ってから「24時間以内の速報」「30日以内の詳報」の提出が必要。
  • 復旧見込みの判断:基準と関係者への伝達フローを事前に整理する。

まとめ

  • 冬季の基本対策:雪害、結露による絶縁低下、小動物侵入のリスクが高まるため、キュービクル内外の点検やヒーターの動作確認などの基本を徹底する。
  • 2025年度の状況:予備率は全エリアで3%を上回る見通しで節電要請はないが、想定外の需要増や設備トラブル等による需給悪化のリスクはある。
  • 通知の要請:巡視・点検の強化、早期復旧のための事前対策、防災体制の整備と事故後の迅速な情報発信。
  • 実務での対応:非常用予備発電装置を含む点検、予備品・連絡網の準備、事故報告の流れの確認を今のうちに済ませておく。

参考資料

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この記事を書いた人

はじめまして、当ブログ「名無し電気管理事務所」を運営している名無しと申します。
ここでは、私の経歴や当ブログの運営目的についてご紹介します。

1. 保有資格
実務に関わる以下の国家資格を保有しています。

第3種電気主任技術者(2023年取得)

第1種電気工事士

建築物環境衛生管理技術者

2. 経歴・実務経験
電気保安・ビルメンテナンスの業界で約7年の実務経験があります。
現在は電気保安法人にて、保安業務従事者として勤務しています。

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