MENU

PAS接地抵抗の判断基準|避雷器「30Ω特例」の適用条件と電技解釈の読み方

目次

PAS接地抵抗の判断基準3つと根拠条文【早見表】

PAS接地抵抗の判断基準と早見表(外箱・内蔵VT/ZCTの2次側・避雷器の要求値と根拠条文)

年次点検でPASの接地抵抗を測ったら「10Ωを超えていた」。
このとき、直ちに改修が必要なのか、それとも法令上は許容範囲なのか。

結論から言うと、PASの接地に求められる抵抗値は一律ではなく
①柱の種類(木柱かコンクリート柱か)
②外箱接地とLA(避雷器)接地を共用しているか分離しているか
③LAの設置が法的義務か任意か
の3点で決まる。

接地の対象根拠条文要求値備考
PAS外箱電技解釈 第29条A種(10Ω以下)木柱など絶縁性の柱で、人が触れるおそれがない高さなら省略可。コンクリート柱での省略は不適切(筆者見解)。高圧ケーブルの遮へい層による連接接地(第29条第3項)も可
内蔵VT・ZCTの2次側電路(SOG/GR付)電技解釈 第28条D種(100Ω以下)SOG制御装置付PASで必要
LA(設置義務あり)電技解釈 第37条 第1項・第3項A種(10Ω以下)受電電力500kW以上の引込口など。特例の対象外
LA(任意設置)電技解釈 第37条 第3項ただし書きJESC E2018による場合は30Ω以下(連接接地の場合は別条件)JESC E2018の技術的規定を満たすことが条件。変圧器に近接しない場合(第一号)は避雷器専用の接地線であることが条件

ポイントは、30Ω特例が緩和するのは「避雷器の接地」だけであり
第29条による「外箱のA種接地」は緩和されないという点である。

法令から読み解くPAS接地の基礎知識

① 外箱接地:コンクリート柱ではA種が法令上の要求

高圧ケーブルの遮へい層によるPAS外箱の連接接地(JESC E2019)の図

『電技解釈 第29条(機械器具の金属製外箱等の接地)』により
高圧の機械器具の金属製外箱にはA種接地工事(10Ω以下)が必要となる。
これはメーカーの推奨値ではなく、法令上の要求となる。

『電技解釈の解説』では
高圧の機械器具にA種接地を求める理由を次のように説明している。

「高圧又は特別高圧の電気で充電する機械器具は、人が容易に触れるおそれがないように施設することになるが(→第21条、第22条)、万一接触し、かつ、漏電していた場合の危険を低減するために、A種接地工事を施すことを規定している。A種接地工事を要求しているのは、電圧が高く充電電流も大きいため、漏電時に金属製外箱等に現れる電位上昇も大きくなるからである。」電気設備の技術基準の解釈の解説(令和7年11月20日改正)第29条

※同条第2項第八号により、高圧用の機械器具を
「木柱その他これに類する絶縁性のものの上であって、人が触れるおそれがない高さ」
に施設する場合は、外箱接地を省略できる。

「八 低圧用若しくは高圧用の機械器具、第26条に規定する配電用変圧器若しくはこれに接続する電線に施設する機械器具又は第108条に規定する特別高圧架空電線路の電路に施設する機械器具を、木柱その他これに類する絶縁性のものの上であって、人が触れるおそれがない高さに施設する場合」電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正)第29条第2項第八号

この第八号について、『電技解釈の解説』は次のように説明している。

「第八号は、機械器具を人が触れないように木柱等の高い柱や台の上に施設し、かつ、柱等が絶縁性を有し、人が触れても危険を及ぼすおそれがない場合を対象としている。」電気設備の技術基準の解釈の解説(令和7年11月20日改正)第29条

つまり省略の要件は「人が触れない高さ」だけでなく、柱そのものが絶縁性を有することである。
解説にコンクリート柱についての直接の記述はないが
同じ条の第二号の解説では、絶縁性のあるものとして
「木製の床、畳、リノリウム張りの床、石等で乾燥したもの」を挙げ、「コンクリートの床は含まれない」としている。

この考え方に照らすと、内部に鉄筋を含むコンクリート柱を「絶縁性を有する柱」として扱い
第八号で外箱接地を省略するのは適切ではないと筆者は考える。
需要家のPASの多くはコンクリート柱に設置されているので
実務上は「外箱にA種接地(10Ω以下)が必要」なケースが大半ということになる。

ただし、外箱のA種接地は「PAS単独の接地極で10Ω以下」でなければならないわけではない。
第29条第3項では、高圧ケーブルの遮へい層を利用した連接接地が認められている。

「3 高圧ケーブルに接続される高圧用の機械器具の金属製外箱等の接地は、日本電気技術規格委員会規格 JESC E2019(2015)「高圧ケーブルの遮へい層による高圧用の機械器具の金属製外箱等の連接接地」の「2.技術的規定」により施設することができる。」電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正)第29条第3項

ここで引用されているJESC E2019の技術的規定は
次のとおりである。

「2.技術的規定
高圧用の機械器具の金属製外箱等ごとに施す接地工事の接地線と高圧ケーブルの遮へい層を接続することによる連接接地工事及びその連接接地の合成抵抗値は,次の各号によること。
一 高圧用の機械器具の金属製外箱等ごとに施す接地工事の接地線と高圧ケーブルの遮へい層を接続し,高圧ケーブルの遮へい層に施される他の接地工事と連接接地を構成すること。
二 前号により構成する連接接地の合成抵抗値(高圧ケーブルの遮へい層部分を含む)は,A種接地工事の接地抵抗値以下とすること。」JESC E2019(2015)高圧ケーブルの遮へい層による高圧用の機械器具の金属製外箱等の連接接地

「第3項は、H22解釈で日本電気技術規格委員会規格 JESC E2019(2015)を引用し新たに定めた規定である。この規格は、高圧用の機械器具の鉄台及び金属製外箱に対する接地工事について検討を行った、電気協同研究「配電系統接地設計の合理化」(平成19年5月 第63巻第1号)において、鉄台又は金属製外箱の接地線と高圧ケーブルの金属製の電気的遮へい層とを接続し連接接地を構成する場合に、その合成抵抗値をA種接地工事の接地抵抗値以下とすれば、単独の接地工事と同等の効果があることが確認されたことから制定されたものである。」電気設備の技術基準の解釈の解説(令和7年11月20日改正)第29条

PASの負荷側は、高圧ケーブルで受電設備(キュービクル等)に接続されていることが多い。
PAS外箱の接地線とケーブルの遮へい層を接続し
遮へい層に施された受電設備側の接地工事と連接接地を構成していれば
遮へい層部分を含めた合成抵抗値がA種の値(10Ω以下)であれば、外箱の接地として認められる。

JESC E2019の解説では、地上設置変圧器や多回路開閉器といった配電設備を例に挙げているが
適用範囲は「高圧用の機械器具の金属製外箱等」であり、柱上PASを除外する規定はない。
ただし、次の点には注意が必要である。

  • PAS外箱の接地線と遮へい層が実際に接続され
    遮へい層が受電設備側で接地されていることを確認すること(遮へい層の接地方法は現場ごとに異なる)。
  • 評価するのは遮へい層部分を含めた合成抵抗値であり、測定は連接した状態で行う。
  • JESC E2019が対象とするのは外箱の接地である。
    避雷器の接地を遮へい層との合成抵抗値で評価できるかについては、JESC E2018にもE2019にも規定がない。

② SOG(GR)付PAS:VT・ZCTの2次側にD種接地

需要家に設置される柱上PASは、そのほとんどがSOG制御装置付き(GR付)となる。
PAS内蔵のVT(制御電源用変圧器)やZCT(零相変流器)の2次側電路には
『電技解釈 第28条(計器用変成器の2次側電路の接地)』によりD種接地工事(100Ω以下)が必要となる。
接地端子の区分や接地の方法は、メーカーの仕様書・取扱説明書の指定もあわせて確認すること。

③ LA(避雷器):原則A種接地

LA内蔵PAS、またはLAを別付けしたPASでは
『電技解釈 第37条第3項』により、避雷器にA種接地工事を施すことが定められている。

④ LAの設置が「義務」となるケース

避雷器(LA)の設置が義務となるケース:高圧架空電線路から受電する受電電力500kW以上の需要場所の引込口

『電技解釈 第37条第1項第三号』により
高圧架空電線路から電気の供給を受ける受電電力500kW以上の需要場所の引込口(又はこれに近接する箇所)には
避雷器の施設が義務付けられている。

なお、架空配電線からケーブルで立ち上げて地中引込としている場合でも
「高圧架空電線路から供給を受ける」ことに変わりはないため
それだけで義務の対象外になるとは限らない。
除外の可否は、同条第2項第一号「前項各号に掲げる箇所に直接接続する電線が短い場合」に該当するかで判断する。

第2項第一号の趣旨について、解説は次のように説明している。

「第一号は、他の変電所に隣接する場合等、接続する電線が短い場合には、雷電圧の侵入する機会が著しく少ないので、これを除外している。」電気設備の技術基準の解釈の解説(令和7年11月20日改正)第37条

解説が例に挙げているのは「他の変電所に隣接する場合等」であり、地中引込についての直接の記述はない。
地中引込の場合も、接続する電線の長さや雷電圧が侵入する可能性に照らして
この考え方で判断することになる。

この「設置が義務付けられている避雷器」は後述する30Ω特例の対象外であり
原則どおりA種(10Ω以下)で維持管理しなければならない。
解説でも次のように明記されている。

「第1項の規定により避雷器を施設する箇所は、非常に重要な機械器具がある場所であり、雷の侵入によりそれらの機械器具が損傷することは電力供給の確保上及び保安上の問題があるので、これを10Ω以下の十分低い接地抵抗値で接地する必要がある。」電気設備の技術基準の解釈の解説(令和7年11月20日改正)第37条

なお、500kW未満の需要家であっても
避雷器が不要というわけではない。

「なお、高圧架空電線路から供給を受ける500kW未満の需要場所の引込口及び近接する箇所についても、雷電圧により当該電気設備に損壊のおそれがある場合には、避雷器の施設その他適切な措置を講じることが必要である。」電気設備の技術基準の解釈の解説(令和7年11月20日改正)第37条

避雷器の「30Ω特例」とは

30Ω特例を使うなら避雷器の接地線は専用に:外箱と共用(NG)と専用(OK)の比較図

法的根拠(電技解釈 第37条第3項ただし書き)

「ただし、高圧架空電線路に施設する避雷器(第1項の規定により施設するものを除く。)のA種接地工事を日本電気技術規格委員会規格 JESC E2018(2015)「高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事」の「2.技術的規定」により施設する場合の接地抵抗値は、第17条第1項第一号の規定によらないことができる。」電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正)第37条第3項

つまり、設置義務のない(任意設置の)避雷器について
JESC E2018の技術的規定どおりに施設する場合に限り、A種接地の10Ω以下という値によらないことができる。
JESC E2018では、避雷器を単独で接地する場合の接地抵抗値を30Ω以下としている(連接接地の場合の条件は後述)。

JESC E2018の技術的規定のうち
30Ωに関わる第一号・第二号は次のとおりである。

「一 避雷器{B種接地工事が施された変圧器(高圧巻線と低圧巻線との間に金属製の混触防止板を有し,高圧電路と非接地の低圧電路とを結合する変圧器を除く。以下同じ。)に近接して施設する場合を除く。}の接地工事の接地線が当該接地工事専用のものである場合において,当該接地工事の接地抵抗値が30Ω以下であるとき。
二 避雷器をB種接地工事が施された変圧器に近接して施設する場合において,避雷器の接地工事の接地極を変圧器のB種接地工事の接地極から1m以上離して施設し,当該接地工事の接地抵抗値が30Ω以下であるとき。」JESC E2018(2015)高圧架空電線路に施設する避雷器の接地工事 2.技術的規定

ここで見落としやすいのが、第一号の「接地線が当該接地工事専用のものである場合」という条件である。
変圧器から離れた単独柱のPASで30Ωを適用するには
避雷器の接地線が避雷器専用であることが前提となる。

外箱の接地は第29条に基づく別の接地工事であるため
外箱と避雷器で接地線を共用している場合は、文言どおりに読めば「当該接地工事専用」には当たらないと
筆者は解釈している。

JESC E2018の解説にはこの点の明確な説明がないため
判断に迷う場合は所轄の産業保安監督部などに確認してほしい。

なぜ30Ωまで許容されるのか

『電技解釈の解説』は、柱上開閉器などを保護する避雷器について
次のように説明している。

「まず、避雷器を変圧器に近接しない場所に施設する場合、すなわち配電線の負荷が長距離にわたって存在しない場所で、電線、がいし又は柱上開閉器を保護するために避雷器を施設するような場合は、接地抵抗値を30Ωまで許容している(→解説37.1図 一)。」電気設備の技術基準の解釈の解説(令和7年11月20日改正)第37条

30Ωという値の根拠についても
解説に明記されている。

「この30Ωという値は、V0max / Ia=30Ωから求められたものである。ここで、V0maxは避雷器の接地電位上昇の許容限度であり、Z規格(戦時規格)の変圧器の基準衝撃絶縁強度と雷実測の結果から一般に30kVであると考えている。Iaは、我が国における配電用避雷器の放電電流で、9電力会社管内の襲雷頻度の大きい地域の実系統における調査の結果では1,000A以下が95~98%であり、このうち300A以下が約70%を占め、平均値は約200Aである。配電線路近傍の落雷による最も苛酷な誘導雷サージでもその発生機構から考えて放電電流が1,000Aを超えるものはほとんどないことから、Iaを1000Aとしている。」電気設備の技術基準の解釈の解説(令和7年11月20日改正)第37条

式で表すと次のとおり。

R = V0max ÷ Ia = 30,000V ÷ 1,000A = 30Ω

つまり、実系統で観測された放電電流のほぼ上限である1,000Aが流れても
接地電位の上昇を、変圧器の基準衝撃絶縁強度と雷実測の結果から定めた30kV以内に抑えられる値が30Ω
ということである。

変圧器が近くにある場合の条件

避雷器が放電すると接地電位が上昇し、近くに変圧器のB種接地があると
その電位上昇が低圧配電線を通じて需要家に侵入するおそれがある。
解説は、この場合の条件を次のように示している。

「実験の結果によると、E0は標準衝撃波で5kV程度である。これを目安として計算すると、需要家に達するまでの継続時間は標準波より相当短くなるので、接地抵抗値が30Ωの場合は l=1m以上として実用上危険性がない値と考えられている(→解説37.1図 二)。
避雷器の接地抵抗値が30Ωを超える場合又は避雷器とB種接地工事の相互の極が1m未満になる場合は、連接接地とする(→解説37.1図 三)。」電気設備の技術基準の解釈の解説(令和7年11月20日改正)第37条

ここで、E0は需要家の機器に危険を与える電圧の限度
lは避雷器の接地極とB種接地極との離隔距離である。

JESC E2018の技術的規定(解説37.1図)を整理すると
次のようになる。

施設の状況(JESC E2018の各号)避雷器の接地抵抗値その他の条件
一 B種接地が施された変圧器に近接しない場合30Ω以下接地線が避雷器の接地工事専用であること
二 B種接地が施された変圧器に近接する場合30Ω以下避雷器の接地極とB種接地極を1m以上離す
三 変圧器に近接した箇所で、避雷器の接地線とB種接地線を接続する場合65Ω以下避雷器を中心とする半径300m以内で低圧架空電線の1箇所以上に接地を施し、合成接地抵抗20Ω以下
四 避雷器の接地線と低圧架空電線(架空共同地線を含む)を接続する場合65Ω以下避雷器を中心とする半径300m以内で低圧架空電線の1箇所以上に接地を施し、合成接地抵抗16Ω以下

30Ω特例を適用できるかの判断手順

30Ω特例を適用できるかの判断手順(STEP1〜3のフロー図)

測定値が10Ωを超えていた場合、以下の順に確認する。

STEP1:LAの設置は義務か任意か

受電電力500kW以上で高圧架空電線路から受電している(第37条第1項第三号に該当する)場合、LAは義務設置である。→ 特例は使えず、10Ω以下が必要となる。

STEP2:外箱接地とLA接地は共用か分離か

  • 外箱とLAの接地線を共用している場合
    前述のとおり、文言どおりに読めばJESC E2018第一号の「接地線が当該接地工事専用」という条件を
    満たさないため、30Ω特例(第一号)は使えず、10Ω以下が必要と筆者は考える。
    コンクリート柱であれば、外箱にも第29条のA種(10Ω以下)がかかる。
    なお、外箱については、高圧ケーブルの遮へい層による連接接地(第29条第3項・JESC E2019)で合成抵抗値を10Ω以下とする方法もある。
  • 外箱とLAの接地を分離している場合
    LAはSTEP3を満たせば30Ω以下で管理できる。
    コンクリート柱であれば、外箱は別途A種(10Ω以下、または連接接地による合成抵抗値10Ω以下)が必要。
  • 木柱で、人が触れるおそれがない高さに施設している場合
    外箱接地は省略できる。LAの接地線を外箱と共用せず避雷器専用としていれば
    STEP3に進む(VT・ZCTの2次側のD種接地は別途必要)。

LA内蔵PASは、機種によって外箱とLAの接地端子が内部で共通になっているものがある。
接地を分離できるかどうかは、メーカーの仕様書や結線図で確認すること。

STEP3:JESC E2018の技術的規定を満たしているか

PASが単独の自営柱に設置され、近くにB種接地が施された変圧器がなく
避雷器の接地線が専用であれば、JESC E2018の第一号に当たり、30Ω以下で管理できる。
同一柱や近傍に変圧器がある場合は第二号に当たり
避雷器の接地極とB種接地極を1m以上離しているかを確認する。
30Ωを超える場合や離隔が1m未満の場合は、第三号・第四号の連接接地の条件を満たす必要がある。

なお、第三号は変圧器に近接する場合
第四号は低圧架空電線と接続する場合の規定であるため
近くに変圧器も低圧架空電線もない単独柱のPASで30Ωを超えた場合は
接地抵抗値を30Ω以下に下げる改修が必要となる。

実務における経年劣化への対応

経年劣化で接地抵抗値が上昇したときの実務対応:30Ω特例ありの場合と特例なしの場合の比較

新設・更新時は10Ω以下を基本に

上記のとおり、コンクリート柱で外箱とLAの接地を共用する一般的な構成では
そもそも10Ω以下が法令上の要求となる(筆者見解)。
新設工事やPASの更新工事では、施工業者に「A種10Ω以下」を規定値として発注するのが確実である。

劣化で10Ωを超えた場合の判断

土壌条件によっては、10Ωを達成するために接地抵抗低減剤を使用することがある。
低減剤の効果は永続的ではなく、経年劣化や土壌水分の変化によって
数年から十数年で接地抵抗値が徐々に上昇してくるケースが少なくない。

  • 上記の判断手順で30Ω特例が適用できる構成の場合
    30Ω以下であれば電技解釈上の要求は満たしている。
    直ちに改修する必要はなく、測定値の推移を記録しながら
    計画的な改修・更新の対象として管理することができる。
  • 特例が適用できない構成の場合(義務設置LA、外箱とLAの接地線を共用している場合など)
    10Ωを超えた状態は電技解釈の要求を満たしていないと考えるべきである
    (外箱とLAの接地線の共用については前述の筆者の解釈による。外箱については、第29条第3項の連接接地で合成抵抗値がA種の値以下となる場合を除く)。
    設置者に報告のうえ、接地極の追加(打ち増し)などの改修を計画する必要がある。

あわせて確認したい安全上のポイント

抵抗値の判断とあわせて、接地線や柱まわりの状態も点検しておきたい。
以下、法令上の要求と、筆者が推奨する確認項目を分けて記載する。

法令上の要求(A種接地工事の施設方法)

接地極及び接地線を人が触れるおそれがある場所に施設する場合
A種接地工事は次のように施設することが求められる(電技解釈 第17条第1項第三号)。
30Ω特例の有無にかかわらず、人が触れるおそれがある場所に施設するA種接地工事に共通する要件である。

  • 接地極は、地下75cm以上の深さに埋設すること(イ)。
  • 接地線には、絶縁電線(屋外用ビニル絶縁電線を除く)又は通信用ケーブル以外のケーブルを使用すること。
    ただし、接地線を鉄柱その他の金属体に沿って施設する場合以外は
    地表上60cmを超える部分についてはこの限りでない(ハ)。
  • 接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分は、合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く)等で覆うこと(ニ)。

「ニ 接地線の地下75cmから地表上2mまでの部分は、電気用品安全法の適用を受ける合成樹脂管(厚さ2mm未満の合成樹脂製電線管及びCD管を除く。)又はこれと同等以上の絶縁効力及び強さのあるもので覆うこと。」電気設備の技術基準の解釈(令和7年11月20日改正)第17条第1項第三号

推奨される確認項目
●接地線の保護管(アースモール等)に破損・外れがないこと
●コンクリート柱では、接地線を柱の内部(中空部)に通すなど
 人が容易に触れない施設になっていること
●引留め支線に玉がいしが挿入され、支線を伝った感電のおそれがないこと
●接地抵抗値の推移を記録し、上昇傾向を早めに把握すること

まとめ

  • PAS外箱のA種接地(10Ω以下)は、コンクリート柱では法令上の要求である。柱上PASで外箱接地を省略できるのは、木柱など絶縁性の柱で、人が触れるおそれがない高さに施設する場合に限られる。
  • SOG付PASのVT・ZCT 2次側にはD種接地(100Ω以下)が必要(第28条)。
  • 30Ω特例が緩和するのは任意設置の避雷器の接地だけで、JESC E2018の技術的規定を満たすことが条件である。変圧器から離れた単独柱では、避雷器の接地線が専用であることが求められる。30Ωという値は、放電電流1,000A・接地電位上昇の許容限度30kVから求められている。
  • 変圧器から離れた単独柱で、外箱とLAの接地線を共用しているPASでは、JESC E2018第一号の「専用」の条件を文言どおりに読めば30Ω特例は使えず、10Ω以下が必要となる(筆者の解釈)。外箱の接地は、高圧ケーブルの遮へい層による連接接地(JESC E2019)で合成抵抗値を10Ω以下とする方法もある。

※本記事は筆者の解釈に基づく解説である。実際の判断にあたっては、電技解釈・電技解釈の解説・JESC規格(E2018、E2019)の原文を確認すること。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

はじめまして、当ブログ「名無し電気管理事務所」を運営している名無しと申します。
ここでは、私の経歴や当ブログの運営目的についてご紹介します。

1. 保有資格
実務に関わる以下の国家資格を保有しています。

第3種電気主任技術者(2023年取得)

第1種電気工事士

建築物環境衛生管理技術者

2. 経歴・実務経験
電気保安・ビルメンテナンスの業界で約7年の実務経験があります。
現在は電気保安法人にて、保安業務従事者として勤務しています。

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次