太陽電池発電設備における火災事故の事例とメカニズム

太陽光発電所では、機器の故障を起点とした火災リスクが常に存在する。
「令和6年4月15日に発生したゴルフ場メガソーラー発電所火災事故」の事例メカニズムは以下の通り。
事故では、パワーコンディショナー(PCS)1台とパネルの破損、ケーブルおよび下草の焼損が発生した。
事故の起点として、PCS内部の部品(コンデンサ)が原因不明で故障した。
その後、PCS内部の温度上昇および圧力上昇により筐体が破損し
PCSの前面カバーが落下した。
さらに、火のついたコンデンサが飛散して周囲の下草等に引火し、発電所内に延焼した。
事故当日は数日間晴天が続いており、発電所の下草は枯れて乾燥しやすい状態だった。
また、当日は風も吹いており(最大瞬間風速10.1m/s)、燃えやすい環境要因が重なっていた。
電気機器の故障が直接の大規模火災に繋がるのではなく
「周囲の可燃物(枯れ草など)への引火」が被害を拡大させる最大の要因となる。
技術基準の解釈・逐条解説の改正(令和7年5月15日改正)

上記のような大規模太陽電池発電設備における火災事故を踏まえ、国によるルールが明確化された。
令和7年(2025年)5月15日に
「発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈に関する逐条解説」の一部改正が行われている。
具体的に講ずるべき延焼防止対策の例
周辺に炎を当てると容易に燃え広がる可燃物(枯れた草木等)が
存在すると広範囲に延焼するおそれがあるため事態の発生を防止する具体的な措置の例が示されている。
あらかじめ発火の可能性のある機械器具(パワーコンディショナー等)の
周囲の枯れた草木を除去することが求められる。
難燃性の防草シートを敷く、または砕石を敷き詰めるなどの
炎を当てると容易に燃え広がる可燃物への延焼防止措置を講じる必要がある。
これらの措置を講じた上で、それを適切に維持することが求められる。
具体例
防草シートを敷く場合には、定期的にシートの点検・交換を行い
劣化によりその機能が損なわれないようにすること。
実務における保安管理のポイント

除草や防草シートの敷設が「推奨」ではなく
省令第3条(保安原則)を満たすための「具体的な措置」として例示された点となる。
電気主任技術者としては、以下の点を実務に組み込む必要がある。
- 月次点検時の重点確認
PCSや変圧器など、発火源となり得る機器の周囲半径数メートル以内に
枯れ草や可燃物が放置されていないかを厳格にチェックする。 - 設置者への是正指導
雑草が繁茂している場合や、防草シートが破れ・劣化して機能していない場合は
単なる美観の問題ではなく「技術基準違反のリスク(延焼の危険性)」として設置者に報告し
早急な草刈りやシートの補修・砕石の追加を促す。 - 防草シートの仕様確認
新規に防草シートを導入、または張り替える際は
「難燃性の防草シート」を選定するようアドバイスを行う。
参考資料
https://www.safety-kanto.meti.go.jp/electric/e_seminar2025.html
令和7年度電気主任技術者セミナー実施概要 より一部引用
経済産業省 産業構造審議会(電力安全小委員会)
「大規模太陽電池発電設備における火災事故及びその対応について」
※令和6年4月に発生したゴルフ場メガソーラー発電所火災の事故概要およびメカニズムに関する報告資料
経済産業省 産業保安・安全グループ 電力安全課
「発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令及びその解釈に関する逐条解説の一部改正」(令和7年5月15日公表)
※太陽電池発電所における下草対策等の延焼防止措置の義務化に関する公式資料

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