主要電気工作物への追加と対象範囲

再エネの自家消費やBCP対策として大型の蓄電池を設置する事業場が増えているが
設備の普及に伴い、火災などの事故リスクも顕在化している。
令和7年11月20日に「電気関係報告規則及び主要電気工作物を構成する設備を定める告示」の
一部改正が実施され、この改正における重要なポイントは以下の通り。
- 火災の危険性を鑑み、容量20kWhを超える電力貯蔵装置が主要電気工作物に追加された。
※専ら非常用のものは除かれる。 - 蓄電所における主要電気工作物のうち、逆変換装置(PCS等)の対象容量が
「10,000kVA以上」から「20kVA以上」へと大幅に見直された。
この改正により、従来は対象外であった比較的小規模〜中規模の蓄電池設備であっても
主要電気工作物として扱われるケースが増加した。
設備構成別の該当例と考え方

蓄電所の場合
- 電力系統から受変電設備を経由して接続される。
- 20kVA以上の逆変換装置(PCS等)と
20kWh超の電力貯蔵装置(常用)で構成されるシステムが対象となる。
需要設備の場合
- 工場やビルなどの需要設備内に設置される場合
容量が20kWh超であっても用途によって扱いが異なる。
※「専ら非常用」の需要設備は対象外となります。
ピークカット等の「常用」目的で使用される
20kWh超の需要設備は対象となる。
発電設備に附属する蓄電池の場合
太陽光発電等の発電設備に附属する形で
20kWh超の電力貯蔵装置(常用)およびPCS等が設置される場合も規定の対象となる。
事故報告の要件と対象種別

主要電気工作物に指定された設備で事故が起きた場合
国への報告義務が生じる。
- 報告規則第3条第1項第4号に記載された種別に応じ
主要電気工作物の破損事故が発生した際には事故報告が必要となる。
報告規則に記載の対象種別
- 水力発電所
- 火力発電所
- 燃料電池発電所
- 太陽電池発電所
- 風力発電所
- 蓄電所(容量が20kWhを超えるもの)
- 変電所
- 需要設備
実務におけるポイント

仕様書・用途の確認の徹底
蓄電池設備を新設・更新する際は
仕様書上で「容量が20kWhを超えるか」「PCSの容量が20kVA以上か」を確認するだけでなく
運用目的が「常用」か「非常用」かを明確にしておく必要がある。
非常用発電機との組み合わせなど、用途の定義に迷う場合は
所轄の産業保安監督部へ事前確認を行うことが推奨される。
保安規程と点検基準の見直し
新たに主要電気工作物に該当する蓄電池を導入した場合
既存の保安規程や日常点検・月次点検の基準に蓄電池の項目を適切に追加し
管理体制をアップデートする必要がある。
事故報告体制の周知
主要電気工作物の破損事故は、電気関係報告規則に基づき
厳格な期限(速報は原則24時間以内、詳報は30日以内)での報告が求められる。
万が一の火災や破損時に備え、設置者(お客様)と管理技術者間での緊急連絡フローを再確認が必要。
参考資料
経済産業省 法令・告示
・電気関係報告規則
・主要電気工作物を構成する設備を定める告示
※令和7年11月20日施行の一部改正(電力貯蔵装置の事故報告対象の拡大等)
経済産業省 審議会・検討会資料
・産業構造審議会 電力安全小委員会 電気設備ワーキンググループ
「蓄電池設備における爆発・火災事故 及びその対応について」
各産業保安監督部 周知資料
・電気保安行政の動向・電気使用安全月間セミナー等 配布資料
関連業界団体の解説ページ
・一般社団法人 太陽光発電協会(JPEA):電気関係報告規則等の改正(電力貯蔵装置の事故対象範囲に変更)
・一般社団法人 日本内燃力発電設備協会(NEGA):「電気関係報告規則等の一部改正」に関するお知らせ

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