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【令和7年改正】リチウムイオン蓄電池の技術基準解釈の備忘録

目次

リチウムイオン蓄電池に関する技術基準解釈の改正概要(第44条の2)

太陽光発電などの再生可能エネルギーを安定的に活用するため
大型蓄電池の併設はもはやスタンダードになりつつある一方で
蓄電池特有の火災リスクも顕在化しており、令和7年(2025年)11月20日付で
「電気設備の技術基準の解釈」が一部改正された。

改正の契機となった火災事故

今回の保安要件明確化の直接的な引き金となったのは
令和6年(2024年)3月に鹿児島県の太陽電池発電所で発生した爆発・火災事故。
この事故では、以下のような甚大な被害が生じた。

  • 人的被害:建屋での爆発により、消火活動にあたっていた消防隊員4名が負傷。
  • 物的被害:PCS(パワーコンディショナ)および蓄電池建屋が全焼。
    さらに飛散物によって太陽光パネル5枚が破損。
  • 事故原因:併設されていたリチウムイオン蓄電池が原因と推定されている。

リチウムイオン蓄電池は、内部・外部短絡、過充電、過放電、あるいは外力などによって
内部温度が異常上昇するリスク(熱暴走)がある。
これにより電解液が熱分解して可燃性ガスが発生し、発火や破裂に至る危険性を持つ電気機械器具。

新設された「第44条の2」の要求事項

カーボンニュートラルを見据えた再エネ導入拡大に伴い
出力変動を吸収する蓄電池の重要性は今後増していくため
安全性能を法的に担保すべく、「解釈」の第44条の2が新設された。

新たに規定された要件は以下の通り。

【解釈 第44条の2の要点】
発電所、蓄電所、変電所等に施設されるリチウムイオン蓄電池は、日本産業規格 JIS C 8715-2 (2024) 「産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム-第2部:安全性要求事項」の「6 型式試験」に規定する方法により試験を行ったとき、これに適合するものであること。

→今後はJIS規格の厳格な安全性試験(型式試験)をクリアした製品でなければ
電気事業用の設備等として設置できなくなったということ。

実務におけるポイント

新設・更新時の仕様書チェックの徹底

今後の実務において最も重要なのは、設備導入時の確認となる。
設計や機器選定の段階で、採用するリチウムイオン蓄電池システムが
「JIS C 8715-2 (2024) の型式試験に適合しているか」を
メーカーの仕様書や成績書でエビデンスを確認する必要がある。

設置後に「実は規格外だった」となれば
使用前自己確認や安全管理審査で大きな手戻りが発生する。

日常巡視・月次点検での監視ポイント

リチウムイオン蓄電池の火災は、一度発生すると鎮火までに数日を要するケースが
海外でも報告されている。
そのため、「発火させない」ための運用監視が重要となる。

  • BMS(バッテリーマネジメントシステム)の確認
    セル間の電圧ばらつきや異常温度のアラートが出ていないか
    月次点検時にシステムログを必ず確認すること。
  • 空調設備の維持管理
    蓄電池建屋内の温度管理は熱暴走を防ぐ生命線。
    エアコンのフィルター詰まりや故障がないか、電気設備本体と同等以上に気を配る必要がある。
  • 外観点検
    バッテリーラックの変形、膨張、異臭(甘いような溶剤の臭いなど)がないか
    五感を使った点検が有効となる。

保安規程および異常時の連絡体制の見直し

万が一の事態に備え
保安規程内の「災害時・事故時の措置」をアップデートすることも対策のひとつとなる。

先述の事故事例のように、リチウムイオン電池の火災に水系の消火設備を使用すると
かえって危険なガスが発生したり感電リスクが高まったりする場合がある。
あらかじめ所轄の消防署と「施設内に大型リチウムイオン電池があること」を情報共有し
出火時の初期対応や連絡網をフローチャート化しておくことを推奨される。

まとめ

項目内容
対象設備発電所、蓄電所、変電所等に施設するリチウムイオン蓄電池
要求事項JIS C 8715-2 (2024) の「6 型式試験」への適合
背景鹿児島県での爆発事故(消防隊員負傷)等を受けた保安要件の明確化
実務の対応メーカーエビデンスの確認徹底、空調・BMSの確実な点検、消防との連携

リチウムイオン蓄電池に関する技術基準解釈の改正概要(第44条の2)

太陽光発電などの再生可能エネルギーを安定的に活用するため
大型蓄電池の併設はもはやスタンダードになりつつありる一方で
蓄電池特有の火災リスクも顕在化しており、令和7年(2025年)11月20日付で
「電気設備の技術基準の解釈」が一部改正された。

改正の契機となった火災事故

今回の保安要件明確化の直接的な引き金となったのは
令和6年(2024年)3月に鹿児島県の太陽電池発電所で発生した爆発・火災事故。
この事故では、以下のような甚大な被害が生じた。

  • 人的被害:建屋での爆発により、消火活動にあたっていた消防隊員4名が負傷。
  • 物的被害:PCS(パワーコンディショナ)および蓄電池建屋が全焼。
    さらに飛散物によって太陽光パネル5枚が破損。
  • 事故原因:併設されていたリチウムイオン蓄電池が原因と推定されている。

リチウムイオン蓄電池は、内部・外部短絡、過充電、過放電、あるいは外力などによって
内部温度が異常上昇するリスク(熱暴走)がある。
これにより電解液が熱分解して可燃性ガスが発生し、発火や破裂に至る危険性を持つ電気機械器具。

新設された「第44条の2」の要求事項

カーボンニュートラルを見据えた再エネ導入拡大に伴い
出力変動を吸収する蓄電池の重要性は今後増していくため
安全性能を法的に担保すべく、「解釈」の第44条の2が新設されまた。

新たに規定された要件は以下の通り。

【解釈 第44条の2の要点】
発電所、蓄電所、変電所等に施設されるリチウムイオン蓄電池は、日本産業規格 JIS C 8715-2 (2024) 「産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム-第2部:安全性要求事項」の「6 型式試験」に規定する方法により試験を行ったとき、これに適合するものであること。

→今後はJIS規格の厳格な安全性試験(型式試験)をクリアした製品でなければ
電気事業用の設備等として設置できなくなったということ。

実務におけるポイント

新設・更新時の仕様書チェックの徹底

今後の実務において最も重要なのは、設備導入時の確認となる。
設計や機器選定の段階で、採用するリチウムイオン蓄電池システムが
「JIS C 8715-2 (2024) の型式試験に適合しているか」を
メーカーの仕様書や成績書でエビデンスを確認する必要がある。

設置後に「実は規格外だった」となれば
使用前自己確認や安全管理審査で大きな手戻りが発生する。

日常巡視・月次点検での監視ポイント

リチウムイオン蓄電池の火災は、一度発生すると鎮火までに数日を要するケースが
海外でも報告されている。
そのため、「発火させない」ための運用監視が重要となる。

  • BMS(バッテリーマネジメントシステム)の確認
    セル間の電圧ばらつきや異常温度のアラートが出ていないか
    月次点検時にシステムログを必ず確認すること。
  • 空調設備の維持管理
    蓄電池建屋内の温度管理は熱暴走を防ぐ生命線。
    エアコンのフィルター詰まりや故障がないか、電気設備本体と同等以上に気を配る必要がある。
  • 外観点検
    バッテリーラックの変形、膨張、異臭(甘いような溶剤の臭いなど)がないか
    五感を使った点検が有効となる。

保安規程および異常時の連絡体制の見直し

万が一の事態に備え
保安規程内の「災害時・事故時の措置」をアップデートすることも対策のひとつとなる。

先述の事故事例のように、リチウムイオン電池の火災に水系の消火設備を使用すると
かえって危険なガスが発生したり感電リスクが高まったりする場合がある。
あらかじめ所轄の消防署と「施設内に大型リチウムイオン電池があること」を情報共有し
出火時の初期対応や連絡網をフローチャート化しておくことを推奨される。

まとめ

項目内容
対象設備発電所、蓄電所、変電所等に施設するリチウムイオン蓄電池
要求事項JIS C 8715-2 (2024) の「6 型式試験」への適合
背景鹿児島県での爆発事故(消防隊員負傷)等を受けた保安要件の明確化
実務の対応メーカーエビデンスの確認徹底、空調・BMSの確実な点検、消防との連携

参考資料

https://www.safety-kanto.meti.go.jp/electric/e_seminar2025.html
令和7年度電気主任技術者セミナー実施概要 より一部引用

日本産業規格(JIS):JIS C 8715-2:2024「産業用リチウム二次電池の単電池及び電池システム-第2部:安全性要求事項」

経済産業省(産業構造審議会 電力安全小委員会等):電気設備における事故事例および保安規制の検討資料(令和6年 鹿児島県太陽電池発電所火災事故など)

経済産業省:「電気設備の技術基準の解釈」の一部改正について

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この記事を書いた人

はじめまして、当ブログ「名無し電気管理事務所」を運営している名無しと申します。
ここでは、私の経歴や当ブログの運営目的についてご紹介します。

1. 保有資格
実務に関わる以下の国家資格を保有しています。

第3種電気主任技術者(2023年取得)

第1種電気工事士

建築物環境衛生管理技術者

2. 経歴・実務経験
電気保安・ビルメンテナンスの業界で約7年の実務経験があります。
現在は電気保安法人にて、保安業務従事者として勤務しています。

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