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【動く図解】高圧進相コンデンサの残留電荷はなぜ直流になるのか

高圧受電設備の点検や停電作業で
必ず注意されるのが「進相コンデンサの残留電荷」となる。
コンデンサは交流の回路で使われているが、停電後に残る電荷は直流となる。
この記事では、なぜ交流が直流として残るのかを、動く図を使って説明する。

結論
残留電荷は「直流」 開閉器や遮断器で回路を切ると
コンデンサには切れた瞬間の電圧がそのまま残る。
残った電圧は、プラスとマイナスの向きが入れ替わらない。つまり直流電圧。

目次

運転中のコンデンサは交流で充電と放電を繰り返している

電源につながっている間、コンデンサの電圧は電源の交流と同じように変化している。
60 Hzの地域では、電極のプラスとマイナスが1秒間に120回入れ替わる。
電流は、電源とコンデンサの間を行ったり来たりしている。

開閉器を開いた瞬間、電圧が「止まる」

開閉器を開くと、電流の通り道がなくなる。
電荷は移動できなくなるので、切れた瞬間の電圧のまま電極に閉じ込められる。

交流の開閉器や遮断器は、電流が0になる瞬間に電流を切る。
コンデンサに流れる電流は電圧より90°進んでいるので
電流が0になるのは、ちょうど電圧が山か谷にある瞬間となる。

そのため、開閉器を開いたコンデンサには、ほぼ最大の電圧(波高値)が残るのが普通。
目安として、6.6 kV系では相電圧の波高値が約5.4 kV、線間電圧の波高値が約9.3 kV。
直列リアクトル付きのコンデンサでは、もう少し高くなる。
開閉器の接点間で再び放電(再点弧)が起きると、波高値より高い電圧が残ることもある。
※実際に端子間に残る電圧は、コンデンサの結線や遮断のされ方で変わる。

動く図で確かめてみる

下の図で「開閉器を開く」を押すと、電流が0になる瞬間(電圧の山か谷)に開閉器が切れ
波形が交流(青)から直流(オレンジ)に変わる。
「放電抵抗を付ける」にチェックを入れると、残った電圧が少しずつ0 Vに近づく様子も見られる。

回路
+++ −−− 電源 60 Hz 開閉器 進相コンデンサ 放電抵抗 C
コンデンサの端子間電圧(線間電圧)
+9.3kV 0 −9.3kV 開閉器が切れた瞬間(電流0) 時間 →(見やすいように引き伸ばしています)
通常の開閉操作と同じように、電流が0になる瞬間(電圧の山か谷)まで待ってから切れます。
+0.00kV
交流

電源につながっている間は、1秒間に120回プラスとマイナスが入れ替わります(60 Hz)。

流れで見ると

1 運転中

交流で充電・放電を繰り返す

電極の+と−が1秒に120回入れ替わります。電流は電源とコンデンサの間を行ったり来たりしています。

2 開放の瞬間

その瞬間の電圧で止まる

通常の開閉操作では、開閉器は電流が0になる瞬間に切れます。コンデンサではそれが電圧の山か谷なので、ほぼ最大の電圧で止まります。

3 停電後

向きの変わらない直流が残る

片方の電極が+、もう片方が−のまま固定されます。放電装置がなければ、長時間このまま残ることがあります。

4 放電

放電抵抗・放電コイルで減らす

直流のまま、抵抗を通して少しずつ 0 V に近づけます。作業前には、さらに接地棒で放電させます。

波形の数値は 6.6 kV 系の線間電圧の波高値(6.6 × √2 ≒ 9.3 kV)を目安にしています。実際に残る電圧は、コンデンサの結線や遮断のされ方で変わります。実際の 60 Hz は1周期 約16.7 ms で、ここでは見やすいようにゆっくり表示しています。

この図は仕組みを理解するための簡略モデルとなる。
実際の電圧や放電にかかる時間は、設備の構成や機器によって異なる。

放電抵抗・放電コイルの役割

コンデンサの絶縁は優秀なので、放電装置がないと、電荷は長い時間残り続けることがある。
そのため高圧進相コンデンサには
放電抵抗(コンデンサに内蔵)や放電コイルを付けて
回路を開いた後に残留電圧を下げるようになっている。

放電性能の要求(何秒・何分で何V以下に下げるか)はJIS C 4902で決められている。
正確な数値は規格の最新版で確認が必要となる。

現場で気をつけたいこと

  1. 交流用の検電器では反応しない
    一般的な高圧検電器は、交流の電界を検出する仕組み。
    直流で残っている残留電荷には反応しないので
    「検電して無電圧だったから安全」とは言い切れない。
  2. 作業前に必ず放電・接地する
    停電作業では、残留電荷を安全な方法で確実に放電させること
    検電器具で停電を確認したうえで短絡接地器具により短絡接地することが
    労働安全衛生規則 第339条で定められている。
    実際には、接地棒でコンデンサの端子を短絡・接地して放電させる。
  3. 一度放電しても、電圧がまた出てくることがある
    コンデンサは、放電した後でも内部(誘電体)に残っていた電荷が少しずつ出てきて
    端子に電圧が戻ってくることがある(誘電吸収による再起電圧)。
    作業中は接地を付けたままにしておくのが基本。
  4. 放電が終わる前に再投入しない
    電荷が残ったまま再投入すると、残留電圧と電源電圧が重なって
    過電圧や大きな突入電流が発生することがある。

まとめ

  • 高圧進相コンデンサの残留電荷は直流
  • 開閉器は電流が0になる瞬間(電圧の山か谷)に切れるので、ほぼ最大の電圧が閉じ込められる
    再点弧が起きると、波高値より高い電圧が残ることもある
  • 交流用の検電器では反応しないので、作業前に接地棒で放電させる
  • 再起電圧があるので、作業中は接地を付けたままにする

「交流の設備だから交流が残る」と思い込まず
停電後は直流の電荷が残っているものとして扱う必要がある。

【注意】
この記事は、残留電荷の仕組みを理解するための解説となる。
図は単相の簡略モデルで、時間や電圧は分かりやすく調整している。
実際の停電作業では、関係法令、JISなどの規格、機器メーカーの取扱説明書
事業場の作業手順に従い、検電・放電・接地を確実に行うこと。

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この記事を書いた人

はじめまして、当ブログ「名無し電気管理事務所」を運営している名無しと申します。
ここでは、私の経歴や当ブログの運営目的についてご紹介します。

1. 保有資格
実務に関わる以下の国家資格を保有しています。

第3種電気主任技術者(2023年取得)

第1種電気工事士

建築物環境衛生管理技術者

2. 経歴・実務経験
電気保安・ビルメンテナンスの業界で約7年の実務経験があります。
現在は電気保安法人にて、保安業務従事者として勤務しています。

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