1. OCR(過電流継電器)に関する基礎知識の深掘り
キュービクルなどの高圧受電設備において
OCR(過電流継電器)の試験や点検は
保全業務のなかでも重要な項目の一つとなる。
万が一、構内で短絡事故が起きた際にOCRが正常に機能しなければ
電力会社の配電線全体を停電させてしまう「波及事故」を引き起こし
社会的・経済的に甚大な損害をもたらす可能性がある。
OCRに関する基礎的な理論のおさらいから
現場で実際に起こりがちなトラブル事例、保護協調の考え方
試験時の注意点、そして絶対にやってはいけない禁忌事項まで
実務に即した知識を詳細な備忘録としてまとめた。
数値や判定基準は
JIS C 4602:2017と国内主要メーカー(富士電機・三菱電機・光商工)の資料で裏付けを取った。
OCRの根本的な役割

OCR(Over Current Relay)は、受電設備や配電線路において短絡事故や過負荷電流が発生した際
それを検知して遮断器(VCBなど)にトリップ(引外し)信号を送り
事故区間を迅速かつ最小限に切り離すための保護継電器となる。
制御器具番号は、国内規格のJEM 1090で 「51:交流過電流継電器」 と定められている。
高圧受電用のOCRは、瞬時要素を内蔵していても単線結線図上は「51」と表記するのが一般的。
※米国規格(IEEE C37.2)では「50=瞬時過電流」「51=限時過電流」と分けるが
JEM 1090の「50」は「短絡選択継電器又は地絡選択継電器」。
海外の文献と混同しないよう注意。
OCRは単体で動作するわけではなく、必ずCT(変流器)とセットで使用される。
一次側の大電流を扱いやすい二次電流に変換してOCRに入力する。
JIS C 4602(高圧受電用過電流継電器)が対象とする定格電流は 5A 。
動作原理と2つの保護要素
OCRには大きく分けて2つの保護要素が備わっている。
1. 過負荷保護(限時要素)
- 特徴
電流の大きさに応じて動作時間が変わる「反限時特性」を持つ。
わずかな過電流なら時間をかけて動作し、大きな過電流なら早く動作する。
デジタル形では、超反限時(EI)・強反限時(VI)・反限時(NI)・定限時(DT)から特性を選べる機種が主流。 - 設定項目
- TAP(限時電流整定): 動作の基準となる電流値(JIS:3・3.5・4・4.5・5A、メーカーによっては6Aも)。
- LEVER(ダイヤル/動作時間整定): 動作時間を決定する値。JISでは1〜10の範囲を10分割以上で設定でき、レバーの数値が大きいほど同じ電流でも動作までの時間が長くなる。デジタル形では0.25〜20、30など、より広い範囲を設定できる機種もある。
2. 短絡保護(瞬時要素)
- 特徴: 設定値を超える大電流(短絡事故など)が流れた際、意図的な時限を持たずに動作する。
JISでは、整定値の 200% の電流で 0.05秒以下 で動作することが求められている。 - 設定項目: 瞬時電流整定。JISでは30・40・50・60・80A、または限時タップの10・15・20倍。
メーカー品には10A・15A・20A・25Aなどを追加した機種もある。
OCRの世代と種類
現場では主に以下の3世代のOCRが混在している。
- 誘導円板形(機械式)
磁界の推力で円板を回し、接点を物理的に閉じる古いタイプ。
経年劣化で軸受の摩擦が増え、始動電流や動作時間が規定からずれやすい特徴がある。
また、周波数(50Hz/60Hz)の専用品。 - 静止形(電子式)
アナログ電子回路を用いたタイプ。機械的な可動部がなくなり高精度化したが
コンデンサのドライアップなど電子部品の寿命による故障が起こる。 - デジタル形(マイクロコンピュータ式)
現在の主流。内部でA/D変換を行いマイコンで演算する。
自己診断機能を持ち、限時特性の選択や瞬時要素の段数切替など、細かな設定が可能。
2. 実務におけるポイント・現場で直面するトラブル事例
① 電流引外し方式と電圧引外し方式のミスマッチ

現場で時折見受けられるのが、施工時の発注ミスや手持ち部材の流用による「トリップ方式の不整合」。
これを理解せず放置すると
いざという時に遮断器が切れない致命的な欠陥となる。
- 電流引外し方式(CT二次電流引外し)
平常時はCT二次電流がOCR内部の b接点 を通って流れている。
事故時にOCRが動作してb接点が開くと、CT二次電流がVCBの過電流引外しコイルに転流し
遮断器を引き外す。
制御電源が不要なため、小規模キュービクルで多用される。 - 電圧引外し方式
異常を検知したOCRが a接点 を閉じ、別電源(DC100/110V、コンデンサ引外し電源装置など)から
VCBの電圧引外しコイルに電流を流して引き外す方式。
【トラブル事例】
「電流引外し用」として設計されたOCRの警報用接点(a1-a2接点など)を
「電圧引外し用」VCBのトリップ回路に直列に接続してしまった現場。
【問題点と危険性】
試験器を使った動作試験では、一見正常にVCBがトリップしてしまう。
しかし、接点容量を比べると、この使い方が仕様外であることがわかる。
| 接点 | 容量の例(メーカー資料より) |
|---|---|
| OCRの電圧引外し用接点 | 閉路 DC100〜110V 15A(0.5s) |
| OCRの警報用接点 | DC24V 2A(富士は最大DC125V・30W)、DC100V 0.15A(L/R=7ms、光商工) |
| VCBの電圧引外しコイル電流 | DC100Vで最大約3.3A(三菱VF-8D/13D、標準値はその約1/1.4) |
警報用接点は、直流100V級のトリップコイル電流を開閉する能力を持っていない。
通常はVCBの補助接点(52a)がトリップコイルの電流を切るが
VCBが動作しなかったり52aが不良だったりすると、OCRの微小接点が直流電流を切ることになる。
アークで接点が損傷・溶着すると、トリップ指令が出っぱなしになってVCBを投入できなくなったり
トリップコイルが焼損したりする。
メーカーの仕様外(保証外)の危険な状態。
【対策】
基本は、機器を正しい仕様のもの(電圧引外し形OCR)に交換することである。
電流引外し形OCRを電圧引外し形VCBと組み合わせたままにすると
警報接点の容量不足に加えて、CT二次回路が開放されるおそれもあるためである。
【見落としやすい危険:CT二次回路の開放】
電流引外し形OCRは、平常時はCT二次電流が内部のb接点を通って流れ
事故時にb接点が開いてVCBの過電流引外しコイルへ電流を転流させる構造である。
電圧引外し形VCBと組み合わせると転流先の引外しコイルがないため
OCRが動作してb接点が開いた瞬間にCT二次回路が開放され、高電圧が発生するおそれがある。
(実際の端子接続はメーカーの接続図で確認すること)
交換までの暫定対策として、OCRの接点で補助継電器のコイルを励磁し
補助継電器の接点でVCBをトリップさせる構成にする場合は
次の3点をメーカーに確認したうえで行うこと。
- OCRが動作したときに、CT二次回路が開放されない接続になっているか。
- 補助継電器のコイルを駆動する警報接点が、使用する電圧で定格内か。
(例:三菱MOC-A3形T-Rの警報接点はAC100V 2A/DC24V 2Aで、DC110Vの定格がない) - 補助継電器の接点が、使用する制御電圧(DC110Vなど)でトリップコイル電流を閉路・開路できる容量か。
(汎用の小形リレー、例えばオムロンMY形は、DC110Vの誘導負荷では開閉できる電流が0.3〜0.4A程度しかなく不向き)
【電流引外し方式そのものの注意点】
ミスマッチがなくても、電流引外し方式には固有の弱点がある。
事故時の大きなCT二次電流をOCRのb接点で開くため、アークで接点が損傷していく。
損傷が進むと、b接点が溶着して事故時にVCBが動作しない事態も起こり得る。
JIS C 4602:2017の附属書JCでもこの点が指摘されており
受電設備の更新や新設の際は 電圧引外し方式の採用が推奨 されている。
電流引外し方式を使っている設備では、定期点検でb接点間の導通確認が推奨される。
(停電中に、引外しコイルの配線を外して確認する)
② 変圧器の励磁突入電流(インラッシュカレント)による瞬時動作

新設時や、年次点検後の復電操作時(VCB投入時)によく起きるトラブル。
【事例と原因】
VCBを投入した瞬間、「バンッ!」という音とともに即座にVCBがトリップしてしまう現象。
これは、無負荷の変圧器に電圧を印加した瞬間に流れる「励磁突入電流」を
OCRの瞬時要素が短絡事故と誤認して動作してしまうためにおこる。
励磁突入電流は定格電流の数倍〜十数倍に達し
変圧器の容量や残留磁束の状態によって数十ミリ秒〜数秒かけて減衰する。
【対策】
●瞬時整定値の再確認
瞬時要素は、変圧器の励磁突入電流で動作しないように整定するのが基本となる。
目安として、変圧器容量から計算される電流(複数台ある場合はその合計)の 10〜15倍 をCT比で二次側に換算した値にする(光商工の取扱説明書より)。 瞬時整定値 ≒ 変圧器容量から計算した電流 × 5 ÷ CT一次定格電流 × (10〜15)
ただし、整定値を上げるほど上位(電力会社の配電用変電所OCR)との協調余裕は小さくなる。
電力会社と協議した保護協調の範囲内で調整が必要。
●瞬時要素の段数切替機能の活用
富士電機(QHA形)や三菱電機(MOC-A3形)のデジタルOCRには
瞬時要素を「2段特性」と「3段特性」で切り替える機能がある。
3段特性にすると、瞬時整定値より低い電流域にわずかな時限を持つ段が加わり
突入電流と下位の保護機器の両方と協調を取りやすくなる。
※JIS C 4602では、瞬時要素が過渡直流分(非対称波形)で
不要動作しないことが性能として求められている。
ただし、試験の条件は整定値の90%の電流。
整定値を超える突入電流まで防げるわけではなく対策の基本は「整定」と「段数切替などの機能」となる。
③ 試験時の測定誤差:CTT(試験端子)と試験器の注意点

OCRの試験時にはCTT(試験用端子)にテストプラグを挿入するが
ここにも注意すべきことがある。
CTTの接触不良による動作遅れ
CTTの内部接点(金属板)に長年の汚れやサビ、酸化膜が付着していると
試験電流が十分に流れず、波形が歪んだり電圧降下を起こしたりする。
結果として「OCRの動作時間が規定より遅い」という誤った測定結果が出る。
接点を清掃し、何度かプラグを抜き差しして再試験を行うと正常値に戻るケースが多い。
テストプラグの挿入不足・短絡
テストプラグが奥まで完全に挿入されていなかったり
試験クリップの金属部分が他の相(R相とT相など)に接触して短絡回路を作ってしまうと
電流が逃げて正確な測定ができない場合がある。
試験器とOCRの相性(波形歪み)
デジタル形OCRは負担(VA)が小さいため
試験器によっては出力変流器の電流のほとんどが励磁電流となり
波形が歪んで動作値・動作時間に誤差が出ることがある。
また、OCRと直列に1Ω程度の純抵抗を入れると改善する場合がある(光商工の取扱説明書より)。
過負荷耐量への配慮
20A以上の大電流を流す試験では、1回の通電を3〜4秒程度にとどめ
20秒以上の間隔を空ける(三菱電機の取扱説明書より)。
もう一方の要素をロックする
瞬時要素の動作値試験では限時要素が先に動作することがあり
限時要素の試験では瞬時要素が動作することがある。
試験しない側の要素を「LOCK」に設定すると正確に測定できる。
※試験後のLOCK解除を忘れないよう注意。
④ 周波数設定(50Hz/60Hz)の確認漏れ

デジタル形OCRには、ディップスイッチなどで
周波数設定(50Hz/60Hz)を切り替える仕様の機種がある(富士電機QHA形、三菱電機MOC-A3形など)。
一方、光商工のLOC形のように50/60Hz共用で切替のない機種もある。
使用機種の仕様を取扱説明書で確認を忘れないこと。
トラブル事例
東日本(50Hz)から西日本(60Hz)へ移設された中古キュービクルなどで
設定が50Hzのまま60Hz地域で使用(またはその逆)されるケース。
内部のデジタルフィルターや演算の前提が狂うため
「試験をすると動作時間が微妙に規格から外れる」現象が起きる。
出荷時設定にも注意
三菱電機MOC-A3形は 工場出荷時が60Hz 。
50Hz地域で新設・更新した際の設定漏れに注意すること
(同機種には、設定と入力周波数が違うと警告表示する「周波数誤り検出機能」がある)。
誘導円板形は周波数専用品
機械式は周波数ごとの専用品なので
移設品では銘板の周波数を必ず確認すること。
3. 特性試験の深掘り:どこまで、どう測るべきか
試験においては、ただ動けば良いわけではなく
JIS C 4602(高圧受電用過電流継電器)やメーカーの「動作特性管理点」に基づき
規定の条件で特性を測定し、上位(電力会社側)の保護リレーや下位の遮断器と正しく保護協調が取れているかを
確認する必要がある。
一般的な試験項目と判定基準
JIS C 4602:2017と
富士電機・三菱電機・光商工の資料で確認した判定基準は次のとおり。
| 試験項目 | 試験条件 | 判定基準 |
|---|---|---|
| 限時要素 動作値 | 電流を徐々に上げる | 整定値の ±10% |
| 瞬時要素 動作値 | 電流を徐々に上げる | 整定値の ±15% |
| 限時要素 動作時間 | 整定値の 300% を急激に印加 | 公称値の ±17% |
| 限時要素 動作時間 | 整定値の 700% を急激に印加 | 公称値の ±12% |
| 瞬時要素 動作時間 | 整定値の 200% を急激に印加 | 50ms以下 |
1. 限時要素の動作値試験
- 内容: 限時電流整定値に対して、継電器が動作を開始する電流値を測定する。
デジタル形では始動表示の点灯・点滅で確認でき、誘導円板形では円板が回り始める始動電流を確認する。 - 判定基準: 整定値の±10%以内。
2. 限時要素の動作時間試験
- 内容: 整定値の300%と700%の電流を急激に加え、動作するまでの時間を測定する。
- 公称値の例(ダイヤル10の場合。三菱電機・光商工の資料より)
| 特性 | 300% | 700% |
|---|---|---|
| 超反限時(EI) | 10.00s | 1.67s |
| 強反限時(VI) | 6.75s | 2.25s |
| 反限時(NI) | 6.30s | 3.53s |
| 定限時(DT) | 2.00s | 2.00s |
- 判定基準: 300%で公称値の±17%、700%で公称値の±12%。
※1000%について:JIS C 4602には「整定値の1000%を動作時間の90%だけ流して、限時要素が動作しないこと」を確認する 慣性特性試験 がある。これは製品の形式試験の項目で、現場の定期点検で必須の項目ではない。
メーカーの特性表に載っている200%・500%・1000%の動作時間も「参考値」で
判定に使う管理点は300%と700%となる。
3. 瞬時要素の動作値試験
- 内容: 瞬時整定値付近まで電流を徐々に上げ、瞬時動作する値を測定する
※限時要素はLOCKにしておくと正確 - 判定基準: 整定値の±15%以内。
4. 瞬時要素の動作時間試験
- 内容: 瞬時整定値の 200% の電流を急激に加え、動作時間を測定する。
- 判定基準: 50ms(0.05秒)以下。
【試験電流の倍率は必ず守る】
たとえば富士電機QHA形の瞬時2段特性では、整定値の100〜160%の範囲は約0.09秒で動作する仕様である。
130%で試験すると、正常品でも「50msを超えたので不良」と誤判定してしまう。
なお「130%・400%」は地絡継電器(GR・DGR)の動作時間試験で使う倍率である。OCRと混同しないこと。
経年品の現場判定値
上の判定基準は、新品や受入時の性能である。
光商工の取扱説明書では、日本電機工業会の技術資料 JEM-TR 156『保護継電器の保守・点検指針』 を引用し
設置後2〜3年を経過した製品について、動作を確認する程度の現場試験では次の値で判定するよう案内している。
- 動作電流:限時要素 ±10%以内、瞬時要素 ±25%以内
- 動作時間:300%過電流にて ±34%以内
受入時にメーカーの管理点で試験して良否を判定し
そのデータを以後の点検の基準にしておくと、経年変化を追いやすくなる。
【ワンポイント】
古い誘導円板形を試験する際は、電流を切った後に円板が慣性で回りすぎないか(慣性特性)
またスタート位置までスムーズに戻るか(復帰不良がないか)も目視で確認することが重要となる。
デジタル形でも、限時整定値の80%まで電流を下げたときに確実に復帰することが
JISの性能として求められている。
4. OCR最大の禁忌:CT二次側開放の危険性と安全な対処法
OCRの交換や、配線断線が疑われる場合の導通チェックを行う際、絶対にやってはいけないことがある。
それが「活線状態でのCT二次側開放(オープン)」となる。
メーカーの取扱説明書でも「変流器の二次側は開放しないでください」と明記されている。
なぜCT二次側を開放してはいけないのか?

変流器(CT)は、一次側(高圧ケーブル)に流れる負荷電流によって発生する磁束を打ち消すように
二次側に電流を流す。二次側がOCRにつながって閉回路を形成している間は
一次と二次の起磁力が打ち消し合い、鉄心の磁束はごくわずかに保たれている。
もし、一次側に負荷電流が流れている(受電中・稼働中)にもかかわらず
CTの二次側回路を外して「開放(オープン)」状態にすると下記の現象が発生する。
- 二次電流がゼロになるため、一次電流がすべて励磁電流として働く。
- 鉄心は深く飽和し、一次電流がゼロを横切るたびに、磁束が正の飽和から負の飽和へ急激に反転する。
- ファラデーの電磁誘導の法則により、二次側には磁束の変化率(dΦ/dt)に比例した電圧が誘起される。
磁束が急変する瞬間に、CTの二次側端子に 数kVに達することもある尖頭状の高電圧 が発生する。
【引き起こされる結果】
感電
作業者がCT端子や配線に触れていれば、高電圧による重大な感電事故に直面する。
絶縁破壊と焼損
CTの二次巻線や配線の絶縁が破壊される。
また、飽和による鉄損の増加でCTが過熱・焼損するおそれがある。
損傷が高圧側に及べば、波及事故につながるおそれもある。
保護機能の喪失
開放中はOCRに電流が入らないため、その間に事故が起きても保護できない。
安全な作業手順(CTTのショート)
故障したOCRを交換・取り外す際、あるいは二次側配線を触る際は
原則として全停電(主遮断器の開放)状態で行うのが鉄則となる。
しかし、やむを得ない事情で活線状態のまま作業を行う場合(本来は推奨されない)や
停電操作時の安全確保のためには、以下の手順を必ず守る必要がある。
- CT側の短絡
CTT(試験用端子)に短絡用プラグ(または短絡片)を差し込み
必ずCT側(電源側)の端子を短絡(ショート)させる。
短絡の方法は機種によって異なるため、CTTの取扱説明書で確認すること。 - 短絡させることで、CT二次電流は短絡回路を流れ続け
高電圧の発生を防ぐことができる。 - 電流が安全なバイパス回路(短絡経路)を通っていることを確認してから
OCR側の配線を外すなどの作業を行う。
まとめ
試験器を当てて、リレー単体が仕様どおりの時間で動作したから問題ないと判断するのは早計である。
保安管理では、次の点を総合的に確認する必要がある。
- その配線と機器の組み合わせは、メーカーの仕様上本当に正しいものか?(引外し方式は合っているか、接点容量は足りているか)
- 設定値(タップ・レバー・瞬時整定)は、上位の電力会社や下位のブレーカーと正しく「保護協調」が取れており、励磁突入電流による不要動作や動作遅れを起こさないか?
- 試験条件(倍率・判定基準)は、規格と取扱説明書に沿っているか?
- 作業手順に感電や機器焼損(波及事故)のリスクは潜んでいないか?
最終的な判断は、必ず使用する機器の取扱説明書で確認すること。
参考資料
三菱電機「MELPRO-Aシリーズ」カタログ・取扱説明書(過電流継電器 MOC-A3形)
富士電機「高圧受配電機器」カタログ(過電流継電器 QHA-OC1/QHA-OC2)
JEM 1090「制御器具番号」
JIS C 4602:2017「高圧受電用過電流継電器」(附属書JC「電圧引外し方式の推奨理由」、附属書JD「アナログ形過電流継電器の規定」を含む)
光商工「過電流継電器 LOC-23/LOC-24 取扱説明書」(M028)
三菱電機「高圧真空遮断器 VF-8D/13Dシリーズ」カタログ
オムロン「ミニパワーリレー MY形」定格/性能
JEM-TR 156「保護継電器の保守・点検指針」(光商工の取扱説明書での引用による)

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