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高圧CVケーブルの短時間耐量と許容短絡電流についての備忘録

目次

CVケーブルの短時間耐量に関する前提知識

高圧CVケーブルに短絡電流などの大電流が流れると、導体の温度が急激に上昇する。
この際、ケーブルの絶縁体(架橋ポリエチレン)が熱によって劣化・溶融しないよう
耐え得る限界の電流値と時間の関係
が定められている。
これを「短時間耐量(許容短絡電流)」と呼ぶ。

許容短絡電流の計算式

許容短絡電流 I [A] と導体断面積 A [mm^2]
通電時間 t [s] の関係は以下の式で表される。

I = (134 × A) / √t

【変形式】
A = (I × √t) / 134

  • I : 許容短絡電流 [A]
  • A : 導体公称断面積 [mm2]
  • t : 通電時間 [s]

この式から分かるように、ケーブルが太い(断面積 A が大きい)ほど
また通電時間(事故継続時間 t)が短いほど、許容できる短絡電流は大きくなる。

短時間耐量に対する太さの目安(早見表)

毎回計算するのは手間がかかるため
実務などではあらかじめ計算された早見表を活用するのが一般的となる。
以下は、代表的な短絡電流と通電時間に対する、必要なCVケーブルの最小太さを示した表となる。

表:CVケーブルの短時間耐量に対する太さ

短絡電流 ×通電時間0.1秒以下0.15秒以下
8 kA22 mm238 mm2
12.5 kA38 mm238 mm2

具体例

「短絡電流が8kA、通電時間が0.15秒」と想定される環境では
負荷電流の大小に関わらず最低でも 38 mm2(38sq) のケーブルを選定しなければならないこと。

実務におけるポイント

「短絡電流」と「通電時間」はどう決まるか?

表や計算式を使うためには
I(短絡電流)と t(通電時間)の条件を確定させる必要がある。

短絡電流(I)の把握

受電点における三相短絡電流
管轄の一般送配電事業者(電力会社)に照会することで確認できる。
6.6kV配電線の場合、変電所からの距離や系統構成によるが
一般的な需要家では 数kA〜12.5kA 程度になることが多い。
※都市部の変電所直近などではさらに大きくなるケースもある。

通電時間(t)の想定

短絡事故が発生してから完全に電流が遮断されるまでの時間は
「過電流継電器(OCR)の瞬時動作時間」+「真空遮断器(VCB)の開極・遮断時間」の合計となる。
最近のデジタル形OCRと一般的なVCBの組み合わせであれば
おおむね 0.1秒〜0.15秒程度 で遮断が完了する。
実務上は安全を見て 0.15 秒、あるいは余裕を持たせて 0.2 秒として計算する設計者も多い。

ケーブル選定時の確認フローまとめ

現場でのトラブルや設計ミスを防ぐため
高圧CVケーブルを選定する際は以下の3ステップを確実に踏むことが推奨される。

  1. 通常時の許容電流の確認
    最大需要電力から最大負荷電流を計算し
    周囲温度や布設条件による低減率を考慮した上で、十分な許容電流を持つ太さを仮決めする。
  2. 電圧降下の確認
    引込ケーブルの距離が長い場合は
    電圧降下が規定値以内に収まるかを確認し、必要に応じて太さをサイズアップする。
  3. 短時間耐量(短絡強度)の確認
    受電点の短絡電流と保護継電器の動作時間から
    今回解説した計算式 I = (134 × A)/√t または早見表を用いて
    短絡に耐えられる太さ(下限値)を確認する。

最終的に、上記1〜3のすべてを満たす最も太いサイズ
その設備に適切なケーブルサイズとなる。

まとめ

  • 短時間耐量は I = (134 × A)/√t で計算される。
  • 短絡電流と遮断時間(0.1秒〜0.15秒など)から、最低限必要なケーブルサイズが決まる。
  • 負荷容量が小さくても、短絡容量が大きい場所では太いケーブル(38sqなど)が必要になるため要注意。

参考資料

  • 一般社団法人 日本電線工業会(JCS):『JCS第168号 電力ケーブルの短絡許容電流計算』
  • 一般社団法人 日本電気協会:『高圧受電設備規程(JEAC 8011)』 / 『内線規程(JEAC 8001)』
  • 住友電気工業株式会社 / 古河電気工業株式会社 等 各社電線カタログ:「高圧架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル(CV) 技術資料・許容電流表」
  • 国土交通省 大臣官房官庁営繕部:『建築設備設計基準』
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