高圧進相コンデンサの概略

高圧進相コンデンサの主な役割は、力率を改善すること。
高圧進相コンデンサは、この無効電流を抑えるために設置されている。
コンデンサの内部構造と異常時のメカニズム
高圧コンデンサの素子は、誘電体にはポリプロピレンフィルム
電極には金属はくあるいは金属蒸着膜を用いて構成される。
容器は0.8〜2.3mmの薄い鋼板を用い
内部の絶縁油あるいはガス中に完全密封してコンデンサ素子を収納している。
絶縁油やガスは、コンデンサの発熱により膨張・収縮するが
この変化は容器の変形によって吸収している。
このため、コンデンサの過度の温度上昇は容器の膨らみとなって現れる。
高圧進相コンデンサのメリット・デメリット

通常のコンデンサ時の施設

コンデンサ容量が100kvar以下の場合、主遮断装置に高圧限流ヒューズを使用。
コンデンサ容量が100kvar超過の場合は、高圧限流ヒューズが劣化するため
内部圧力異常などによる検出装置を保護装置として用いる。
新電気 2024年7月号 p53 工事期間中の点検・確認ポイントより引用
進相コンデンサの種類について

進相コンデンサには2種類ある。
●金属はくを電極としたはく電極コンデンサ(NH方式)
●蒸着(じょうちゃく)金属を電極とした蒸着電極コンデンサ(SH方式)
両者の主な違いは自己回復(Self Healing)の有無となる。
自己回復する蒸着電極コンデンサをSH(Self Healing)方式
自己回復しないはく電極コンデンサをNH(Non-self Healing)方式となる。
新電気2020年10月号「開発秘話 ニチコン SH方式高圧進相コンデンサ 『ACEVAR』」より引用
1970年代の主流:Δ結線とNH方式の課題

図:Δ結線
1970年代頃の高圧コンデンサは、通常は素子4個を直列に接続したΔ(デルタ)結線が採用されていた。
当時はアルミはくを使用した「NH方式」のコンデンサが多く使用されていたという背景がある。
このNH方式のΔ結線には、万が一の故障時に以下のような大きなリスクがあった。
NH方式のΔ結線のリスク
- 電極間に絶縁破壊が生じると素子が短絡状態になり、過電流が流れる。
- 健全な他の素子への負担電圧が増大するため、連鎖的に素子の破壊が進む。
- 最終的にすべての素子が破壊されると、線間短絡を引き起こす。
- 密封されたコンデンサ容器に短絡電流が流れることで内圧が急上昇し
瞬時に容器が破壊され、油や分解ガスが周囲に噴出する大事故につながる恐れがある。
Y結線の導入とその利点

図:Y結線
上記のような深刻な破壊事故を防ぐため
もともと特別高圧用に採用されていたY(スター)結線が高圧用にも導入されるようになった。
Y結線では、1相につき通常2個の素子が直列に接続される。
Y結線採用のメリット
- 異常検出の容易さ
容量の大きな設備で複数のコンデンサを並列接続する場合
コンデンサの中性点の電圧や電流を計測することで、異常状態を早期に検出することが可能。 - 保護装置の確実な動作
万が一コンデンサ素子が破壊短絡した場合
Δ結線に比べてY結線のほうが線路電流の増加率が大きくなる。
これにより、過電流継電器などの保護装置が動作しやすくなる。
例えば、短絡素子数が2個の場合、線路電流は定格電流の3倍に達する。
SH方式の場合の考え方

ここまでの解説は「NH方式」のコンデンサを前提としていたが
現在広く普及している「SH方式」では考え方が少し異なる。
SH方式の特徴
SH方式のコンデンサは、異常時に徐々に容器の膨張が進み
内蔵された保安装置が早めに動作して電源から開放される仕組みになっている。
結線の自由度
内蔵保護機能により容器破壊のおそれがないため
SH方式ではΔ結線、Y結線のいずれでも安全に使用することが可能。
現在のトレンド
技術的にはどちらも可能だが、中性点をコンデンサ保護に使用できる点や製造上の理由から
依然としてY結線が一般的に使用されている。
※一部の製品ではΔ結線も存在する
参考文献
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.nichicon.co.jp/_assets/images/business/capacitors_power_equipment/006_010.pdf?v=20230516
ニチコン 進相コンデンサ より引用
新電気2019年12月号 現場のギモン?解決塾 第12回コンデンサの保護で気をつけることは?
より一部引用
新電気2020年10月号 実務理論シリーズ 第14回 高圧コンデンサの取り扱いと再点弧現象〈その1〉
より一部引用

コメント