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高圧電気設備における再点弧についての基礎知識まとめ

高圧電気設備における再点弧現象(Restriking of Arc)は
特に進相コンデンサ無負荷送電線などの進み小電流を遮断する際に起こりやすい、危険な現象のこと。

開閉器(遮断器)で電流を「切った」後、極間に再びアーク(放電)が発生
非常に高い異常電圧(過電圧)を生じさせる現象のこと

目次

再点弧現象のメカニズムと影響

遮断と残留電圧

コンデンサなどの回路を遮断器で開路するとき、電流は交流のゼロ点で一旦消滅し、アークも消えるが
コンデンサには電流よりも90°遅れた高い電圧が蓄えられているため
遮断後も極間に残留電圧が残る。

回復電圧の発生

遮断が完了した後、遮断器の極間には、電源電圧とコンデンサの残留電圧の差電圧がかかる。
遮断後約0.5サイクル(半周期)経過すると
この極間電圧(回復電圧)は、電源電圧の約2倍という高い値に達する。

再点弧の発生

回復電圧が、遮断器の極間の絶縁回復特性(消弧ガスなどにより絶縁耐力を回復させる能力)を上回った場合
極間で絶縁破壊が起こり、再びアークが飛ぶ=再点弧

再点弧は、電流がゼロになった後、商用周波数の1/4サイクル以上経過した後に再び電流が流れる現象と定義され
深刻な問題を引き起こす。
※1/4サイクル未満の場合は「再発弧」と呼ばれ、再点弧ほど深刻ではない。

異常過電圧の発生

再点弧が起こると、電源側のインダクタンスリアクトルなど)と
コンデンサの静電容量の間で高周波の共振現象が発生する。

これにより、コンデンサ端子や母線に、定常電圧の約3倍にもなる異常な過電圧サージ電圧)が発生し
これに伴って大きな再点弧突入電流が流れる。

設備への影響

異常過電圧と突入電流は、コンデンサ自身母線
そして接続されている他の機器(変圧器、ケーブルなど)の絶縁を脅かし
機器の損傷や破壊、さらには波及事故につながる非常に危険な現象となる。

再点弧の対策

再点弧を避けるためには、開閉器の遮断能力と絶縁回復特性の向上が最も重要となる。

極間絶縁回復特性に優れた開閉器の使用

特に高圧進相コンデンサの開閉には、進相電流遮断能力に優れ
再点弧の心配のない真空遮断器(VCB)やガス遮断器(GCB)などの開閉器を使用することが不可欠となる。

直列リアクトルの設置

進相コンデンサ回路には、通常、直列リアクトルが設置される。
これは、主に高調波抑制(第5高調波など)が目的だが、再点弧時の突入電流を抑制する効果もある。

サージアブソーバの設置:

極めて重要な設備では、万が一過電圧が発生した場合に
機器を保護するためにサージアブソーバ(避雷器)を設置する場合もある。

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