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三菱製 過電流継電器(MOC-A3V-R)の試験方法と特性のまとめ

目次

過電流継電器とは

三菱製 過電流継電器(MOC-A3V-R)の概略

静止型(ディジタル系)の過電流継電器。
過電流要素2相分を1台に収納しており、過負荷・短絡事故を保護するもの

過負荷事故→限時要素
短絡事故→瞬時要素
で保護を行う。

三菱製 過電流継電器(MOC-A3V-R)の特徴

高圧用の過電流継電器で、保護協調のとり易い動作時間特性を内蔵している。
瞬時要素では、従来の 2 段特性に加えて 3 段特性を新たに搭載している。
●限時要素:超反限時、強反限時、反限時、定限時 の 4 種類
●瞬時要素:2 段特性、3 段特性 の 2 種類

継電器の定格周波数設定と入力周波数が異なる場合に
警告を表示する「周波数誤り検出機能」を搭載している。

リレー動作時の電流値を 1 回分記録可能。
事故の種別(瞬時/限時)および事故相を表示する動作表示器とあわせて、事故の状況把握が可能。

整定を変更すると、数値 LED に変更後の値を約 3 秒間表示する機能を搭載し
整定値の確認が容易となる。

※制御電源は CT2 次電流より導出している。

三菱製 過電流継電器(MOC-A1V-R)の型式および定格仕様

大項目中項目小項目MOC-A3V-R 仕様・整定範囲
形名MOC-A3V-R
引外し方法電圧引外し
定格電流5A
周波数50/60Hz 切替
整定限時電流LOCK – 3 – 3.5 – 4 – 4.5 – 5 – 6A
ダイヤル0.25 – 0.5 – 1 – 1.5 – 2 – 2.5 – 3 – 3.5 – 4 – 5 – 6 – 7 – 8 – 9 – 10 – 20
瞬時電流LOCK – 10 – 15 – 20 – 25 – 30 – 35 – 40 – 50 – 60A
使用条件設定周波数50Hz (SW1-ON) / 60Hz(SW1-OFF)
瞬時段数3段 (SW2-ON) / 2段 (SW2-OFF)
瞬時感度20% (SW3-OFF, SW4-OFF) / 60% (SW3-ON, SW4-OFF)
40% (SW3-OFF, SW4-ON) / 80% (SW3-ON, SW4-ON)
※注:瞬時整定が10Aの場合、感度を20%にすることはできない。
設定した場合、2段特性と同じ応答となる。
動作時間特性
(限時要素)
超反限時特性 (EI) (SW5-OFF, SW6-OFF)
強反限時特性 (VI) (SW5-OFF, SW6-ON)
反限時特性 (NI) (SW5-ON, SW6-OFF)
定限時特性 (DT) (SW5-ON, SW6-ON)
自己監視正常時には 1.5A以上で RUN LED(緑色)が点灯する。
動作表示表示項目「R相」、「T相」、「瞬時」
表示色動作時:橙色
復帰時:黒色
状態動作時に、黒色から橙色に変わる。
表示復帰レバーの操作により、橙色から黒色に変わります。
表示数値表示表示項目表示範囲
電流計測2.0 〜 9.9A, 10 〜 30A
時限経過0 〜 10
限時整定Lo (※1), 3 〜 6A
ダイヤル整定0.25 〜 20
瞬時整定(電流)Lo (※1), 10 〜 60A
瞬時設定(段数)2, 3段
瞬時設定(感度)20, 40, 60, 80% (※2)
限時特性設定EI, VI, NI, DT
周波数設定50, 60Hz
事故記録3.0 〜 9.9A, 10 〜 80A
事故記録リセット0.K.(5秒以上ポジション保持にて記録リセット)
定格消費 VA (CT)定常時:3.5VA / 動作時:4.5VA
ケースユニット固定形(図 1-11)
色:0.6B7.6/0.2(マンセル記号)
質量約 1.0kg

(※1) Lo:LOCK整定時の表示となる。LOCKとは、その要素をロックして動作させないためのもの。

(※2):瞬時要素を3段特性に設定したときの、電流感度(瞬時電流整定値に対する割合)を表す。
2段特性選択時は消灯となる。

三菱製 過電流継電器(MOC-A3V-R)の特性

基本特性(動作値・復帰値・慣性)

項 目要素 / 特性区分条件・整定値許容値 / 判定基準
動作値特性限時要素各整定値±10% 以内
瞬時要素各整定値±15% 以内
復帰値特性各要素共通各整定値に対して80% 以上
慣性特性限時要素ダイヤル10、入力:整定値の1000%
通電時間:動作時間の90%条件
不動作

限時動作時間特性(4つの反限時曲線)

各反限時特性(超反限時、強反限時、反限時、定限時)における
ダイヤル設定および入力倍率ごとの動作時間と許容エラー幅の一覧。

① 超反限時特性 (EI)

ダイヤル入力倍率 (%)動作時間 (s)区分
1030010.00 ±17%公称値
7001.67 ±12%公称値
(200)(26.67 ±17%)参考値
(500)(3.33 ±12%)参考値
(1000)(0.81 ±12%)参考値
63006.00 ±17%特性管理値 (特性試験点)
7001.00 ±12%特性管理値 (特性試験点)
(200)(16.00 ±17%)参考値
(500)(2.00 ±12%)参考値
(1000)(0.48 ±12%)参考値

② 強反限時特性 (VI)

ダイヤル入力倍率 (%)動作時間 (s)区分
103006.75 ±17%公称値
7002.25 ±12%公称値
(200)(13.50 ±17%)参考値
(500)(3.38 ±12%)参考値
(1000)(1.50 ±12%)参考値
63004.05 ±17%特性管理値 (特性試験点)
7001.35 ±12%特性管理値 (特性試験点)
(200)(8.10 ±17%)参考値
(500)(2.03 ±12%)参考値
(1000)(0.90 ±12%)参考値

③ 反限時特性 (NI)

ダイヤル入力倍率 (%)動作時間 (s)区分
103006.30 ±17%公称値
7003.53 ±12%公称値
(200)(10.03 ±17%)参考値
(500)(4.28 ±12%)参考値
(1000)(2.97 ±12%)参考値
43002.52 ±17%特性管理値 (特性試験点)
7001.41 ±12%特性管理値 (特性試験点)
(200)(4.01 ±17%)参考値
(500)(1.71 ±12%)参考値
(1000)(1.19 ±12%)参考値

④ 定限時特性 (DT)

ダイヤル入力倍率 (%)動作時間 (s)区分
103002.00 ±17%公称値
7002.00 ±12%公称値
(200)(2.00 ±17%)参考値
(500)(2.00 ±12%)参考値
(1000)(2.00 ±12%)参考値
93001.80 ±17%特性管理値 (特性試験点)
7001.80 ±12%特性管理値 (特性試験点)
(200)(1.80 ±17%)参考値
(500)(1.80 ±12%)参考値
(1000)(1.80 ±12%)参考値

瞬時要素の動作時間: 整定値の200%入力印加時 50ms 以下

環境条件・外部影響特性

項 目性能・条件内容変動・許容範囲
標準使用状態・周囲温度:-20〜+60°C(結露・氷結なきこと)
・相対湿度:日平均で30〜80%
・標高:2000m以下
・その他:異常な振動・衝撃・傾斜がなく、有毒ガス・過度の塵埃・水分にさらされないこと
標準動作基準
温度特性周囲温度 -20°C、20°C、60°C の3点にて測定・限時動作値:20°Cの動作値の ±20% 以内
・限時動作時間 (300%入力):20°Cの動作時間の ±20% 以内
周波数特性定格周波数 ±5% 変動時(定格時の実測値に対する変動幅)・限時動作値:±10% 以内
・限時動作時間:300%入力時 ±17%以内 / 700%入力時 ±12%以内(※定限時除く)
・瞬時動作値:±15% 以内
歪波特性
(高調波特性)
最小動作値・最小動作時間整定にて、基本波に第3・第5・第7高調波を30%重畳基本波のみの動作値に対し ±15% 以内
過負荷耐量定格電流の 20倍、1秒間、2回 印加1分間隔にて、異常なきこと

保護継電器 接点容量 仕様一覧表

用途区分容量・定格区分電圧引外し形
トリップ用
[遮断器引外し用]
閉路容量・DC110V 15A 0.5s (L/R=0ms)
・DC220V 10A 0.5s (L/R=0ms)
・AC110V 10A 0.5s (cosφ=0.1)
開路容量・DC110V 0.3A (L/R=7ms)
・AC110V 5A (cosφ=0.1)
・AC220V 1A (cosφ=0.1)
警報用閉路容量・DC110V 15A 0.5s (L/R=0ms)
・DC220V 10A 0.5s (L/R=0ms)
・AC110V 10A 0.5s (cosφ=0.1)
開路容量・DC110V 0.3A (L/R=7ms)
・AC110V 5A (cosφ=0.1)
・AC220V 1A (cosφ=0.1)
定格・電圧定格:5A AC250V/DC24V
(抵抗負荷)
最大電圧:AC400V、DC300V

実務上の着目ポイント

  • 時定数(L/R)と力率(cosφ
    DCの開路容量で $L/R=7ms(誘導負荷)が指定されているため
    実際の現場の補助リレーやトリップコイルのサージ対策(ダイオードやバリスタの有無)を
    考慮する際の基準になる。

各限時要素の特性(参考)

三菱製 過電流継電器(MOC-A1V-R)の構造


三菱製 過電流継電器(MOC-A3V-R)の動作説明

保護機能

①制御電源は CT2 次電流より導出している。
②限時要素の動作時間特性は以下の式で表される。

③瞬時要素の2段特性および3段特性の切替と3段特性使用時の感度(瞬時整定値の20%, 40%, 60%, 80%)は、
スイッチにより設定する。
※瞬時整定が10Aの場合、3段特性の感度を20%にすることはできない。設定した場合、2段特性と同じ応動となる。

④レベル判定演算は、各入力相(R相及びT相)毎に行っており、各種事故(過負荷、2相短絡、3相短絡)に対
応した動作表示をする。
下記に事故現象とリレー動作表示の関係を示す。

※表示器を復帰させる場合は、表示器の下側に取り付けてある復帰レバーを操作する。

⑤動作出力接点(引外し用及び警報用)は、リレー動作後、入力電流が消失すると
約 60ms 間保持後、復帰する。

RUN 表示(常時自己監視機能)

制御電源・電子回路・プログラムデータ等を常時監視しており
正常時には緑色 LED(RUN)が点灯する。
また、異常時には消灯し、数値表示用 LED にエラー Err を表示すると共に、動作出力をロックする。

3. 数値表示機能

表示選択用切替スイッチにより、数値表示用 LED に
下記に示す値を表示する。

①電流計測

各相の電流計測を行い、値が大きい方の相の電流値を表示する。
電流計測の表示範囲は、2.0A ~ 30A
※入力電流が 2.0A 未満の時は消灯し、30A より大きい時は O.,F.を表示する。)

②時限経過

限時要素の反限時タイマーの始動・動作経過を
0 ~10 で表示する。

始動表示:電流入力が限時電流整定値を超えた時、0 を表示する。

時限経過:反限時タイマーのカウント経過に従って、1→9 を順次表示し
10 表示で、出力接点と動作表示器が動作する。

③整定値表示

継電器の整定状態を表示する機能で
限時電流 (A)、ダイヤル、瞬時電流 (A)、瞬時段数、瞬時感度、限時特性、周波数の各整定値を表示する。

事故記録機能

①事故記録表示

事故時に動作信号を出力すると同時に、動作時の値の大きい相の電流値を記録する。
本機能は 1 現象分記録可能で、次のリレー動作により新しい動作情報を記録する。

事故記録は内部メモリに記録されているの
電源 OFF 後に再度 RUN LED が点灯する状態の電流が印加されると事故データを確認することが可能。

単体試験などでリレー動作直後に入力電流が切れると
事故データが記録されない場合がある。

②事故記録リセット

表示選択用切替スイッチを「事故記録リセット」に選択し、5秒以上保持すると
「O.K.」 が表示され、全ての事故記録のデータが消去される。

整定変更表示機能

整定を変更すると、数値表示用 LED に変更後の値を約 3秒間、優先的に表示する。

周波数誤り検出機能

継電器の定格周波数設定と入力周波数が異なる(50/60Hz が異なる)場合にF.,E. を表示する。

※検出は、継電器起動 1秒後(CPU リセットボタンによる再起動時含む)と
周波数設定スイッチを操作した時のみ。

※周波数設定が正しい場合でも、負荷電流の状態によっては F.,E. が表示されることがある。
この場合、CPU リセットボタンによる再起動で消灯することができるが
負荷電流の状態によっては再度表示されることがある。

F.,E.の表示中も、保護機能・常時自己監視機能は有効な状態

CPU リセットボタン

本ボタン押下中は継電器がリセット状態になり、RUN 表示および数値表示用 LED が消灯し
動作が一時的にロックされる。なお、本ボタンでは事故記録は消去されない。

三菱製 過電流継電器(MOC-A3V-R)の内部構造

三菱製 過電流継電器(MOC-A3V-R)の外部接続図例

電圧引き外し方式の場合

事故時の引き外し回路

事故時に閉路するトリップ用接点の端子T1からT2を介して
制御電源から引き外しコイルに電流を流して遮断器を引き外す。

無電圧引き外し方式の場合

三菱製 過電流継電器(MOC-A3V-R)の端子図

トリップ用と警報用の違い
電圧引外し形における「閉路容量」「開路容量」の数値自体はトリップ用・警報用ともに同じだが
物理的な接点構造や耐久性の違いから警報用接点を遮断器のトリップ回路に流用することはできない。

三菱製 過電流継電器(MOC-A3V-R)の試験時の注意事項

●試験電流を2A前後まで上昇すると、RUN表示LEDが緑色に点灯する。
電子回路が正常動作したことの表示

●限時要素の動作値試験の場合は、表示用選択用切り替えスイッチを「時限経過」のポジションにして試験電流を徐々に上げていき、数値表示用LEDが「0」を点滅表示するところ始動値を確認すること。
その後、電流を上げて出力リレーが動作するところを動作値として確認すること。

●瞬時要素の動作値試験の場合、流す電流が大きいため、整定中に限値動作することがある。
→対策として、限時要素の整定を「Lock」表示にして瞬時要素のみ動作するように設定する。
※動作時間測定や試験終了時に試験前の設定に戻っているのかの確認を必ず行うこと。

参考資料

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/fa/members/document/manual/pror/jep0-il2121/moc-a3_j.pdf
三菱保護継電器 MELPRO-Aシリーズ より引用

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