過電流継電器の限時特性と「DO特性」の概略

保護継電器の限時要素とは、「流れる過電流が大きいほど、短い時間で遮断器をトリップさせる」性質のこと。
電流の大きさに反比例して動作時間が短くなるため、反限時特性とも呼ばれる。
DO特性(静止形特性)について
「DO特性」とは、オムロン製の静止形過電流継電器(K2CA-DOシリーズなど)に
標準採用されている、オムロン独自の限時特性カーブのこと。
リレー試験において基準となる動作時間(時間整定ダイヤルが「10」の場合)は以下の通り。
- 300%過電流時:10秒 ±5%以内
- 700%過電流時:1.52秒 ±7%以内
DO特性(静止形特性)の成り立ち

過去、過電流継電器が「誘導形(円盤が回るアナログ式)」から「静止形(電子基板式)」へ移行し始めた時代
各メーカーは独自の動作時間カーブを持っていたが
その際、オムロンが自社のソリッドステート・リレー(K2CA-DOシリーズなど)に
採用していた独自のカーブが、現在「DO特性」と呼ばれているものとなる。
その後、JIS規格(JIS C 4602)によって動作カーブが国際規格に合わせて
「超反限時(EI)」「強反限時(VI)」「普通反限時(NI)」などに統一されたが
DO特性は「過去の機器との互換性を保つための旧式特性」として
最新機種にもあえて残されている。
JIS標準特性との比較表
過電流の大きさ(%)に対して
動作時間がどのように変化するのかを標準特性と比較すると、以下のようになる。
※すべて時間整定「10」に設定した場合の基準値
| 特性名称 | 300%過電流時 | 700%過電流時 | カーブの特徴 |
| DO特性(オムロン独自) | 10秒 | 1.52秒 | 超反限時よりさらに急峻に動作する |
| 超反限時特性(EI) | 10秒 | 1.67秒 | 標準規格の中で最も短絡保護向け |
| 強反限時特性(VI) | 6.75秒 | 2.25秒 | 中間的なカーブ |
| 反限時特性(NI) | 6.3秒 | 3.53秒 | 緩やかに動作(過負荷保護向け) |
DO特性のカーブの形
DO特性は、300%過電流時(比較的低い過負荷電流)では
標準の「超反限時特性(EI)」と全く同じ動作時間(10秒)だが
700%過電流時(短絡などの大電流)においてはEIの1.67秒よりもさらに早い1.52秒でトリップする。
JIS規格のEIカーブよりも非常に急峻な(大電流域でより早く遮断する)カーブを描くのが最大の特徴となる。
以下のツールで、各特性のカーブの違いと、電流ごとの動作時間を比較可能。
過電流継電器 動作時間特性比較ツール (時間整定=10)
スライダーを右(大電流側)へ動かすと、DO特性のカーブが他のどの標準特性よりも
早く下(短時間)に落ち込んでいることが視覚的に確認できる。
新規の高圧受電設備設計時の注意点
DO特性はあくまで「既存のオムロン製旧型リレー(K2CA-DO等)から更新する際
過去の保護協調を崩さないための互換用カーブ」となる。
設備を新規で設計・構築する場合は、電力会社の推奨や一般的なJIS標準である
「超反限時特性(EI)」等を選択するのが基本となる。
後継機種(K2OC)での設定

後継機種であるデジタル形過電流継電器「K2OC」シリーズでは
本体のディップスイッチで限時特性(EI / VI / NI / DT / DO)を自由に切り替えることができる。
5種類の限時特性とディップスイッチ設定
デジタル形のK2OCシリーズは、1台の中に5種類の限時特性を内蔵しており
保護協調の検討が容易になっており
内蔵されている特性は以下の5つ。
- 超反限時(EI)
- 強反限時(VI)
- 普通反限時(NI)
- 定限時(DT)
- 静止形特性(DO)
既存の「K2CA-DO」から更新する場合は
上位(配電用変電所)や下位(低圧ブレーカー)との保護協調ズレを防ぐため
スイッチを「DO」に設定して運用を開始が推奨される。
更新時はディップスイッチで「DO特性」を選択方法

特性の設定は、K2OC本体前面にある設定用のディップスイッチで行う。
ディップスイッチの5番をON、6番と7番をOFFにすることで「静止形特性(DO)」に設定される。
※この設定変更は受電中でも操作可能であり、変更した値がすぐに機能的に読み取られて動作に反映される。
参考資料
日本産業規格 JIS C 4602 「高圧受電設備用過電流継電器」
オムロン株式会社 「デジタル形過電流継電器 形K2OC 取扱説明書」

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