零相変流器(ZCT)の要約
通常、電路の電流は単相でも三相でも行き帰りは同じ(下図参照)
地絡事故が発生すると大地に電流が流れるため、行きと帰りに差ができる。
この差によりZCTに磁束が誘起し二次側に電流が流れる。継電器は、その電流が設定した動作値、動作時間になると動作する。
低圧でよく使用される漏電ブレーカも、この原理で構成されている。
特徴
零相変流器は地絡電流を検出するために設置される変流器のこと。
地絡電流とは
ZCTの基本的な原理は、計器用変流器(CT)と同じで、一次側に電流が流れると、それに比例して二次側に電流が流れる。
ZCTは地絡電流を測定するために、単相回路なら2本、三相回路なら3本の電線(orケーブル)をまとめて貫通させる。
正常な回路の場合、貫通させている電線内を流れている電流の差は0AとなりZCTは検知しないが、地絡発生時には地絡電流が発生し、ZCTが検知する。その後接続している継電器に信号を送る。
各保護継電器はZCTからの信号の大きさで、地絡電流の大きさを判断する。地絡電流が一定の大きさに達すると各保護継電器が動作する。
ZCTの点検方法
1.日常点検
異常音、過熱、腐食、過度の汚れがないかを確認する。
2.定期点検
外観やボルトのゆるみ等がないかを確認する。
ZCT施工時の不要動作要因とトラブル事例
①零相変流器(ZCT)の極性誤りがあった場合
零相変流器(ZCT)の一次側の極性(ケーブルの貫通方向)を下図のように設置した場合、負荷側の地絡故障を検出できません。
負荷側を監視する場合は、右図の”K”が電源側になるように設置が必要。
②零相変流器(ZCT)の二次側配線が逆の場合
ZCTの極性(K,L)が逆になった信号が継電器へ入力されるため、不要動作の要因になる。
③零相変流器(ZCT)の試験端子(kt-lt)をショートしている場合
ZCTをショート線で1ターンすることになり、このループに電磁誘導などで電流が流れてZCTが出力し不要動作の要因となる場合がある。
④零相変流器(ZCT)の電源側、負荷側両方でケーブルのシールド線を接地している場合
ZCTの電源側、負荷側両方でケーブルのシールド線を接地していると、シールド線と接地間がループ状態になり誘導などで電流が流れ、不要動作の要因となる。
参考文献
https://www.hikari-gr.co.jp/faq/technical/dgr_troubleshooting.html
地絡方向継電装置_不必要動作要因とトラブル事例
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