変圧器の酸化度試験(全酸価測定)は
絶縁油の劣化状態を把握するために重要な点検項目となる。
特に高圧受電設備に携わる実務において、内部異常の早期発見や更新時期の判断基準となる。
酸化度試験とは

変圧器内の絶縁油は、長年の使用による熱や酸素
そして内部の金属(銅など)の触媒作用によって徐々に酸化していく。
酸化の過程で生成される「酸性成分(有機酸)」の量を測定するのが酸化度試験となる。
絶縁油劣化のメカニズム

絶縁油が劣化(酸化)すると
以下のようなプロセスで変圧器の寿命を縮めることになる。
- スラッジの発生:
酸性成分が増えると、油に溶けきれない沈殿物(スラッジ)が発生する。 - 冷却性能の低下
スラッジが冷却フィンや巻線に付着し
放熱を妨げて温度が上昇する。 - 絶縁性能の低下
生成された水分や酸が絶縁紙(プレスボード)を侵食し
機械的強度が低下する。 - 最終的な事故
絶縁破壊による短絡や地絡事故につながる。
判定基準(JIS C 2320 準拠)
一般的に、保守管理基準(日本電気協会など)では
以下のような判定目安が用いられている。
| 劣化区分 | 全酸価 (mgKOH/g) | 状態と必要な措置 |
| 新油 | 0.01 前後 | 良好な状態。 |
| 良(注意) | 0.1 以下 | 継続使用可能だが、経年変化を注視する。 |
| 要注意 | 0.2 〜 0.4 | スラッジ発生の兆候。油のろ過や交換を検討。 |
| 異常(交換) | 0.4 超 | スラッジ発生の可能性が高い。早急な油交換または更新を推奨。 |
測定手順(ユニチェックの場合)
1.試料油をスポイドの赤線までゆっくり吸い上げ、採取する。

●スポイド外面に油が付着しないよう、油中に深く差し入れないこと。
●油の採取前には共洗いを行なってください。
※共洗い=試料油でスポイド内部を 2〜3 回洗い前回測定の残留油を除去する。

2.ユニチェックのキャップを開け、採取した油を全量入れる。
●キャップは油を入れる直前に開けること。
●スポイド内に残留している油を 2〜3 回軽く押し出すこと。

3.キャップを固く締め、5〜10 秒間よく振り混ぜた後
液が 2 層に分離するまで静置する。

4.2 層に分かれた上層の部分とユニチェックプレートの色を見比べ
プレートに表示された全酸価値を読み取る。
液が 2 層に分離しない場合は液全体の色を比較すること。
実務上のアドバイス

- 温度上昇との相関
負荷率が高い変圧器や
周囲温度が高い環境にあるものは酸化の進行が早まる。 - 他の試験との組み合わせ
酸化度試験だけで全てを判断せず
「絶縁破壊電圧(耐圧)」「体積抵抗率」、さらに大型の場合は「油中ガス分析」と
併せて総合的に診断するのが定石となる。 - PCBの確認
古い変圧器の場合、絶縁油の交換や分析を行う前に
微量PCB混入の有無を必ず確認する。
参考資料
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://aimg.as-1.co.jp/c/62/6184/89/62618482manual.pdf?v=86af0a25a708562d3b78fa4b6904ada68c56a81b
電気絶縁油全酸価簡易判定試薬ユニチェック取扱説明書(2015 年 4 月改定)より一部引用

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