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ハイボルトテスタに記載されている負荷変動率についての備忘録

ハイボルトテスタ(高電圧絶縁抵抗計や耐電圧試験器)の仕様書に
記載されている「負荷変動率(Load Regulation)」は
試験中に測定対象(負荷)の状態が変わっても
ハイボルトテスタが出力する高電圧をどれだけ安定して一定に保てるか
表す重要な指標となる。

目次

負荷変動率の概略

電気設備に高電圧を印加すると、わずかながら漏れ電流(漏洩電流)が流れる。
また、特に対象が長いケーブルや大型の変圧器・回転機などの場合
大きな静電容量成分を持っているため、充電電流が流れる。

ハイボルトテスタ側から見ると
これらは「負荷が重くなる(電流がたくさん流れる)」ことを意味する。

理想的なテスタ
電流がいくら流れようが
設定した電圧(例:10kV)をと維持する。

実際のテスタ
電流が多く流れると、内部抵抗などの影響で出力電圧が少し低下する。

「電流が流れた(負荷が変動した)ときにどれくらい電圧がブレてしまうか」
パーセンテージ(%)で表したものが負荷変動率となる。

負荷変動率の計算のイメージ

一般的には以下のような計算(考え方)に基づいている。

[具体例]

設定電圧が -10 kVで
仕様書の負荷変動率が 「5% 以内」 と書かれている場合。

  • 漏れ電流がほとんど流れない良好な絶縁体(無負荷に近い状態) -10 kV を出力。
  • 規定の上限に近い電流(例: 100μA)が流れている状態 電圧が最大で -9.5 kV あたりまでドロップする可能性がある。

なぜハイボルトテスタにおいて負荷変動率が重要理由

現場の保安管理や竣工試験において
負荷変動率のパーセンテージが小さいことに
は以下のメリットがある。

① 正確な絶縁抵抗値(GΩ)を算出するため

絶縁抵抗計は、内部で 「R(抵抗) = V(電圧) / I(電流)」 の計算を
行ってメーターやデジタル値に表示している。

もし負荷電流が増えたことで実際の出力電圧 V が公称値より下がっているのに
ハイボルトテスタが「今も -10kV を出している」前提で計算してしまうと
画面に表示される抵抗値 R に大きな誤差が生まれてしまう。
負荷変動率が小さい機器ほど、高精度な測定が可能となる。

② 試験規格(JISやJECなど)の条件を満たすため

耐電圧試験高圧絶縁抵抗測定では
「◯◯kV}の電圧を1分間印加する」といった厳格なルールがある。
負荷によって電圧がふらついてしまうと、規定の電圧を正しく印加したことにならず
試験の信頼性が損なわれる。

③ 測定対象のキック(充電電流)に耐えるため

高圧ケーブルなどの静電容量が大きい対象に電圧をかけた瞬間
大きな突入電流(充電電流)が流れる。
負荷変動率が大きく、電源の供給能力が弱いテスタだと
この瞬間に電圧が落ちてしまい、電圧が安定するまでに長い時間がかかったり
正しく測定が始められなかったりする。

まとめ

仕様書に書かれている負荷変動率の数値は
「そのテスタの電源としての安定度」を示している。

変動率が小さく抑えられている機器ほど
現場で負荷(漏れ電流や静電容量)の大きさが変動しても
正確な高電圧を維持できる信頼性の高いテスタであると言える。

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