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故障電流についての備忘録

高圧受電設備(一般的に6.6kVなどで受電する設備)における故障電流(事故電流)は
電気設備を安全に維持・運用し、適切な保護協調(ブレーカーやリレーの遮断設定)を行う上で
重要な概念です。

目次

故障電流の主な種類

高圧受電設備で発生する故障電流は
大きく分けると「短絡電流」と「地絡電流」の2つに分類される。

短絡電流

電線同士が、負荷(機器)を介さずに
直接接触してしまう事故(相間短絡)の際に流れる電流のこと。

特徴

非常に大きな電流(数千〜数万アンペア)が流れる。

原因

施工不良、ネズミやヘビなどの小動物の接触
絶縁物の劣化による相間絶縁破壊、落雷など。

影響

激しいアークや熱を発生し、電線や機器(遮断器変圧器など)を瞬時に焼き切る(熱的損傷)ほか
強力な電磁力によって電線を曲げたり支持物を破壊したりする(機械的損傷)。

地絡電流

電線(充電部)が大地(地面やキュービクルの外箱など)と
接触する事故(地絡事故)の際に流れる電流のこと。

特徴

日本の高圧配電系統は主に「非接地方式(消弧リアクトル接地含む)」が採用されているため
1線地絡時の地絡電流は短絡電流に比べて非常に小さい(数アンペア〜数十アンペア程度)のが特徴。

原因

ケーブルのシース(外皮)損傷、変圧器やコンデンサの絶縁劣化による
外箱への漏電、樹木の接触など。

影響

電流自体は小さいものの、放置すると火災の原因になったり
対地電圧が上昇して他の健全な相の絶縁を破壊
最悪の場合は「2線地絡」へ進展する可能性がある

故障電流が設備に及ぼす影響と対策

故障電流が発生した際
設備を守るために以下の2つの耐性が求められる。

  • 熱的耐度(熱的影響)
    大電流が流れると、ジュール熱(I^2Rt)により急激に温度が上昇する。
    機器や電線がこれに耐えられるかどうかが重要となる。
  • 機械的耐度(電磁力影響)
    並行する電線に大電流が流れると、強力な電磁力が働く。
    短絡電流のピーク時には、母線をへし折るほどの力がかかるため、支持物の強度計算が必要となる。

設備側の主な防護対策

故障電流の計算が必要な理由

実務において、故障電流(特に最大短絡電流)を正確に把握・計算することは必須とされており
下記が主な理由となる。

① 遮断器の「遮断容量」を決定するため

遮断器(CB)には、安全に遮断できる
電流の限界値(定格遮断電流:例 12.5kA、20kAなど)が決まっている。

設置した遮断器の能力を上回る短絡電流が流れると
遮断器自体が爆発・破損し、事故を広げてしまうことになるため
受電点(電力会社との境界)の短絡容量から計算し、余裕を持った遮断器を選定する必要がある。

② 保護協調のため

事故が起きた際、建物全体を停電させるのではなく
「事故が起きた最小限のエリアだけ」を切り離すのが理想となる(保護協調)。

低圧側で短絡が起きた場合は低圧ブレーカー
高圧母線で起きた場合は高圧遮断器が動くよう

③ 波及事故の防止

自社の高圧設備で起きた事故(特に地絡や短絡)の遮断が遅れると
電力会社側の変電所のブレーカーが先に落ちてしまい
近隣の地域一帯を巻き込む「波及事故」に発展する。
これを防ぐために、需要家構内で自社の主遮断装置(PASやVCB、LBS)が確実に故障電流を遮断する必要がある。

故障電流計算の基本(%インピーダンス法)

短絡電流を計算する際は
一般的に「%インピーダンス(パーセントインピーダンス)法」が使われる。

基準となる容量(例えば 10 MVA など)を決め
電源(電力会社)から事故点までの各機器(送電線、変圧器、ケーブルなど)の抵抗成分を
%表示に換算して足し合わせる方法となる。

三相短絡電流(Is)は、以下の簡略式で求められる。

上式より、%インピーダンスが小さいほど、短絡電流(Is)は増加する。

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