電力用ケーブルの概略
CVケーブルとCVTケーブルの違い

特別高圧や高圧の受電引込ケーブルおよび配電用ケーブルには
主に「CVケーブル(架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブル)」が使用されている。
電力用としては3心のCVケーブルが用いられることが多いが
構造によって大きく以下の2種類に分けられる。
- 3心ケーブル(一括シース型)
3心をより合わせて1つのシース(外装)で覆った構造。 - トリプレックス形(CVT)
単心ケーブル3本をより合わせた構造。
近年では、以下の理由からCVTケーブルが主流となっている。
CVTケーブルが主流な理由
- 端末処理や接続が容易で、作業性が良い。
- 電流容量が10%ほど大きく取れる。
→3心一括のCVケーブルはシース内に熱がこもりやすいのに対し
CVTケーブルは単心ケーブルがより合わさっている構造上、ケーブル間に隙間(空気層)があり
放熱性が高いため。 - (単心ケーブルの集まりであるため)地絡事故が起きても、相間短絡に移行しにくい。
→CVTは各相が独立したシースと遮へい層を持っているため、1相で地絡が起きても他の相へアークが飛び火しにくく、波及事故を防ぎやすい。
高圧ケーブルと低圧ケーブルの構造的な違い

外見が似ている高圧ケーブルと低圧ケーブルだが
決定的な違いは「金属遮へい層」があるかないかとなる。
金属遮へい層がないものが低圧ケーブルとなる。
また、ビルや工場内の配線では用途によってケーブルが使い分けられている。
- 低圧幹線
主にCVケーブルが使用される。 - 負荷機器への配線
エアコンや照明器具、コンセントなどへ至る配線にはVVケーブルが多く使用されている。 - 損傷のおそれがある場所
天井クレーンの給電ケーブルなど、外傷のリスクが高い場所には
「3PNCT(3種EPゴム絶縁クロロプレンキャブタイヤケーブル)」などが適している。
ケーブルの略号とサイズ表記のルール

JIS(日本産業規格)において
ケーブルは一定のルールで略記される。
また「線心数 + 導体断面積」を加えることで仕様を特定する。
具体例
「600V CV 38mm² × 3C」であれば
「600V架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルで、導体断面積が38mm²の3心ケーブル」を意味する。
ここで「C」は絶縁体の架橋ポリエチレンを、「V」はシースのビニルを意味している。
また、丸型以外の形状(平形はF、トリプレックス形はT)が追記されることもある。
ケーブル略号一覧表(抜粋)
| 略号 | 略号の意味 | |
| 電力用 | 600 V CV 3 300 V CV 6 600 V CV 3 300 V CVT 6 600 V CVT 600 V VV 600 V VVF 600 V VCT 600 V PNCT | CV:絶縁体C、シースV C = Crosslinked Polyethylene (架橋ポリエチレン) V = PVC(ビニル) CVT の T:Triplex (トリプレックス形) VV:絶縁体V、シースV VVF の F:Flat(平形) VCT、PNCT の CT:Cabtyre P = Ethylene Propylene N = Neoprene (クロロプレンシース) |
| 制御用 | CVV CVV-S | C:Control VV:絶縁体V、シースV S = Shield (銅テープシールド付き) |
実務におけるポイント

水トリー現象による絶縁劣化に注意
高圧CVケーブルを地中埋設などで長期間使用していると
絶縁体である架橋ポリエチレンに水分が浸入し
電界の影響で樹木状の劣化痕が生じる「水トリー現象」が発生することがある。
これが進行すると絶縁破壊(地絡事故)に直結するため
定期的な絶縁診断(直流漏れ電流試験など)や
耐水トリー性の高いケーブル(E-Eタイプなど)の採用が実務上の重要な対策となる。
許容曲げ半径の遵守
ケーブルを敷設する際、無理に曲げすぎると内部の絶縁体やシースを痛めてしまう。
特に高圧CVケーブルは硬く太いため注意が必要となる。
一般的に、単心ケーブルの集まりであるCVTケーブルの方が
3心一括のCVケーブルよりも許容曲げ半径が小さく済み
狭いスペースでの配管や盤内への引き込み作業が容易になる。
参考資料
新電気2021年1月号
「理論と実務を結ぶ電気のQ&A Question 54 電線(ケーブル) その1」より一部引用
JIS規格(日本産業規格)
JIS C 3605「600V架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル」
JIS C 3606「高圧架橋ポリエチレン絶縁電力ケーブル」
内線規程(一般社団法人 日本電気協会)
一般社団法人 日本電線工業会 (JCMA) の技術資料

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