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保安規程についての基礎知識まとめ

目次

保安規程の概略

保安規程とは、事業用電気工作物を設置する者が、その電気工作物の保安を確保するために
必要な組織、巡視点検、災害時の対応などについて定めたもののこと。
設置者が定める電気工作物の運用ルールのようなもの。

電気工作物の使用を開始する際には、設置者はこの保安規程を作成し
国に届け出る必要がある。
設置者は、保安規程の作成と提出をもって電気工作物を使用するため
事業場の実情に合った保安規程を作成し、それを遵守する必要がある。

※設置者は、保安規程の内容に変更が生じた場合、遅滞なく変更の届出を行う必要がある。

保安規程の目的

保安規程の目的は、電気工作物の工事、維持、及び運用に関する保安を確保することにある。

具体的には、電気主任技術者を中心とした保安管理体制の確立
保安業務の分担、指揮命令系統の明確化など、社内における具体的な保安業務の基本事項を定めるもの

これにより、感電死傷事故、電気火災事故、電気工作物の破損事故
他社への波及事故などの電気事故の発生を防止し、電気の安全かつ安定的な供給・使用を維持する

保安規程の対象

保安規程の作成・届出が義務付けられているのは、主に以下の電気工作物の設置者

保安規程の作成の注意事項

保安規程は、選任した電気主任技術者がその作成に参画する。
ただし、保安規程の作成(提出)の責任は
電気主任技術者ではなくあくまで事業用電気工作物の設置者にある。
工場などを新築し新たに事業用電気工作物を設置する際は、保安規程を定め
使用を開始する前に主務大臣(実際には地域を管轄する産業保安監督部)に
保安規程を届け出る必要がある(電気事業法第42条第1項)。

実務において保安規程を作成する際は、参考となるひな形をベースとしながらも
その事業場の実態に即したものとして保安規程を作成することが多い。

自家用電気工作物の保安規程

電気事業の用に供する電気工作物と自家用電気工作物では
保安規程に記載すべき事項が異なっている。

事業用電気工作物(自家用電気工作物)の保安規程には
電気事業法施行規則第50条第3項にある、次の9つの事項を記載しなければならない。

令和4年10月1日以降、サイバーセキュリティ確保に関する技術基準令および解釈が適用され
第9号に関連して、保安規程にサイバーセキュリティの確保に関する条文の記載が必要となる場合がある。
詳細は「自家用電気工作物に係るサイバーセキュリティの確保に関するガイドライン」によるが
自家用電気工作物の監視や制御にネットワークを使用しているもの(外部ネットワークに接続されてなくても)がその対象となる。

電気事業の用に供する電気工作物の保安規程

電気事業の用に供する電気工作物の保安規程は
電気事業法施行規則第50条第2項にある事項を記載しないといけない。
この50条第2項では、第一号から第十五号までと、前述した第3項の9つより多くなっている。
電気事業の用に供する電気工作物は、自家用電気工作物と異なり電気の供給に関与する電気工作物であるので
その社会的責任の大きさからも保安規程に記載すべきことは細かくなっている。

電気事業法施行規則第50条第2項(参考)

一.事業用電気工作物の工事、維持又は運用に関する業務を管理する者の職務及び組織に関すること。

二.事業用電気工作物の工事、維持又は運用に従事する者に対する保安教育に関すること。

三.事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安のための巡視、点検及び検査に関すること。

四.事業用電気工作物の運転又は操作に関すること。

五.発電所の運転を相当期間停止する場合における保全の方法に関すること。

六.災害その他非常の場合に採るべき措置に関すること。

七.事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安についての記録に関すること。

八.事業用電気工作物の法定事業者検査に係る実施体制及び記録の保存に関すること。

九.核燃料物質、核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による災害の発生を防止するために必要な事項に関すること。(原子力発電所に限る)

十.事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する品質保証に関すること。

十一.外部からの物品又は役務の調達に関する保安に関すること。

十二.その他事業用電気工作物の工事、維持及び運用に関する保安に関し必要な事項。

5. 保安規程の遵守とその位置づけ

事業用電気工作物において、感電事故形成などの違反事故を発生させた場合
管轄の産業保安監督部による立入検査が実施される。
この立入検査において、たびたび「保安規程遵守不備」を指摘される事例がある。

主な例

  • 保安規程に定められた点検周期が守られていない
  • 保安規程に記載の組織図が現状と一致していない
  • 点検記録が保管されていない

保安規程に記載されている内容は、設置者が実施を宣言している内容のため
保安規程の内容は実施されなければならず、はじめから実施できないような内容を記載してはいけない

保安規程は、その事業場ごとの実態にあった実行性のあるものに維持し、その内容を遵守する。
その目的は電気保安の確保にあるものと肝に銘じ、電気主任技術者として保安規程と関わっていくことが必要となる。

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