高圧受電設備(受変電設備)の中核を担う変圧器(トランス)は
電力会社から送られてくる高電圧(一般的に 6,600V)を
施設内で使用可能な低電圧(200Vや 100V)に降圧する重要な装置となる。
変圧器の構造

鉄 心
変圧器の鉄心には鉄損が少なく、飽和磁束密度や透磁率の大きい材料が適している。
けい素鋼板が多く用いられ、特定の方向に磁化しやすい方向性鋼板が採用されることも多い。
また、特に損失の低減を図る目的で
磁区制御けい素鋼板やアモルファス(非結晶)鋼板が用いられることもある。
巻 線
巻線には、絶縁被覆を有する軟銅線あるいはアルミ線が用いられる。
通常は、二次巻線(低圧側)を鉄心側に巻いた上に、一次巻線(高圧側)を重ねる。
また、複数の二次電圧が必要な場合や電圧の調整が必要な場合は
巻線の途中から端子(タップ)が取り出される。
巻線の絶縁には、クラフト紙やプレスボードが使用される。
タップ切換端子

変圧器巻線の高圧側には、タップ切換端子がある。
これは、無電圧状態で巻数比を変えるもので、二次側の電圧を調整するためのもの。
油入変圧器の場合、タップ切換端子は変圧器内部にあるので
ハンドホールや上蓋(うわぶた)を外して油中で作業する。
工具やナットなどが変圧器内部に落下しないよう、注意すること。
内部点検前に身の回りの小物は外しておくことが推奨される。
変圧器のタップは、150Vステップとなっており
タップを1ステップ変えると、二次電圧は210V回路で約5V、105V回路では約2.5V変化する。
温度計


変圧器は使用温度が高いほど寿命が短くなるので、運転時の温度管理が重要となる。
このために、温度計が付属している。
上左図は油面温度計で、油面計と温度計の機能を有しており
変圧器内の油量と油温を監視できる。
上右図ははダイヤル温度計で通常の温度指示の指針、過去の最高温度を指示する指針
任意温度にセットできる警報接点付きの指針の3本の指針を持っている。
呼吸器

絶縁油は負荷や周囲温度の変化により、膨張・収縮するので、油面が上下する。
小容量変圧器では上部に空隙を設けて密閉するが
容量の大きいものでは、上図 のような呼吸器が使用される。
これは、内部圧力が大気圧と同じになるように、パイプにより空気の出入口を設けたもの。
パイプの先端には油ポットを取り付けて、空気中のほこりや湿気が変圧器内部に入るのを防いでいる。
ブッシング

上図左は高圧ブッシング、上図右は低圧ブッシングとなる。
ブッシングは、外箱を貫通する導体を外箱から絶縁すると共に、気密(シール)を図るためのもの。
低圧側のブッシングは、高圧より電流が大きくなるので、中心導体が太く、端子の形状も大きくなる。
特に、低圧ブッシングの両端(外箱の外部と内部)の端子部は接続不良による事故(過熱・焼損)が多いので
注意が必要となる。
接地端子
変圧器の外箱を接地するためのものです。高圧機器のためA種接地工事になる。
上図は、接地端子に接地線が接続されている状態。
変圧器の銘板からわかること(タップ電圧)

変圧器には上図のような銘板が取り付けられている。
銘板には定格、形式、製造年、製造番号など機器の仕様が明記されている。
一次電圧の箇所には、R 6600 V、F 6300 V、6000V の3つの電圧が表示されている。
これはタップ電圧を表しているが、使用するタップによって下表の種類がある。
| 記号 | 名称 | 内容 |
| F | 全容量タップ | 定格容量で連続使用できるタップ |
| R | 基準タップ | 全容量タップの中で 基準となるタップ (定格容量・定格電流など定格値の基準となる) |
| なし | 低減容量タップ | 定格容量よりも小さい容量でなければ規定温度上昇限度内で使用できないタップ |
※タップ電圧は、JIS C 4304 では下表 のように規定されている。
| 変圧器の種類 | 全容量タップ | 基準タップ | 低減容量タップ |
| 単相 | 6,750V、6,450V、6,300V | 6,600V | 6,150V |
| 三相 50kVA 以下 | 6,300V | 6,600V | 6,000V |
| 三相 50kVA 超過 | 6,750V、6,450V、6,300V | 6,600V | 6,150V |
低減容量タップの容量計算方法
①低減容量タップは、定格容量で使用できない。
この場合、使用できる容量は

となる。
前述の変圧器の場合、低減容量タップ電圧は6000Vで、最低全容量タップ電圧は6300V。
よって
6000/6300≒0.952
となる
低減容量タップ6000Vで使用できる容量は
定格容量の95.2%となる。
変圧器の銘板からわかること(各定格)
定格容量
| 区分 | 定格容量 [kVA] |
| 単相 | 10、20、30、50、75、100、150、200、300、500 |
| 三相 | 20、30、50、75、100、150、200、300、500、750、1,000、1,500、2,000 |
定格容量とは、定格二次電圧、定格周波数、定格力率において
規定された温度上昇の限度を超えることなく、二次端子間に得られる皮相電力のこと。
※通常は、[kVA]で表示する。
変圧器の標準容量は、JIS C 4304(6kV 油入変圧器)では上表のように規定されているので、この中から選定する。
変圧器容量は、負荷設備容量や需要率などを考慮して、次式で求める。

この式で求められた数値の標準容量を、選定する。
定格周波数
周波数は 50Hz or 60Hz が標準となる。
50Hz 用の変圧器はインピーダンス電圧が大きくなるが、60Hz でも使用可能。
一方、60Hz 用の変圧器は 50Hz では使用できない。60Hz 用の変圧器を 50Hz で使用すると
磁束が 1.2 倍になり、鉄心が磁気飽和する。このため、
- 励磁電流及び励磁突流電流が著しく増える。
- 無負荷損失が大幅に増える。
- 騒音・振動が非常に大きくなる。
などの障害が発生するので、使用できない。
短絡インピーダンス
短絡インピーダンスは、二次側を短絡したときの一次側から見たインピーダンスのこと。
短絡インピーダンスは、通常%インピーダンスで表す。短絡インピーダンスが大きいと
変圧器の電圧変動も大きくなる。6kV 変圧器の短絡インピーダンスは、通常は 2 〜 6% 程度となる。
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