高圧機器類の汚損

高圧で受電している受電設備は、ほとんどがキュービクル式受電設備であり
屋外に設置され、鋼板(2.3 mm)を隔て直接外気に接している。
キュービル内の換気のため、給気口や換気扇が設置され
外部の塵埃・排気ガス等が侵入し遮断器・高圧負荷開閉器などの
高圧機器類の表面に堆積(たいせき)する。
この状態は、キュービクルの構造、設置場所、周囲環境等により異なるが
キュービクル内に堆積した塵埃等の汚損物は、雨水による洗浄効果がないために時間とともに累積されてゆく。
トラッキング劣化と過程

受電室や屋外型キュービクル内の高圧機器類には
時間とともに外部よりの塵埃等の汚損物が堆積し、湿度の上昇・結露・雨水の侵入等より
絶縁物表面に堆積した汚損物は電解質を含むため、吸湿により絶縁物表面の絶縁抵抗が低下する。
地絡・短絡事故へ至る過程
①絶縁物の表面漏れ電流が増加する。
②漏れ電流と表面絶縁抵抗によるジュール熱が発生し、汚損物の吸湿水分が蒸発して、表面絶縁抵抗の大きい部分が乾燥し、局所的に乾燥帯(ドライバンド)が発生する。
③ドライバンドが発生し、絶縁が回復して、漏れ電流が遮断されるときに、微小発光放電が発生する。
④ドライバンドによる局所的な高抵抗部に電圧分担が集中して微小発光放電〜局部的な放電(コロナ放電)が発生し、放電熱により、炭化導電路が形成される。
このコロナ放電により、オゾン O3が発生して硝酸イオン、硝酸や水などが以下のように生成されて、ますます表面絶縁抵抗が低下する。

⑤表面絶縁抵抗が徐々に低下する。
⑥主回路の地絡・短絡事故へ進展する。
コロナ放電を検出機器

図:リークホン(超音波式放電探知器)
高圧機器表面にコロナ放電が発生すると、広帯域にわたり超音波が発生する。
この超音波を検出して表示する検出器が現在、点検に使用されている。
トラッキングの防止対策

トラッキング現象の発生の原因は、有機絶縁物の設置環境の悪化が多い。
有機絶縁物の表面が汚損と水分(湿気・結露)により、表面絶縁抵抗が低下して
漏れ電流が流れ始めることから、劣化過程が始まる。
トラッキングの主な対策
清掃
受電設備は、外気から侵入した汚損物が時間とともに堆積し、高圧機器の表面絶縁抵抗は低下する。
汚損は時間が経過するにつれて、空気中の油分や化学物質等を吸収し、落ちにくくなるので
絶縁抵抗値が低下してから清掃を実施するのではなく
使用開始当初より清掃を行うことがより効果的であり、機器の延命化となる。
清掃後の判定基準としては、トラッキングがないことを条件に
以下のとおり。
・高圧交流負荷開閉器:1000 V 絶縁抵抗計で 100 MΩ 以上(主回路〜大地間)
・高圧遮断器:1000 V 絶縁抵抗計で 500 MΩ 以上(主回路〜大地間)
スペースヒーターの設置
湿気が多く環境の悪い場所に設置された屋外型キュービクルや変圧器などの
発熱する機器がない本線・予備線受電キュービクル等には
スペースヒーターを取り付けることにより屋外とキュービクル内温度との差を小さくすることができ
湿度を下げることができる。
スペースヒーターは必要とする機器の下部に設置するが
熱が発生するので可燃物との離隔距離は安全距離を保つこと。
参考資料
新電気2022年2月号「現場の電気保安実務 第 190 回受電設備機器の汚損とトラッキング劣化」より一部引用

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