目次
高圧真空遮断器(VCB)の概略

VCB(Vacuum Circuit Breaker:真空遮断器)は
ビルや工場などの高圧受電設備(キュービクル等)において
電路の開閉および事故電流の遮断を行う遮断器のひとつ。
高真空の容器内で電極を開閉させることで
電流遮断時に発生するアーク放電を瞬時に消弧する仕組みを持つ。
主な役割
- 負荷電流の開閉
通常の運転時における機器への送電・停止を手動または遠隔で切り替える。 - 事故電流(短絡・過電流)の遮断
過電流継電器(OCR)などの保護リレーと連動し、短絡や過負荷が発生した際に
回路を高速で切り離して波及事故や機器の焼損を防ぐ。
主な特徴・メリット
- 高い遮断性能と長寿命
真空の絶縁耐力と消弧能力が高く、接点の摩耗が極めて少ないため長寿命。 - 小型・軽量
消弧空間が小さく済むため、盤内をコンパクトに収められる。 - 安全性・低騒音
油遮断器(OCB)のような火災リスクがなく
ガス遮断器(GCB)のような有害ガス排出もなく、動作音も比較的小さい。 - メンテナンス性
構造がシンプルで点検・保守が容易。
富士電機製高圧真空遮断器MULTI.VCB シリーズの定期点検
主回路
| 点検箇所 | 点検内容 | 点検方法 | 点検要領 | 保守点検区分初回点検・普通点検 | 保守点検区分細密点検 |
| 絶縁フレーム 絶縁カバー | ひび,割れ,破損の有無 | 目視 | ひび,割れ,破損が有れば交換。 | ◯ | ◯ |
| 絶縁フレーム 絶縁カバー | 汚れの有無 | 目視 | じんあいなどを乾いたきれいな布またはアルコール水を含ませた布で拭き取る。 | ◯ | ◯ |
| 絶縁フレーム 絶縁カバー | 水分付着,結露の痕跡の有無 | 目視 | 痕跡が認められた場合,水分が付着しないよう対策すること。 | ◯ | ◯ |
| 絶縁フレーム 絶縁カバー | トラッキングや放電痕の有無 | 目視 | 痕跡が認められた場合は,必要により交換。 | ◯ | ◯ |
| 真空バルブ | 真空状態の確認 | 耐電圧試験 | 真空遮断器を「切」状態にして,同相端子間に商用周波電圧22kVを1分間印加し,閃絡しないことを確認すること。 | - | ◯ |
| 主回路端子部 | ねじ・ナットの緩み | 緩み確認 | 緩んでいた場合,増し締めする。 | ◯ | ◯ |
| 主回路端子部 | 変色の有無 | 目視 | 変色が著しい場合,原因調査の上,対策する。必要により交換。 | ◯ | ◯ |
操作装置
| 点検箇所 | 点検内容 | 点検方法 | 点検要領 | 初回点検普通点検 | 細密点検 |
| 操作部 | 機構部への注油 | ー | 注油基準 (下記参照) に基づく注油を行うこと。 | ー | 〇 |
| 操作部 | 各部の発錆の有無 | 目視 | 正面パネルを外し、目視点検、じんあいの清掃を行うこと。 必要により交換。 | 〇 | 〇 |
| 操作部 | じんあい、異物の混入の有無 | 目視 | 正面パネルを外し、目視点検、じんあいの清掃を行うこと。 必要により交換。 | 〇 | 〇 |
| 操作部 | 各部のねじ・ナットなどの緩み | 目視および 動作確認 | 目視および手動操作での動作確認にて円滑に動作しないことを確認した場合、原因調査の上、対策する。 必要により交換。 | 〇 | 〇 |
| 操作部 | 部品の変形、脱落の有無 | 目視および 動作確認 | 目視および手動操作での動作確認にて円滑に動作しないことを確認した場合、原因調査の上、対策する。 必要により交換。 | 〇 | 〇 |
| 操作部 | ピン、ピン止め金具の折損、脱落など | 目視および 動作確認 | 目視および手動操作での動作確認にて円滑に動作しないことを確認した場合、原因調査の上、対策する。 必要により交換。) | 〇 | 〇 |
| 制御回路 | 端子、ねじなどの緩み | 緩み確認 | 緩んでいた場合、増し締めする。 | 〇 | 〇 |
| 制御回路 | 配線の断線の有無 | 目視および 動作確認 | 外部で断線している場合は補修すること。 内部で断線している場合は必要により交換。 | 〇 | 〇 |
動作試験
| 点検箇所 | 点検内容 | 点検方法 | 点検要領 | 初回点検普通点検 | 細密点検 |
| 開閉表示部 開閉度数計 ばね蓄勢表示器 | 動作確認 | 目視 | 数回開閉して正常に動作することを確認する。 必要により交換。 | ◯ | ◯ |
| 操作部 | 開閉特性確認 | 無負荷試験 | 必要により交換。 | ー | ◯ |
絶縁抵抗測定試験
| 点検箇所 | 点検内容 | 点検方法 | 点検要領 | 初回点検・普通点検 | 細密点検 |
| 主回路部 | 主回路部-大地 同相主回路端子間 異相主回路端子間 | 1000 V メガー | 異常があれば,絶縁カバー着脱方法(8.5項)のように絶縁カバーを取り外し,絶縁フレーム,絶縁シャフト,絶縁カバー,真空バルブ表面を清掃し再試験を行うこと。 必要により交換。 | 〇 | 〇 |
| 制御回路 | 制御回路一括-大地 | 500 V メガー | 2MΩ以上 異常があれば,ねじ部の増し締め,清掃し再試験を行うこと。 必要により交換。 |
開路特性試験(トリップ試験)
異常発生時に、VCBが速やかに電流を遮断できるかを確認する。
引外し方式によって試験条件は異なるが、判定値(開極時間)は共通している。
閉路特性試験(投入試験)
VCBを投入する際の動作スピードの確認。
※電動ばね操作方式の場合の基準となる。
| 試験条件 | 判定値(閉極時間) |
| 定格閉路制御電圧を印加 | 0.03秒以下 |
主回路部の絶縁抵抗測定と継続使用の目安

VCBは高電圧を開閉するため、主回路の絶縁性能の維持が不可欠となる。
絶縁抵抗計を用いた測定結果に対し、どのような数値であれば継続使用が可能で
どのレベルでオーバーホールや交換が必要になるのか、具体的な目安を整理する。
絶縁抵抗値による判定と処置
| 主回路部の絶縁抵抗値 | 処置・対応方針の目安 |
| 500MΩ以上 | 継続使用可能。 |
| 30MΩ以上 ~ 500MΩ未満 | 主回路部を清掃後、再測定する。 ・500MΩ以上になれば、そのまま使用可能。 ・500MΩに達しない場合、トラッキングの兆候がないことを確認した上で継続使用可能。 ※1年以内に絶縁状態を再確認する必要がある。 |
| 30MΩ未満 | 絶縁性能が著しく低下している。 真空遮断器を工場に持込みオーバーホール、もしくは新品への取替えを推奨する。 |
測定時の重要ポイント
- 清掃と乾燥の徹底
絶縁抵抗測定は、必ず碍子や絶縁物を「清掃後、乾いてから」行う。
表面に湿気や埃が付着しているだけで、数値は大幅に低下する。 - 異常発見時の対応
絶縁低下以外にも、定期点検項目で異常(異音、変色、機構部のガタつきなど)を発見した場合は
必ず原因を調査し、必要に応じて臨時点検を実施すること。
臨時点検が必要となる条件と点検内容

以下のような異常事態や過酷な条件が生じた際は
速やかに臨時点検を実施することが推奨されている。

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