高圧真空遮断器(VCB)の概略

VCB(Vacuum Circuit Breaker:真空遮断器)は
ビルや工場などの高圧受電設備(キュービクル等)において
電路の開閉および事故電流の遮断を行う遮断器のひとつ。
高真空の容器内で電極を開閉させることで
電流遮断時に発生するアーク放電を瞬時に消弧する仕組みを持つ。
主な役割
- 負荷電流の開閉
通常の運転時における機器への送電・停止を手動または遠隔で切り替える。 - 事故電流(短絡・過電流)の遮断
過電流継電器(OCR)などの保護リレーと連動し、短絡や過負荷が発生した際に
回路を高速で切り離して波及事故や機器の焼損を防ぐ。
主な特徴・メリット
- 高い遮断性能と長寿命
真空の絶縁耐力と消弧能力が高く、接点の摩耗が極めて少ないため長寿命。 - 小型・軽量
消弧空間が小さく済むため、盤内をコンパクトに収められる。 - 安全性・低騒音
油遮断器(OCB)のような火災リスクがなく
ガス遮断器(GCB)のような有害ガス排出もなく、動作音も比較的小さい。 - メンテナンス性
構造がシンプルで点検・保守が容易。
富士電機製高圧真空遮断器MULTI.VCB シリーズの構造及び型式
据付方式:キュービクル形(C),手動ばね操作方式〉

構造例〈据付方式:ボード形(B),電動ばね操作方式〉

形式説明

| No. | 形式構成 | 記号 | 記号の説明 |
| ① | 基本形式 | HA A | MULTI.VCB(HAシリーズ) |
| ② | 定格遮断電流 | 08 | 8kA (定格電流400A) |
| 12 | 12.5kA (定格電流600A) | ||
| ③ | 据付方式 | B | ボード形 |
| C | キュービクル形 | ||
| P | ポータブル形 | ||
| ④ | 操作方式 | H | 手動ばね |
| A | 電動ばね AC/DC 100/110V | ||
| B | 電動ばね AC/DC 200/220V | ||
| C | 電動ばね DC 48V | ||
| D | 電動ばね DC 21/24V | ||
| ⑤ | 引外し方式 | 1 | 電圧引外し DC 100/110V |
| 2 | 電圧引外し DC 200/220V | ||
| 3 | 電圧引外し DC 48V | ||
| 4 | 電圧引外し DC 21/24V | ||
| 5 | 電流引外し 3A × 2個 | ||
| ⑥ | 真空バルブ | 無記号 | 標準形 |
| L | 低サージ形 | ||
| ⑦ | 仕様区分 | 無記号 | 標準仕様 |
| Z | 特殊仕様 |
表:型式説明
富士電機製高圧真空遮断器MULTI.VCB シリーズの操作方法
手動ばね操作方式の場合

●閉路操作
操作ハンドルを時計方向に約 90° 回転させることにより閉路する。
この時,閉路完了まで操作ハンドルを止めないこと。
操作後,開閉表示器が「入」となっていることを要確認。
●開路操作
操作ハンドルを反時計方向に約 90° 回転させることにより開路する。
操作後,開閉表示器が「切」となっていることを確認すること。
●リセット操作
操作ハンドルを反時計方向に回転させることによりリセットする。
この時,操作ハンドルが「切」位置(リセット状態)に保持されるまで操作すること。
※リセット操作は真空遮断器が電気的に開路動作をした場合のみ必要となり
リセットしないと次の操作ができない。
真空遮断器が電気的に開路動作を行った場合
開閉表示器は「切」表示で,操作ハンドルは「入」位置になる。
電動ばね操作方式の場合

右図:電動ばね操作方式 構造図
蓄勢ハンドルを付属する。
蓄勢ハンドルにて操作する場合は
次の方法により行うこと。
●ばね蓄勢操作
開閉表示器が「切」となっていること,
ばね蓄勢表示器が「放勢」となっていることを確認すること。
付属の蓄勢ハンドルを挿入し,時計方向に約2回転操作することにより
閉路ばねが蓄勢され,閉路待機状態になる。
この時,ばね蓄勢表示器が「蓄勢」であることを確認すること。
●閉路操作
投入ボタンを押すと真空遮断器は閉路する。
操作後、開閉表示器は「入」,ばね蓄勢表示器は「放勢」となっていることを確認すること。
●開路操作
引外しボタンを押すと真空遮断器は開路する。
操作後,開閉表示器は「切」となっていることを確認すること。
【操作上の注意事項 】
投入ボタンおよび引外しボタンは電気的スイッチではなく
機械的にラッチを外すものであり、操作時は強く押すこと。
蓄勢状態で引外しボタンを押さないこと。
誤って押すと閉路ばねが放勢する。
誤って放勢させた場合,ばね蓄勢表示器は「蓄勢」のままだが
実際は放勢状態となっていますので,手動でばね蓄勢操作をして閉路待機状態にすること。
蓄勢途中で投入ボタンおよび引外しボタンを押さないこと。
誤って押すと閉路ばねが放勢する場合や動作不良の原因となる場合がある。
富士電機製高圧真空遮断器MULTI.VCB シリーズの動作確認および試験

図:制御回路のタイムチャート
電動ばね操作の場合,電源を入れると電動機が回転を始め
約 5 秒で閉路ばねを蓄勢して自動的に停止し, 閉路待機状態となる。
(電動機は真空遮断器が開路すると自動的に回転を始める。)
制御回路のタイムチャートは上図のようになっている。
参考資料
メーカーの公式技術資料・カタログ
「富士高圧真空遮断器MULTI.VCBシリーズ」
富士電機株式会社のカタログ・取扱説明書(定格値、シーケンス回路の構成、各部品の役割など)
公的規格(JIS / JEC)
「JIS C 4603(高圧交流遮断器)」および「JEC-2300(交流遮断器)」における基準や定義。
電気工学および現場実務の標準知識
制御シーケンスにおける日本電機工業会規格(JEM 1090)に基づく
器具番号の定義(52C、52T、52X、52Zなどの一般的な働き)

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