MENU

零相電圧検出装置(ZPD)の地絡電圧監視についてのまとめ

目次

零相電圧検出装置(ZPD)の要約

高圧線は大地に接続(接地、アース)されていないため正常な状態では三相の合成電圧と大地間には大きな電圧変化は発生しない。
しかし、地絡が発生すると三相の合成電圧と大地間に大きな電圧変化が発生する。
ZPDは高圧線と大地間をコンデンサで分圧し、トランスにより高電圧を低電圧に変換し、二次側に出力する。
継電器は、その電圧の大きさや、地絡電流との位相関係を判断して動作する。
(零相基準入力装置と呼ばれる場合もある)

零相電圧検出装置(ZPD)は、ZVT(Zero-phase Voltage Transformer)や
ZPC(Zero-phase Potential Capacitor)などと呼ばれることもある。

零相電圧検出装置(ZPD)の役割

ZPDは地絡電圧を検出するための機器

零相電圧検出装置(ZPD)の原理

ZPDはY結線のコンデンサCを各相に接続し、その中性点は
検出用コンデンサCoを介して接地する。
各相の対地電圧が等しければ、検出部のコンデンサ(C)には電圧が発生しない。
出力も零となる。
地絡事故発生時は、各相の対地電圧のバランスが崩れると電圧が発生

Y₁-Y₂間に電圧が発生し、この電圧がDGRに出力される。

ZPDの回路図

零相電圧検出装置(ZPD)の動作原理

① 健全時

健全時においては、三相回路の対地電圧Va、Vb​、Vc​はバランスが取れており
電源の相電圧Ea、Eb​、Ec​と等しく、大きさは3810Vで、それぞれ120°の位相差がある。

したがって、高圧コンデンサの各相には下記図のように対地電圧3810Vがかかる。
この場合、三相とも平衡しているので、中性点(N)には電圧が発生しない。
このため低圧コンデンサに印加される電圧は零で、出力端子に電圧は発生しない。

図:健全時のZPD電圧

② 1相(c相)完全地絡時

次に、c相が完全地絡したとする。
この場合、端子a-E間と端子b-E間には60°の位相差があり
線間電圧(6600V)に相当する電圧がかかり、それぞれCₐとC₀、および、CbとC₀に分圧される。

したがって、C₀には下記図のように、この2つの分圧電圧(Va​の分圧とVbの分圧)のベクトル和が加わる。
これは、3V0(11430V)を高圧コンデンサと低圧コンデンサで分圧したものと同じになる。

図:c相完全地絡時のZPD電圧

出力例

高圧コンデンサは250 pF×3、低圧コンデンサは0.15 μF
出力変圧器の変圧比はn=20なので
低圧コンデンサの電圧の大きさVNE

参考資料

新電気2019年 4月号 現場の疑問解決塾第4回「EVT・ZVTってなにをしてるの」より一部引用

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次