有効電力についての基礎知識まとめ（用語説明）

有効電力とは、交流回路において実際に消費され、仕事をする電力のこと。
生活や産業活動に直接役立つエネルギーに変換される電力。
単位には ワット（W）

例）照明を明るくしたり、モーターの回転、ヒーターによる保温

直流回路では電圧と電流を掛け合わせたものがそのまま有効電力となるが、交流回路では少し複雑になる。
交流回路には、抵抗（電熱線など）の他に、コイル（モーターなど）やコンデンサ（電子回路など）といった要素が含まれるため、電圧と電流の間に位相のずれが生じることがある。

有効電力、無効電力、皮相電力の関係

交流回路における電力には、以下の3つの種類がある。

• 有効電力（P）： 実際に仕事をする電力（単位：W）
• 無効電力（Q）： 仕事をせず、交流回路のコイルやコンデンサにエネルギーを蓄えたり放出したりする電力。
  　　　　　　　 電圧を安定させる役割も持つ（単位：バール var）。
• 皮相電力（S）： 交流回路に流れる見かけ上の電力で、有効電力と無効電力を合成したもの
  　　　　　　 （単位：ボルトアンペア VA）。

これらの関係は、直角三角形で表すことができる。（下記図参照）
皮相電力が斜辺、有効電力と無効電力がそれぞれ直角をなす辺となる。

S=P+jQ S=P2+Q2​

※j は虚数単位。

有効電力の計算方法

交流回路における有効電力 (P) は、以下の式で計算できる。

P=VIcosθ

V：電圧（ボルト）
I：電流（アンペア）
(cosθ)：力率

力率（cosθ）とは

力率とは、皮相電力のうち有効電力がどれくらいの割合を占めているかを示す値。
0から1（または0%から100%）の間の値を取り、1に近いほど電力が有効に利用されていることを意味する。