MENU

高圧ケーブルの水トリー現象とその対策

目次

水トリー現象とは

一般に自家用電気設備では、高圧の電気を構内に引き込むための高圧ケーブルとして架橋ポリエチレンケーブル(CVケーブルなど)が使用されています。この高圧ケーブルの絶縁に使われる架橋ポリエチレンなどに、水と電界の関係で小さな亀裂が発生し樹枝(tree)状に成長する現象を「水トリー」と呼ぶ。
水トリーには、内部の導体から発生する内導水トリーと外部の半導電層から発生する外導水トリー、絶縁物中に製造過程でできる微小のすき間や混入異物から発生するボウタイ状水トリーと呼ばれるものがあります。

この中で、内導水トリーと外導水トリーは、特にケーブルの絶縁性能を大きく低下させ絶縁破壊事故の原因となっています。なお、この現象は、昭和51年以前(西暦1976年)に製造されたものに多く発生する傾向があります。

https://www.kdh.or.jp/safe/document/knowledge/hp_equipment05.html

引用:関東電気保安協会 高圧ケーブルの水トリー現象

水トリーの種類

内部の導体から発生する内導水トリー
外部の半導電層から発生する外導水トリー
・絶縁物中に製造過程でできる微小のすき間や混入異物から発生するボウタイ状水トリー

水トリーによる高圧ケーブル対策

結論:E-TタイプではなくE-Eタイプのケーブルを更新することを推奨する

以下、参考資料となる。

電気工作物設置者及び電気保安業務担当者におかれましては、更新推奨時期に満たない高圧ケーブルであっても地絡事故が発生する場合があることを念頭に、以下の点に留意ください。

・定期的に高圧ケーブルの点検を実施し、劣化の兆候が確認された場合は、更新推奨時期に満たなくても速やかに更新するようお願いいたします。

・高圧ケーブルはそれぞれその特性に応じて使用することが重要です。高圧ケーブルの設置に当たっては、その敷設環境を確認し、水の影響がない場合には、設置者のニーズ等に応じてE-Eタイプ(外部半導電層が押出成形)またはE-Tタイプ(外部半導電層がテープ巻き)を選択してください。敷設環境に水の影響がある場合には、品質に関する説明を踏まえてE-EタイプまたはE-Tタイプを選択してください。

https://www.kyokuto.co.jp/booklet/no63/booklet63_safety.html

エレックス極東 ありがとう通信vol.63 より

実務を経験しての体験談①

水トリーが起こる現場のほとんどが埋設ケーブルで発生する。原因として考えられるのが、地下水が地下埋設に侵入してくることによって、外層から内部へと水が少しずつ入り込む。

年次点検による高圧絶縁測定による高電圧(10000V)が引き金となり、水トリーが促進し、ケーブルパンク(電圧が絶縁破壊を起こすこと)が発生する。

自身が行っている対策としては

  • ハンドホールがあるケーブルの場合、定期的に水が溜まっていないか確認し、ひどい場合はポンプで排出実施。
  • お客様にE-Eタイプのケーブル更新を推奨を年次点検報告書に記載する。(パンク時の説明責任の回避
  • 高圧絶縁測定を実施する際、電圧の上昇を急激に行わないよう注意し、キック現象が見られたら、その電圧で作業を中断する

実務を経験しての体験談②

Y社製(2017年製)の高圧絶縁測定を実施時。5000V印加時点では100GΩだったが、10000V印加時に2GΩに低下。
減圧後試験をすぐに中止し再度5000V試験を実施するも3GΩまでしか上がらなかった。
→10000Vまで昇圧時にケーブル絶縁体内でわずかに内導水トリーが発生したものと思われる。
 ※引き込みケーブルは構内PAS→地中埋設→建物屋上(8F)屋外キュービクルまで亘長130m使用のEEケーブル
(数GΩが出たので、今後数週間でケーブルパンクは起こりにくいと思われる。以前水トリーによるケーブルパンクが起こった現場では数百~数十MΩだった。なお設置者にはケーブルパンクの可能性は報告済み)

対策:Y社製のケーブルは近年水トリーによる地絡事故が急増しているので、製造年に関わらず、高圧絶縁測定時には測定に注意する必要がある。
(自社の注意事項にY社の水トリーの可能性のあるケーブルは2013~2016年のみとの通達があったので大丈夫だろうという慢心があった)




電力安全課からの資料(追記)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次