
三相交流(さんそうこうりゅう)とは、位相(タイミング)が120度ずつずれた3つの単相交流を組み合わせた電力システムのこと。
3本の電線を使って電力を供給し、主に工場やビルなどの大規模な施設で
動力用として利用される。
三相交流の基本的な仕組み

- 3つの単相交流: 発電機内で、位相が120度ずつ異なる3つの交流電圧が同時に生成される。これらはそれぞれA相、B相、C相と呼ばれる。
- 3本の電線: これらの3つの交流電圧は、それぞれに対応する3本の電線を通して負荷に供給される。
- 回転磁界の生成: 三相交流の大きな特徴として、モーターなどの内部で回転する磁界を容易に作り出すことができる点が挙げられる。これにより、効率的かつ安定した動力源として利用できる。
三相交流の主な特徴

- 安定した動力源: モーターなどの回転機を滑らかかつ効率的に回転させることができる。単相モーターのように始動時に特別な工夫が必要ない。
- 高い出力: 大きな電力を必要とする設備に適している。
- 主に動力用: 工場、ビル、商業施設などの動力設備(モーター、エレベーター、大型空調設備等)が主な用途。
- 200Vが一般的: 日本では主に200Vの三相交流が利用される。
- 単相機器の利用には変圧が必要: 家庭用などの単相100V/200V機器をそのまま使用することはできない。変圧器を設置して電圧を変換する必要がある。(スコットトランスの設置が必要)
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三相交流のメリット・デメリット

三相交流のメリット
- 送電効率の向上: 同じ電力をより少ない損失で送ることが可能。
- 省線化: 単相交流に比べて、必要な電線の本数を減らすことができつ。
- 安定した動力: 三相モーターは始動トルクが大きく、回転も滑らか。
- 高い効率のモーター: 三相誘導モーターは構造が簡単で頑丈、かつ高効率。
- 設備の小型化: 同じ出力を得るために、単相の設備よりも小型化できる場合がある。
三相交流のデメリット
- 単相機器の直接利用不可: 家庭用電気製品など、単相で動作する機器をそのまま接続できない。
- 配線が複雑: 単相に比べると、配線や制御がやや複雑になる。
- 感電のリスク: 高電圧を扱うため、取り扱いには専門知識が必要。
三相交流の利用例

- 工場: 生産ラインの機械、工作機械、プレス機、コンプレッサーなど、多くの動力設備で利用される。
- ビル: エレベーター、エスカレーター、大型空調設備、ポンプなど、建物全体の機能を維持するために利用される。
- 商業施設: ショッピングモールの空調、冷凍・冷蔵設備、遊園地のアトラクションなど、大規模な電力消費を伴う設備で利用される。。
- 病院: MRIやCTスキャナーなどの医療機器、空調設備などで利用される。
- 発電所から変電所への送電: 高電圧の三相交流で効率的に電力が送られる。
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