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フェランチ効果についての基礎知識まとめ

フェランチ効果は、電力系統において非常に重要な現象の一つ。
特に長距離の高圧送電線路で発生しやすく、電力システムの安定運用に影響を与える可能性がある。

目次

フェランチ効果とは

通常、送電線では電流が流れると抵抗リアクタンスによる電圧降下が生じ
送電端(電力を送る側)よりも受電端(電力を受け取る側)の電圧が低くなる。
しかし、フェランチ効果は、これとは逆に、受電端電圧が送電端電圧よりも高くなる現象を指す。

フェランチ効果が発生する原因・条件

フェランチ効果は、主に以下の要因が組み合わさることで発生しやすくなる。

軽負荷時(無負荷時)

電力系統では、需要が少ない夜間や休日、あるいは需要家側で大きな負荷が切り離された場合などに
送電線に流れる電流が非常に小さくなる
送電線は、導体と大地の間、あるいは導体と導体の間に静電容量コンデンサ成分)を持っている。
この静電容量は、交流電流が流れると「進み無効電力」を消費する。
軽負荷時には、この静電容量による進み無効電力の影響が相対的に大きくなり
系統全体の力率が進み力率(電流が電圧よりも位相が進む状態)となる。

送電線路の静電容量が大きい場合

長距離送電線路
線路が長くなればなるほど、その静電容量も大きくなる。
地中送電線路
地中ケーブルは、架空送電線に比べて導体と大地の距離が近く、絶縁体も密になっているため
静電容量が非常に大きくなる。
=進み無効電力の消費量が増加し、フェランチ効果が起こりやすくなる。

進み力率

上記のように、軽負荷時や静電容量の大きい線路では
電流が電圧よりも位相が進む「進み力率」の状態になる。
この進み電流が送電線のリアクタンス(誘導性成分)を通ると
電圧が上昇する方向に作用し、受電端電圧が送電端電圧よりも高くなる現象が発生する。
(ベクトル図で考えると、受電端電圧のベクトルに対して、送電線の電圧降下ベクトルが電流の位相に対して90度進む方向に加わるため、結果的に送電端電圧よりも受電端電圧の方が大きくなる形になる。)

フェランチ効果が電力系統に与える影響

フェランチ効果による過電圧は、電力系統に様々な悪影響を及ぼす可能性がある。

  • 変圧器の過励磁
    変圧器が過励磁(過大な磁束が通る状態)となると
    鉄損が増加し、騒音や振動の増大、異常発熱などを引き起こす。
  • 保護継電器の誤動作
    電圧上昇により、電圧を検出する保護継電器が誤動作し
    不要な遮断を引き起こす可能性がある。
  • 電力品質の低下
    電圧が不安定になることで、電力品質が低下し
    需要家側の機器の誤動作や故障につながることもある。

フェランチ効果の対策

フェランチ効果による悪影響を防ぐためには、以下のような対策が講じられる。

分路リアクトルの設置・投入

分路リアクトルは、送電線と並列に接続されるコイル(誘導性成分)。
コイルは「遅れ無効電力」を消費するため、静電容量が発生させる「進み無効電力」を打ち消し
力率を進みから遅れ方向に改善することで、電圧上昇を抑制する。
軽負荷時には、自動的に分路リアクトルを系統に投入するなどの運用が行われる。

進相コンデンサの切り離し

工場などの需要家側では、力率改善のために進相コンデンサが設置されていることがよくある。
進相コンデンサも静電容量成分であり、進み無効電力を消費する。
軽負荷時に進相コンデンサが投入されたままだと、フェランチ効果を助長する可能性があるため
負荷が小さい時間帯には進相コンデンサを系統から切り離すことが推奨される

発電機の進相運転

同期発電機は、界磁電流を調整することで
進み無効電力を消費(遅れ無効電力を供給)する運転が可能となる。
系統が進み力率の状態にある場合、発電機を進相運転させることで
系統の電圧上昇を抑制する効果が期待できる

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この記事を書いた人

コメント

コメント一覧 (3件)

  • コンデンサ、静電容量は進み無効電力を消費するんです。発生ではありません。
    進み無効電力を消費するから、逆を言えば遅れ無効電力を発生するわけです。
    そして無効電力が余剰するから電圧が上がるんです。
    意味分かりますでしょうか?
    進みの消費は完全に誤りです、向きをよく考えてください。

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