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低圧コンデンサ(LCユニット内蔵型)についての基礎知識まとめ

低圧コンデンサ(LCユニット内蔵型)は、主に工場やビルなどの低圧受電設備において
力率改善高調波対策を同時に行うことを目的とした機器。

目次

LCユニット内蔵型コンデンサとは?

「LCユニット」とは、L(コイル、リアクトルC(コンデンサ を組み合わせた回路のことを指す。
通常の進相コンデンサは、交流回路の力率を改善するために使用されるが
近年、インバータなどの電子機器の普及により、電力系統に高調波電流が発生し
さまざまな悪影響を及ぼすようになった。

言説明

LCユニット内蔵型コンデンサは、この高調波対策として
進相コンデンサに直列リアクトルを組み込んだ製品。

内部設備役割

  • コンデンサ (C)
    力率を改善し、無効電力を抑制する。

  • 直列リアクトル (L)
    コンデンサと直列に接続することで、系統に発生する高調波電流を抑制する役割を果たす。
    特に、第5次、第7次などの特定の高調波成分を吸収・抑制する効果があり
    コンデンサ投入時に発生する突入電流の抑制にも寄与する。

LCユニット内蔵型コンデンサの仕組みと役割

LCユニット内蔵型コンデンサの主要な役割は以下の通り。

力率改善

誘導性負荷(モーターなど)が原因で遅れている電流の位相を進ませ
電圧との位相差を小さくすることで力率を改善する。
これにより、以下の効果が得られる。

  • 電気料金の割引: 電力会社によっては、力率が一定以上改善されると基本料金が割引される制度がある。
  • 電力損失の低減: 変圧器や配電線に流れる電流が減少し、抵抗損失(ジュール熱)が低減される。
  • 電力設備に余裕: 変圧器や配電機器の負担が軽減され、将来的な負荷増設にも対応しやすくなる。
  • 電圧安定化: 構内での電圧降下や電圧変動が少なくなり、機器の安定稼働や製品品質の向上に寄与する。

高調波対策

インバータやLED照明、UPS(無停電電源装置)などの電子機器は、非線形負荷と呼ばれ
高調波電流を発生させる。この高調波は、以下のような問題を引き起こす可能性がある。

コンデンサの過負荷・焼損
コンデンサは高周波になるほどインピーダンスが低くなる。
そのため、高調波電流が流れると過大な電流が流れ、コンデンサが過熱・焼損するリスクが高まる

変圧器の過熱・焼損
高調波電流は、変圧器の鉄心や巻線で損失を増加させ、過熱を引き起こす。

ケーブルの過熱
高調波電流は、ケーブルの表皮効果により実効抵抗を増加させ、過熱を招く。

保護継電器の誤動作
高調波成分が原因で、過電流継電器などが誤動作することがある。

機器の誤動作・故障
精密機器や制御機器が誤動作したり、寿命が短くなったりすることがある。

電力会社の設備への影響
上流の電力系統にも影響を与え、電力品質を低下させる

まとめ

LCユニット内蔵型コンデンサは、この高調波電流を吸収・抑制することで、これらの問題を未然に防ぐ。
特に、高圧側にコンデンサを設置するよりも、負荷に近い低圧側に設置することで
構内で発生する高調波を効率的に吸収できる利点
がある。

LCユニット内蔵型コンデンサの特徴と利点

  • 省スペース・省施工
    コンデンサと直列リアクトルが一体型になっているため、個別に設置するよりも設置スペースを節約でき
    配線工事も簡素化される。

安全性
多くの場合、コンデンサ内部に自己遮断機構や温度センサーなどが内蔵されており
異常時には回路を自動的に開放するなど、高い安全性が確保されている。

高効率・低損失
力率改善効果は、進相コンデンサの設置位置よりも上位(電源側)の部分にあたるため
低圧側に設置することで力率改善される範囲が長くなり、変圧器や低圧側配電線路の損失低減効果がある。

  • メンテナンス性
    一括対策のため、メンテナンスが比較的容易。

  • 電気品質の向上
    力率改善と高調波対策により、電力系統全体の品質が向上し
    設備の安定稼働に寄与する。

LCユニット内蔵型コンデンサ設置上の注意点

LCユニット内蔵型コンデンサを設置する際には、いくつかの注意点があります。

  • 容量選定
    負荷の種類や高調波の発生状況に合わせて
    適切なコンデンサ容量とリアクトルの定数を選定する必要がある。
    過剰な容量は、逆に系統電圧の上昇や高調波共振を引き起こす可能性がある。

  • 設置環境
    高温多湿な場所や水気のある場所は避け、内線規程に従って設置することが重要となる。

  • ブレーカー管理
    機器を使用しない時でもブレーカーがONになっていると
    コンデンサに電圧がかかり続けるため、発熱・発火のリスクがある。
    使用しない機器のブレーカーはOFFにするなど、適切な管理が必要。

  • 経年劣化
    コンデンサは消耗品であり、長期間使用すると劣化していく。
    定期的な点検と、必要に応じた交換が重要となる。
    特にPCB(ポリ塩化ビフェニル)を使用している古いコンデンサは、廃棄や交換に際して特別な処理が必要。

設置上の注意点の導入事例

低圧コンデンサ(LCユニット内蔵型)は、以下のような場所で導入されている。

  • 工場: モーター、インバータ駆動機器、溶接機などを使用する工場
  • ビル・オフィス: 空調設備、エレベーター、パソコンなどのOA機器、照明設備
  • 商業施設: 冷凍・冷蔵設備、照明設備
  • 病院、学校、研究施設、公共機関: 各種電気設備

参考資料

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.shizuki.co.jp/common/pdf/suggestion/LJ346.pdf
指月 コンデンサ低圧設置のメリットコンデンサ低圧設置のメリット より画像引用

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