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太陽光発電の基礎知識まとめ

太陽光発電は、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)によって
直接電気に変換する発電方式。
太陽光が太陽電池モジュールに照射されると
光子が電子と正孔にエネルギーを与え、電子が価電子帯から伝導帯へと移動する。(下記図参照)

太陽光発電による二酸化炭素削減効果

現在、日本で発電されている電気の約75%が火力発電に由来しているが
火力発電は発電の過程で、地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出する。

例)火力発電による二酸化炭素の排出量は1kW・h当たり約690gであるのに対して
太陽光発電の排出量は1kW・h当たり17〜48gといわれている。

→火力発電と比較して、1kW・h当たり約650gの二酸化炭素を削減できることになる。

1kWの太陽光発電所の場合、年間発電量を約2000kW・hと仮定すると、 650[g/(kW⋅h)]×2000[kW⋅h]=1300000[g]=1300[kg]
50kW規模の発電所であれば約100000kW・hであるため
650[g/(kW⋅h)]×100000[kW⋅h]=65000000[g]=65000[kg] もの二酸化炭素を年間で削減することができる。

36〜40年生の杉の木1本が1年間吸収する二酸化炭素の量を8.8kgとすると1kWの太陽光発電所で約73本分50kWの発電所で約3650本分の年間二酸化炭素吸収量に相当する。

目次

太陽光発電の仕組み

太陽光発電は、光電効果と呼ばれる現象を利用して
太陽の光エネルギーを直接電気に変換するシステムのこと。

太陽電池モジュール(ソーラーパネル)

太陽電池の最小単位である「セル」を複数組み合わせたものです。
このセルは、主に「p型半導体」と「n型半導体」という
電気的な性質の異なる半導体を重ね合わせて作られている。

光の吸収

太陽光がソーラーパネルに当たると
光の粒である「光子」が半導体内の電子にエネルギーを与える。

電子と正孔の生成

エネルギーを得た電子は、n型半導体側に移動し
その電子が抜けた跡には「正孔」(プラスの電荷を持つと見なされる)がp型半導体側に残る。

電流の発生

これにより、n型半導体側はマイナスに、p型半導体側はプラスに帯電し
両極に電極をつなぐと、電子が導線を伝わって移動し、電流が発生
する。

直流から交流へ

太陽光パネルで発電された電気は「直流」となる。
しかし、家庭やオフィスで使われる電気は「交流」であるため
パワーコンディショナという機器で直流を交流に変換する。

電力の利用

変換された電気は、家庭内で消費されたり
余剰分は電力会社に売電されたりする

太陽光発電の種類(太陽光パネルの種類)

太陽光パネルは、主にその素材によって分類される。

シリコン系: 現在、最も広く普及しているタイプ。

  • 単結晶シリコン
    高純度のシリコン結晶を用いて製造され、発電効率が高いのが特徴。
    比較的高価だが、限られた面積でより多くの発電量を期待できる。
  • 多結晶シリコン
    複数のシリコン結晶から作られ、単結晶よりも製造コストが低いのが特徴。
    発電効率は単結晶よりやや劣るが、コストパフォーマンスに優れている。
  • アモルファスシリコン
    非晶質のシリコンを使用しており、薄く柔軟性があるのが特徴。
    発電効率は低いが、日射量の少ない曇天時でも比較的発電しやすいという特性がある。
  • ヘテロ接合型シリコン(HITなど)
    単結晶とアモルファスシリコンを組み合わせたもので
    高い発電効率と優れた温度特性を持つ。

化合物系: シリコン以外の複数の元素を組み合わせて作られる。

  • CIS/CIGS
    銅、インジウム、セレンなどを原料とする。
    比較的低コストで製造でき、曇り空でも発電効率が良いという特徴がある。
  • GaAs(ガリウムヒ素)
    非常に高効率が、製造コストが高く、主に人工衛星など特殊な用途で利用される。
  • CdTe(カドミウムテルル)
    海外で広く普及しているが
    有害物質であるカドミウムを含むため、日本では製造が制限されている。

有機系
有機半導体を利用したもので、薄く軽量で柔軟性があり、デザイン性にも優れる可能性がある。
まだ研究開発段階にあるものが多いが、将来性が期待されている。

  • 色素増感太陽電池
    光を吸収する色素を利用して発電する。
  • ペロブスカイト太陽電池
    比較的新しい技術で、高効率かつ低コストでの製造が期待されている。

太陽光発電のメリット・デメリット

メリット  

  • 電気代の削減
    自分で発電した電気を自家消費することで、電力会社から購入する電気量を減らし、電気代を削減できる。
  • 売電収入
    余った電気を電力会社に売電することで、収入を得ることができる(FIT制度による固定価格買取期間中)。
  • 環境負荷の低減
    発電時に二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを排出しないため、地球温暖化対策に貢献できる。
  • 災害時の非常用電源
    停電時でも、太陽光があれば自立運転機能を使って電気を使用できるため
    非常時の備えになる。蓄電池と組み合わせることで、夜間や悪天候時にも電気を使うことができる。
  • 屋根の断熱効果
    太陽光パネルが屋根に設置されることで、夏は遮熱効果、冬は断熱効果が期待でき
    室内の快適性向上や冷暖房費の節約につながることがある。
  • 国の補助金・税制優遇
    導入時に国や地方自治体から補助金が出たり、税制優遇が受けられたりする場合がある。

デメリット

反射光トラブル
設置場所や角度によっては、隣家などにパネルからの反射光が当たり
トラブルになる可能性がある。

初期費用が高い
太陽光発電システムの導入には、太陽光パネル、パワーコンディショナー、工事費など
まとまった初期費用が必要となる。

発電量が天候に左右される
曇りや雨の日、夜間は発電量が著しく低下する。
特に積雪が多い地域では、雪でパネルが覆われると発電できない。

メンテナンス費用が発生する
発電効率を維持するためには、定期的な点検や清掃、機器の交換などが必要となり
維持費用がかかる。

設置場所の制約
屋根の向きや構造、強度によっては設置できない場合がある。
また、隣家の日影などによって発電量が左右されることもある。

売電価格の変動リスク
FIT制度の買取期間終了後は、売電価格が低下する可能性がある。
今後は売電よりも自家消費の割合を増やすことが重要になる。

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