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内部短絡についての基礎知識まとめ


目次

内部短絡についての概略

内部短絡(Internal Short Circuit)とは、電気機器や部品の内部で
本来電流が流れるべきではない2点間が何らかの原因で接触し、電流が非常に短い経路で流れてしまう現象
指す。これにより、通常よりもはるかに大きな電流が流れ、様々な問題を引き起こす可能性がある。

特に、バッテリー(電池)における内部短絡は深刻な問題として知られている。
バッテリー内部で正極と負極が直接接触してしまうことで発生する。

内部短絡の主な原因

  • 製造不良
    • 材料の不純物混入や欠陥。
    • 組み立て工程での異物混入や部品の配置ミス。
    • 絶縁体の厚みが不均一、または薄すぎる。
  • 劣化・損傷
    • 長期間の使用による絶縁体の劣化(ひび割れ、剥離など)。
    • 外部からの衝撃や圧力による内部構造の損傷。
    • 振動や温度変化による材料の疲労。
  • 過充電・過放電
    • バッテリーの場合、過度な充電や放電により内部で金属が析出し、それが短絡を引き起こすことがある。
    • 特にリチウムイオンバッテリーでは、デンドライト(樹枝状結晶)の成長が
      内部短絡の原因となることがある。
  • 環境要因
    • 高温多湿な環境下での使用による絶縁抵抗の低下。
    • 腐食性ガスなどによる材料の劣化。

内部短絡による影響

内部短絡が発生すると、以下のような深刻な影響が生じる可能性がある。

  • 異常発熱・発火
    短絡により過大な電流が流れるため、ジュール熱(I2R) が大量に発生する。
    これにより、機器内部の温度が急激に上昇し、発熱、発煙、最悪の場合は発火に至る可能性がある。
    これは特にバッテリーで顕著な現象。
  • 機器の故障・損傷
    過電流により、回路内の他の部品に過大な負荷がかかり
    損傷したり故障したりする。
    絶縁体の破壊がさらに進行し、回復不能な状態になることもある。
  • 性能低下
    バッテリーの場合、内部短絡が発生すると自己放電が加速し
    容量が急速に低下する。
    機器全体の効率が低下し、本来の性能を発揮できなくなる。
  • 爆発
    特に密閉されたバッテリーなどで内部短絡による熱暴走が起こると
    内部圧力が急上昇し、爆発を引き起こす非常に危険な状態になることがあります。

内部短絡の対策

  • 設計・製造段階
    • 高品質な絶縁材料の選定と十分な絶縁設計。
    • 厳格な品質管理と検査体制の確立(異物混入防止、不良品の排除)。
    • 過充電・過放電保護回路の搭載(特にバッテリー)。
    • 熱設計の最適化(放熱性の向上)。

  • 使用・運用段階:
    • メーカーが定める使用条件(温度、湿度、電圧など)の遵守。
    • 物理的な衝撃や圧力からの保護。
    • 定期的な点検とメンテナンス。
    • 異常を感じたらすぐに使用を中止し、専門家に相談する。

  • 法規制・規格:
    • 電気用品安全法などの法規制や、国際的な安全規格(IEC、ULなど)に適合した製品を使用すること。
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