MENU

スマート保安についての基礎知識まとめ②(導入されている保安技術)

スマート保安とは、IoT、AI、ドローン、ビッグデータなどのデジタル技術を導入し
産業インフラや電気設備、プラントなどの
「安全性(保安)」と「効率性(生産性)」を同時に向上させる新しい保安の取り組みのこと。

経済産業省が国を挙げて推進しており、特に労働人口の減少やインフラの老朽化が進む日本において
これまでの「人が現場に行って、経験と勘で点検する」という従来型の保安からの脱却を目指している。

目次

スマート保安としての要素技術

現時点で法整備が完了しているのは、低圧電路絶縁監視装置が設置されているという条件はあるものの
認められている点検方法はカメラによる遠隔点検が主となっている。
一方、電気設備の状態は設置からの経過年数や環境により日々変化しており
この変化を速やかにキャッチして対応することも、電気設備のスマート化に重要なポイントとなる。
=事故予兆を捉える。
事故予兆を捉える技術として進められているものの概要を以下に記載する。

低圧回路の絶縁監視

低圧回路の絶縁監視は、現在では広く普及している状態監視の一つ。

検出原理としては、
I0型、I0r型、Igr型の3種類が
一般的な検出原理として用いられている。
また、警報の伝送方式として
電話連絡方式と自動通報方式に分けることができる。

設備状態や連絡責任者が常駐しているかなどによって
設置する監視装置の種類を選定することで、柔軟かつ速やかな対応を可能とするものである。

高圧回路の絶縁監視

高圧回路の絶縁監視は、保護装置が動作する前の高圧回路の絶縁劣化状態を連続監視するもので
スマート保安技術の要素としては、低圧絶縁監視と並んで重要な要素技術といえる。

零相電圧零相電流を検出するためのセンサーを受電設備に設置するとともに
地絡抵抗の検出精度を高めることで保護装置が動作する前の微地絡を高精度に検出し
検出した地絡波形のAI分析を導入することで事故要因を高度に判定している。

一方、高圧回路の絶縁監視については、高圧機器に内蔵された零相電圧・零相電流センサーを活用する方法や
放電性の微地絡を検出する方法など、各方面においていくつかの検出方法が提案されている。

超音波センサー

図:超音波センサ(部分放電の監視) 

事故予兆を事前に捉えるといった観点から
超音波センサーは電気保安のスマート技術要素として重要な位置づけとなる技術のひとつ

高圧機器に塵埃が付着し、そこに湿気が加わり、微小な放電が発生することで絶縁部の劣化が進み
絶縁破壊を起こす事例がある。絶縁部の劣化過程では、放電による音波の発生が顕著になることから
この現象をセンサーで捉えることで、高圧機器の劣化状態を把握することを目的とするのが超音波センサーとなる
超音波による劣化診断は、反射板で集音することで感度を高め診断を行うことが一般的な手法ではあるが
センサー技術の高度化とともに、解析手法の研究が進められている。

センサーを活用したスマート保安の全体像  

前述に事故未然防止の観点から考えられる要素技術について記載したが
事故予兆に有効なセンサーとして、幾つか挙げることができる。

具体例

高圧回路や変圧器負荷の電流を計測することで、過負荷状態になっていないことが確認できる。
また、温度センサーや赤外線監視装置を使用することで
高圧機器の外部や端子部の過熱の状況を確認することができる。  

太陽電池発電所におけるスマート保安  

産業構造審議会の電気保安制度WG資料において
太陽電池発電設備のスマート保安推進に当たって実装が必要な技術として、以下の点を挙げている。

●ドローン巡視点検の普及
●遠隔監視の普及
●デジタル化、AI異常検知の普及  

大規模な太陽電池発電所などでは、ドローンによる巡視点検が進められており
ドローンによる巡視点検の普及は拡大しつつある。
一方、遠隔監視、特に直流回路の絶縁監視については、一部では開発が進められているものの
普及拡大といった状況には至っていないのが現状。

要因としては、直流回路の絶縁抵抗をより高度に測定することの難しさにあり
例えば、監視装置に監視する直流回路ごとの直流電圧入力が必要なことなど
監視装置の設置が複雑かつ広範囲に及ぶことなどが挙げられる。

まとめ

スマート保安は、単なる「省力化・手抜き」ではなく、「デジタル技術を使って、これまで以上に安全で確実な保安体制を、少ない人数で効率的に維持する」ための、持続可能な仕組みづくりとなっている。

法改正(保安規定の見直しや点検頻度の緩和など)も段階的に進んでおり
今後のインフラ維持には欠かせない標準的な手法になりつつある。

参考資料

新電気2023年12月号「現場の電気保安実務 第212回 電気設備のスマート保安の現状」より一部引用

●スマート保安推進のための基本方針(スマート保安官民協議会)

●電気保安分野 スマート保安アクションプラン(スマート保安官民協議会 電力安全部会)

●スマート保安プロモーション委員会資料(独立行政法人製品評価技術基盤機構)

●スマート保安技術カタログ(電気保安)-第9版-(独立行政法人製品評価技術基盤機構)

●電力安全分野におけるスマート保安の推進について(産業構造審議会 電気保安制度ワーキング資料)

●電気保安人材に係る制度見直しとスマート保安技術の導入促進について(産業構造審議会 電気保安制度ワーキング資料)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次